リアム&ノエル・ギャラガー、数百時間におよぶ撮影で一度も顔を合わさず それでも成立する『オアシス:スーパーソニック』はどんな映画なのか
ノエル&リアム・ギャラガー (C)Jill Furmanovksy
オアシスの長編ドキュメンタリー 映画『オアシス:スーパーソニック』が12月24日(土)から公開となる。
オアシスは、リアム&ノエル・ギャラガー兄弟を中心に1994年にデビュー。アルバム7作品すべてがUKチャート1位に輝き、全世界でCDトータルセールス5,000万枚以上を記録した、90年代を象徴するバンドだ。『オアシス:スーパーソニック』は、そんなリアム&ノエル・ギャラガーが製作総指揮を務め、同バンドの結成から1996年のネブワース・ライブまでの軌跡を描く、初の長編ドキュメンタリー作品。アカデミー賞®最優秀ドキュメンタリー賞に輝いた『AMY エイミー』のスタッフが結集して製作された同作は、いったいどんな映画なのだろうか。その一部をご紹介しよう。
リアム・ギャラガ― (C)Johnny Hopkins and Daniela Soave
映画の冒頭はプロペラ音から始まる。伝説のネブワース・ライブに向かうヘリから、25万人の観客を見下ろすオアシスのメンバーたち。当時のオーディエンスと同様、これから始まる〝ショー“に期待が高まるスタートだ。製作陣は、ノエルとリアムを始めとするオアシス関係者への取材を敢行。総インタビュー時間は数百時間におよび、製作陣が泣く泣く削った部分もあったという。その中で、ノエルとリアムのインタビューは個別に設定され、二人が顔を合わせることはなかった。それでもふたりの会話は絶妙に編集され、見事な掛け合いが続く。
同作では、仲が悪いことで有名なギャラガ―兄弟が、実は深いところで繋がっていることがわかっていく。ファンにとってはたまらない映像だろう。 また、世界初公開となる、貴重な映像のオンパレードも。 ネブワース・ライブはもちろん、デビュー前の地下室での練習風景や、レコーディングスタジオでのリラックスしたメンバーたち、そして、来日時に滞在したホテルのプールサイドでふざけ合うノエルとリアム。新感線のホームに立つ姿や、渋谷のクアトロでのライヴの様子など、マシンガンのように映像が連射されていく。
ノエル・ギャラガー (C)Tim Abbot
「本作を楽しめるのはオアシスファンだけか?」という質問に対する答えは「ノー」だ。ノエルは同作のマット・ホワイトクロス監督にこう話している。「古き良き時代の話ばかりする中年ロッカーの映画なんて見たくない」と。この言葉のおかげで、同作はこれまでのドキュメンタリー映画とは一線を画したものとなったのである。実は、インタビューを受けた人々の現在の姿は、この映画では一切見ることができない。もちろんノエルとリアムも同様である。激動の3年間を振り返るメンバーたちの声に耳を傾け、膨大な中から厳選された映像で構成されているのである。同作を観ているうち、観客はいつしか自分も一緒にあの時代を振り返っているような錯覚におちいる。ファンはもちろん、彼らをよく知らない人々も、オアシスメンバーと共にあの3年間を駆け抜けることができるのだ。また、本編では「ロックンロール・スター」「リヴ・フォーエヴァー」「ワンダーウォール」「モーニング・グローリー」など、バンドの軌跡を語る上で欠かすことの出来ない名曲が20曲以上使われている。もちろん、映画のタイトルとなった「スーパーソニック」は、オアシスのデビューシングルのタイトルである。
映画『オアシス:スーパーソニック』は、12月24日(土)、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開。
映画 『オアシス:スーパーソニック』
(2016年/イギリス/英語/カラー/122分)
監督:マット・ホワイトクロス『グアンタナモ、僕達が見た真実』
製作:フィオナ・ニールソン、ジェームズ・ゲイ=リース、サイモン・ハーフォン
製作総指揮:リアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガー、アシフ・カパディア『AMY エイミー』、『アイルトン・セナ~音速の彼方へ』
編集:ポール・モナハン
音楽:ラエル・ジョーンズ
再レコーディングミキサー:リチャード・ディヴィ
VFX&アニメ―ション:ザ・ブルワリー
VFX&アニメ―ションスーパーバイザー:マーク・ナップトン
ミュージックスーパーバイザー:イアン・クック、イアン・ニール
日本語字幕:石田泰子
監修:鈴木あかね、粉川しの
配給:KADOKAWA
日本公式サイト:http://oasis-supersonic.jp/