あべのハルカスで青森が生んだ不世出の板画家「世界の棟方志功」展
2016.11.21
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阿倍野のあべのハルカス美術館では、特別展「わだばゴッホになる 世界の棟方志功」が、11月19日から始まった。
力みなぎる作風で知られる棟方志功は、青森県に生まれ。“わだばゴッホになる”と、画家を志して21歳で上京。油絵から版画家に転じて数々の名作を残し、世界的に評価された板画家。
棟方志功は一般的に言われる“版画家”ではなく、自らを“板画家”と名乗った。これは、「板の声を聞き、木の魂、板が生まれた性質を大切に扱わなければならない」との思いから、志功自ら使うようになった。
今回は、青森市にある棟方志功記念館と、青森県立美術館所蔵の作品60点を展示。あべのハルカス美術館だけの単独開催のため、関西エリアでは今回しか見られない作品も多数展示される、貴重な機会だ。
今回は、第1章から3章まで「板画家への道のり 戦前」「世界のムナカタ 戦後」「津軽 晩年」の3期に分けて展示。その中には、横幅約17.5メートルの大作「大世界の柵」2面や、版画にも関わらず1枚しか刷られず、世界に1枚しかない「飛神の柵(御志羅の柵)」、釈迦の弟子を描いた「ニ菩薩釈迦十大弟子」などのほか、初期に描いた油彩画などもあり、見ごたえ満点だ。さらに、希少な青年期の油絵などもあり、棟方志功の生涯をたどることができる。
棟方志功の研究者で志功の孫に当たる石井頼子さんは、小学校2年から中学2年まで志功と一緒に暮らしていたことがあり、「(志功の)制作風景を見るのが好きだった。もちろん、部屋に入ったら叱られるが、障子の窓から眺める、一心不乱に制作する祖父の姿が非常に魅力的で好きだった」と、祖父との思い出を振り返った。【関西ウォーカー編集部/鳴川和代】