welcome to THE 沼!・ 第五沼『UERI 1620 沼』

コラム
音楽
アート
2016.11.22

「沼」。

皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか。

私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへ・・・ゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。

 

一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、
その世界にどっぷりと溺れることを「」という言葉で比喩される。

 

底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう・・・。

 

第五沼(だいごしょう) 『UREI 1620 沼!

 

最近、20数年ぶりにDJ活動を再開する事になった。

復活の場所は宇川直宏氏が主宰する『DOMMUNE』。しかし20年以上DJをサボっていた私にとって、現代のDJブースのあまりの変貌ぶりにショックを隠しきれなかった。

中央に鎮座するミキサーはPioneer、そしてCDJもPioneer、さらにTechnicsのターンテーブルは真っ黒。しかも、スピード・コントローラーの横には謎のスイッチも付いているではないか!!!!!!

 

UREI 1620との出会い〜沼にハマった訳

私がDJを始めた1988年当時のDJミキサーといえばテクノ系だとRODEC MX180ハウス系だとUREI1620が定番だった。

私はかなりテクノ寄りのサウンドだが、なぜかRODECを選ばず、UREI1620を使用し続けている。

自宅には通称ロンドン置きと言われるセットアップで配置されている

自宅には通称ロンドン置きと言われるセットアップで配置されている

RODECはミックス・ボリュームが縦フェーダータイプで各チャンネルにEQ(イコライザー)も装備され、センターにはスクラッチも出来るクロスフェーダーも搭載され、CUE(次にかけるレコード)用のレベルメーターまで装備された完璧なユーザーインターフェースを実現していた。

しかし、何故私がUREI1620をチョイスしたのか?

それは、ある年の大晦日、芝浦GOLDでDJをした時の事だった。

まず驚いたのは、ボリュームが全てロータリーノブ(丸いダイヤル)で構成されており、なぜかパンポットが付いている!しかも各チャンネルにはEQ(イコライザー)が無く、マスター・アウトの前にL,Rごとに

  • TREBRE(高音)
  • BASS(低音)

のEQが装備されているではないか!!!!!!!!!

さらに驚いたのが、このUREI1620にはレベルメーターが付いてない!!!!もちろんクロスフェーダーもどこにも見当たらない!唯一光っているのは電源ON時の電球のみ!

そして恐る恐る初めてののノブに手をかけた瞬間

私は完全に泥沼にハマった・・・

程よいトルク感のアルプス製フェーダーを右に回していくと、今まで聴いた事の無い、目もくらむ程の低・中・高音が爆音で飛び出したのだ。

まるでサウンドが目に見えるようだった。

  • 地を這い覆い尽くす低音
  • 真正面から狙ってくる中音
  • 天井から降ってくる高音のハイハット

完璧すぎる・・・。

もちろんそれは当時アジアで最高と言われたGOLDのサウンドシステムの恩恵もあるのだろうが。UREI1620は不必要なパンポッドや位相をズレズレにしてしまうマスターL,RのEQ。レベルメーターの非搭載。。。。どう考えても、どうしようも無いトンチンカンな仕様だ。

それでもナゼこのUREI1620の魅力に取り憑かれてしまったのか??

それは無骨で野蛮で、誰でも一瞬で理解できるインターフェースそして、そのサウンドの素晴らしさ、という事に尽きるのではなかろうか。

UREI1620はこの様に斜めにセッティングする事で使いやすさが倍増する

UREI1620はこの様に斜めにセッティングする事で使いやすさが倍増する

テクノでUREIを敢えて選んだワケ

前述した通り、UREI1620のサウンド面や混ざり具合などはテクノよりも歌物を中心としたハウスミュージックとの相性が抜群に良い。

また、UREI1620の様なダイアルノブよりも、テクノには機敏に動かせる縦フェーダーの方が勝る。そもそも、UREI1620の各チャンネルにEQが搭載されていないとなると、キックの強いテクノ・トラックをミックスする最中に爆発を起こす。

しかし、この暴れ馬的なUREI1620でのミックスがスムーズにいった時のDJの快感はハンパじゃ無いほどイイ!!気持ちE!。

今でも私はこのUREI1620を愛用している。もちろん、もう何十年も前にディスコンになってるので新品など手に入らない。(何年か前にSoundcraftがリーシューを再販したが)

