EGOIST 境界線上にある「進化する技術と変わらず響くアイの歌」 ファンクラブライブツアーライブレポート

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2016.11.24

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EGOIST showcase*004 “n o w h e r e”  2016.11.13(San)  Zepp DiverCity

EGOIST初の五大都市を周るファンクラブライブツアーである『EGOIST showcase*004 “n o w h e r e”』。その初日公演、Zepp DiverCity公演は新たなEGOISTのスタートに相応しいものだった。

会場は超満員、supercellのryoがプロデュースを手がける架空のアーティストであるEGOISTだが、ボーカルchellyのささやく様な独特の声とryoの楽曲のマッチングの妙は冴え渡っている。

元々はアニメ『ギルティクラウン』の為に生まれたEGOISTが、作品を飛び越え、作品を発表する度にオリコンウィークリーチャートにランクインするのも、二人のアーティストとしての特性がこれ以上無く、パズルのようにカチッとハマっているからだと思う。

chellyは顔を表に出すことはなく、EGOISTのライブで登場するのは『ギルティクラウン』の登場人物である楪いのりだ。最新のモーションキャプチャー技術でchellyの動きを完全にトレースしたいのりが歌い、踊る。あくまでも観客が見ているのは楪いのりであり、chellyがどんな表情で歌っているのかは観客にはわからない。

でも、確実にそこにchellyの息遣いはある。観客はそれを感じ、熱狂し、陶酔する。

この狭間こそがEGOISTの魅力だ。20年前では絶対に考えられなかった新しいアーティストとしての形。次元の境界線上に立っているような危うく、蠱惑的な感覚。それはまさに“EGOISTでしか味わえない”楽しさだと思うのだ。

ライブ登場から驚かされたのは、いのりのビジュアルが圧倒的に進化していたこと。僕は二階席からライブを見ていたのだが、距離が離れているともう人間と見分けがつかないレベルまで到達したいのりの姿を借りて、chellyのボーカルは熱を帯びていく。

「The Everlasting Guilty Crown-LIVE EDIT-」では『ギルティクラウン』の映像をVJ的に展開、始まりの物語と現在進行系のEGOISTの調和に観客は驚きと喜びの声を上げる。MCコーナーでは前曲で少し歌詞が飛んだ部分に触れ「あそこだけ歌詞飛んじゃったんだよね……ごめんね」と可愛らしく謝るchelly。ステージ上のいのりからも表情が読み取れるような空気感はまさにEGOISTならではのもの。

今回は11月23日に配信リリースが決定した新曲「Welcome to the *fam」のMV撮影も行われ、生歌を含む都合4回の撮影が行われた。新曲に関して「ラップなんて人生でやったこと無いんですよ」と語ったchelly。「スタジオではライブで披露する時にラップしながら動けないって思っていたんですけど、頑張りましたよ!」とコメント。

実際に楪いのりの向こう側には踊り、歌い、汗をかいていあるchellyが居る。先ほども言ったがこの息遣いを感じることが出来るのがEGOISTのライブなのだ。

サイン入りグッズが当たる抽選会も開催され、ファンイベントならではの温かい空気感もありつつ、ライブは後半戦へ。

今回のセットリストはchelly自らが組んだとのことで、MCを挟んだ各セクションはかなりコンセプシャルなものになっている。アンコールではこのファンツアーならではの“お楽しみ”も待っているので、札幌、福岡に参戦予定の人は楽しみにしておいてもらいたい。

最後まで通して感じたのはchellyのボーカルとしての説得力だ。ryoが繰り広げる音の世界はオーディエンスである僕達が聞いているだけでも難易度が高いと思う。それを歌いこなすchellyはそれだけで稀有な存在なのだが、彼女の声は不思議な切なさを秘めている。激しい曲を歌っても、悲しい曲を歌っても、そこに少しだけエモーショナルな感情を引き起こす独特な波長のようなものを感じる。

5年前に「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」を聞いたときの衝撃は今も忘れられない。切なくも美しいラブソング。こんなにも1アニメーションのキャラクターの側面を浮き彫りにするような楽曲が“アニソン”としてあっただろうか、そう思ったのを覚えている。それは今も変わらず強く僕達の心を刺激する歌声だ。心の奥底に、気づかずに眠っていたような感覚が目覚めるEGOISTのライブは中毒性がある。

5年間で数々のライブやイベントを超えて成長したEGOIST。それはryoのサウンドメイキングも、chellyの歌唱もそうだ。狭間にあるこの得意なアーティストこそが、ライブエンターテイメントの新しい世界を開く日も近い。そう僕は信じている。その可能性を感じる“すぐ近くにいるのに触れられない”ライブだった。きっとこれからも驚くような技術の進化と、変わらず響き渡る歌声を堪能するために、僕たちはあの境界線上に向かう。

レポート・文=加東岳史

 

イベント情報
EGOIST showcase*004 “n o w h e r e”

11/26(土) Zepp Sapporo OPEN17:00 / START18:00   
12/25(日) 福岡国際会議場OPEN17:00 / START18:00   

 

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