蕨野友也、佃井皆美、細貝圭が製作発表前に鼎談! 舞台『「デルフィニア戦記」第一章』製作発表会レポート
蕨野友也の公開ビジュアル (写真提供:舞台「デルフィニア戦記」製作委員会)
東京で54年ぶりに初雪が観測された11月24日(木)、東京・銀座にあるヤマハホールで、2014年から続いている『デルフィニア音楽祭』が催された。『デルフィニア戦記』は茅田砂胡の小説で、とある陰謀により命を狙われるデルフィニアの若き国王・ウォルと、謎の少女・リィの冒険を中心に描いたファンタジーである。2017年には、舞台「デルフィニア戦記」が1月20日(金)から29日(日)まで天王洲 銀河劇場で初演されることが発表されており、この日の音楽祭の後には、舞台製作発表会が行われ、舞台版の主人公ウォルとヒロイン・リィのビジュアルが初披露されることになっていた。同日、製作発表を目前に控える蕨野友也、佃井皆美、細貝圭の鼎談が実現。彼らの熱い意気込みを聞いて欲しい。
製作発表前に行なわれた出演者鼎談
――本日は『デルフィニア音楽祭』の公演後に舞台のビジュアル公開を控えていますがお気持ちはいかがでしょう。
蕨野友也(ウォル役):もうすぐですね。僕はずっと緊張していて、眠れない日々が続いていました。それでも、原作通りに演じることはあまり意識していなくて、初日から千秋楽までを駆け抜けて、みなさんと舞台を作る喜びを共有したいと思っています。
佃井皆美(リィ役):私はちょっと違うかも。いつの時代のリィをやるのかなと思っていました。ショート・パンツを履いている少年のイメージがありましたが、リィは金髪の長い髪の毛でかっこよかった。舞台だけの新しいリィを作る意気込みを感じてソワソワしています。リィに似合うように稽古を積み重ねていきたいですね。
蕨野:ウォルは猪突猛進系で猛々しくも謎めいていて、どこかフワフワした少女リィとは正反対の性格です。舞台では相性ぴったりのコンビになると思うので、早くビジュアル・ポスターを見てもらいたいな。
――それぞれのキャラクターを演じていく上で気をつけている部分はありますか。
蕨野:ウォルと似通っている部分があるんです。僕は宮崎県の都城市出身で、九州の血が流れているから、どうしても友達のことに熱くなってしまう人情があります。そこが人情味あふれるウォルと似ていると思っていて。僕は“蕨野”のままでいいので、ただウォルのキャラクターをどんどん着ていって、ウォル役に染まっていければと思っています。
佃井:第Ⅰ部はファンタジー要素があるんです。原作小説のあとがきに「リィがいなくてもこの物語は成立する。しかし、リィがいることでまったく違う物語になる」といったような内容が書かれているのを読んで納得したんです。リィはどこか人間ではない雰囲気があるから。第Ⅰ部ではウォルを王座に導けるように、『デルフィニア戦記』の中の“光”のような存在でいたいな。
細貝圭(ナシアス役):リィがいると変わるよね。僕は心やさしき戦士で友情にも熱い。しかも、ラモナ騎士団団長として、華麗な剣さばきができなくちゃいけないので、稽古でプロの佃井さんや山本亨(ペールゼン役)さんのような強者にアドバイスをもらって演じていきたいですね。
細貝圭
――デルフィニア音楽祭が今まさに行われていますね。
佃井:音楽に関して言えば、私は『茅田砂胡CDブック デルフィニア戦記 放浪の戦士』を何度も聴いていたんです。キャラクターの朗読のあとにテーマ曲が流れているんですよ。
蕨野:そうなんだ。
佃井:リィだと野原を駆け巡るような曲で、いろいろ想像できるんです。
細貝:音楽も重要な舞台ですから生演奏だったらいいですよね。
佃井皆美
――演出・脚本は、元・宝塚歌劇団の児玉明子さんです。歌がたくさんあると感じました。
細貝:台本で合唱があるんです。
蕨野:そこは、それぞれの役にあった気持ちで歌えばいいよね。
細貝:リィならソロがあるかもね。
佃井:もしソロがあったら頑張らなきゃ。細貝さんは華麗な騎士の歌を歌ったりね。
細貝:敵を斬りながら歌うなんて無理無理(笑)。
――やはり殺陣も重要になってきますね。
細貝:殺陣は栗原直樹さんです。蜷川幸雄さんとコンビを組んでいた方だから、普通の殺陣とは違う『ヘンリー・シリーズ』のような本当の西洋の殺陣になりそうで楽しみですね。
――原作は1993年の『放浪の戦士』がスタートですから、20年以上の歴史があります。
蕨野:第1作が出たのが6歳の時ですからね。そういえば佃井さんと同い年(87年)だよね?
佃井:そう!