そしてPioneer全盛のこの時代にも、まだまだUREI1620の人気はとどまる事が無い。ヴィンテージのUREI1620専門に販売、改造などをする店もあるほどだ。

 

ビバ・テクノロジー!でも、敢えて選んだ不便な道

さて、話を戻そう。

そんなUREI1620とTECHNICS SL1200mkⅡしか使用した事の無い私のDJ復活の場所はDOMMUNEだ。もちろん触った事の無いPioneerミキサーが常駐されている。

そこで、復活の一週間前にDOMMUNE宇川くんに私がUREIしか触れないという事情を話すと、一週間pioneerのミキサーを貸してくれた。

これで練習してこいって(笑)

面白い写真をお見せしよう。これは宇川くんに借りてきたミキサーを我が家のUREI1620の上に乗せた状態なのだ。なんかUREIがとても可哀想に見える。

First impression・・・・

すげ〜〜〜〜便利!(笑

そして、復活当日DOMMUNE現場に入ると・・・鎮座してるのは、知らないミキサー。借りてたのよりも新しいバージョンで、マジで汗かいたw。

どうしよう・・・・

と、動揺しながらもその最新のミキサーを凝視すると配置など、ほとんど変わっていないのが分かって汗が引いたw。さすが安定、そして安心のPioneer。

そして、本番 大きなトラブルもなく復活完了!

ありがとう、宇川くん。ありがとう、Pioneer(笑

動画を見ていただけるとわかるが、私はCDやデータを一切使わない(・・・つーか使えない(汗)))ので、回すのは12inch Vinyl(アナログレコード)オンリーだ。

そして自分らしさを出すために、アナログ・シンセサイザーをリアルタイムミックスする、という事を考え出した。(シンセサイザー沼はこちら

しかし、本当にビックリだ。

今ではフラッシュメモリーに数え切れない程のトラックを入れて、世界中を飛び回る事ができる。でも、私はあえて100枚くらいしか入らないけど超絶腰の折れそうなUDGというメーカーのレコードキャリアーを買ってきた。

時代と逆行しているのだ。

データDJは素晴らしい。ものすごい合理的だし、全く否定する訳では無い。でも、あの曲データ名が見えないのだ。

老眼で・・・。

そして、自動的にBPMを合わせてくれる便利な機能って・・・なんかスリルが無くって面白く無い。

私はちょっとズレてもいいから、手づかみでゴシゴシキックをこすりながら頭出しをし、スピード・コントローラーで微調整を行うスリルが大好きだ。

DJ中に話しかけてくれても全然構わない。スリルが増してその方が楽しい。(話しは半分しか聞けてないかもだけどw)でも、絶対にお酒だけは持ってこないでください。3〜4時間のロングセットの時など、完全に漏らしますので(笑。

僕の知り合いで成人用オムツをはいているDJもいます。あと、バケツを置いてる人もいる(笑。

それか、カール・ルイス(古い)のような速さで、DJブース→トイレ→DJブース間を何事もなかったようにクイックターンするDJ。(もしトイレ満杯だったらどうするんだろ)

それにしても、いつからDJが主役っぽくなったんだろう。みんなバンドの演奏を見るように、DJの方を向いて踊ってる。昔は見えない所に隠れた感じでお客さんを躍らせる職業だったと思うんだけどね、DJって。

時代は変わったな〜・・・。

それにしても不便で面倒なことってホントに面白いよね。不便であればあるほど、人間が何かを補填しなくてはいけない。だからその分、尽くした分 愛情が湧くのかな?

ナゼだか分からないけど、そんなメンドくさい物や事が私は大好きだ。

あまりにもUREI1620が好きすぎて、楽器のミキサーとしても使用していた

あまりにもUREI1620が好きすぎて、楽器のミキサーとしても使用していた

DJにはデジタルスタイル・アナログスタイル、そしてトラックやプレイにも様々なジャンルがあるけれど、あなたもまだまだ遅くは無い。

一緒に沼の住人になろう・・・。

 

追伸:今後はシンセを駆使した、オリジナルDJスタイルでガンガンやっていくのでよろしく〜!それと、いつかDJブース自作沼も発表しますのでお楽しみに!

あ、そうそう、UREIでミックスしているところのを忘れてた!!(汗

こちらよりチェックしてみてください!!

 

 

シェア / 保存先を選択