蕨野:20年間という歳月があるからこそ、多くのファンがいらっしゃるのは確かです。今日も雪の日に関わらず、たくさんのお客さんが足を運んでくださっている。それでも、「ファンの期待を裏切らない」といった言葉じゃなくて、「小説は小説、舞台は舞台」にしたいんです。みなさんの記憶に残る舞台にしたいですね。
佃井:3年ぐらい前に初めて原作を読んで大ファンになったんです。私以上に長年のファンもいらっしゃるでしょうし、最近読んで出会った方もいると思うんです。私も舞台ならではの『デルフィニア戦記』の魅力を表現して、もっともっとすごい作品だと伝えられるようにしたいですね。
細貝:これだけ長く続いている作品なのに、舞台化されていない強みがありますね。字面だけではないものを具現化して提示できるのはありがたいことです。漫画やアニメといった一つの枠にとらわれてないので、僕たちもいろんな想像を膨らませた状態で演じられますね。
――みなさんのそれぞれの印象は。
細貝:共通の話題があるんです。3人とも特撮ヒーロー物に出演しているんですよ。
蕨野:僕は『仮面ライダードライブ』。
細貝:そうだね。僕は『海賊戦隊ゴーカイジャー』。
佃井:私は『仮面ライダー鎧武/ガイム』。
蕨野:僕と細貝さんは戦隊物で活躍されている同じヘア&メイクさんのお世話になっているんです。稽古の前に親睦を深めようとセッティングしてもらってご飯食べに行こうと思ったんですよ。
細貝:そうなんだ。みんなで行こうよ。
佃井:なんかフランク。私はこう見えて人見知りです。
蕨野:だけど、一緒に舞台を観たし、そのあとご飯食べて、ビジュアル撮影、原作の茅田砂胡先生との対談で4回会っているじゃない。
佃井:でも、まだ、本性を出せないでいます(笑)。
細貝:ライダーつながりで、みんなから2人をいじり倒してくださいって言われてるのに? 2人はいじってなんぼだって。
佃井:ええー、そうなの! 怖いけど、稽古で仲良くなれたらいいですね。
――最後にスパイスの読者に見どころを語っていただければと思います。
蕨野:茅田先生と対談した時に、「小説はあくまで目で読んで、読者がわかるように書いたものだから、言い方とか気持ちの入り方で言いづらかったら、セリフはどんどん変えちゃっていいからね」という言葉をいただきました。原作のセリフを覚えている人からすると「ちょっと違うな」となるかもしれません。でも、気持ちはしっかり残したまま、セリフが変わっても、一本のドラマになるような舞台になればいいと思います。
佃井:これから始まる稽古で作り上げていく『デルフィニア戦記』は、今回のキャスト、いまだからこそしかできない世界にしたいと思っています。だから、その世界で生きられることが嬉しいですね。
細貝:殺陣や歌だけではなく、この人数では再現は無理だろうという壮大なシーンもあります。これからみなさんを納得させるような演出をしてくださると思いますので、「デルフィニア・ファン」をがっかりさせないような、僕たちだけの『デルフィニア戦記』をお見せしたいと思います。皆さぜんひご来場ください。
ビジュアル発表と製作発表会
――役を演じる上での意気込みは。
蕨野:ウォルの役柄のように猛々しく演じていきたいと思います。
佃井:『デルフィニア戦記』の大ファンで、リィ役をやらせていただくということが本当に嬉しく、運命のように感じています。
細貝:心やさしき強い戦士を大事に演じていきたいと思います。
山本亨(ペールゼン役):壮大な物語なので非常に緊張しております。プレッシャーに潰されないように一生懸命やりたいと思います。
山本亨
――舞台のお話を頂いた時のお気持ちは。
蕨野:原作を読んだら僕自身のことにしか思えない(笑)。ウォルはどこか人情味がある人間で、ドジで抜けているけど何かに対して信念を貫き通す感じが僕とそっくりなんですよね。小説を読み進めるうちにそんな共通点がいくつか出て来ました。ウォルと一緒に稽古から励んで、僕自身もブレずに本番を迎えて最後まで突っ走っていけたらなと思います。
佃井:私は原作の大ファンで、思い切って面接を受けてみたら、その場でリィの役を頂いたんです。彼女をやりたいとずっと思っていたから、驚きと同時に嬉しかった。ただ、役が決まると急に不安になって、歳も半分以下で、私の身長は162cmあるんです。ただ、ウォル役の(187cm)蕨野さんを見たときにちょっとホッとしました(笑)。
――殺陣も見所です。
細貝:容姿端麗、剣が上手、そんな完璧な人間、僕はどうしたらいいんだ!
――山本さんはウォルに敵対する役です。
山本:原作を読めば、かならずイメージが付いてくる。それを壊さないように、稽古で作り上げながら一生懸命やろうと思っています。(蕨野を見ながら)すごい身長が……僕もシークレットブーツ履こうかな(笑)。
――みなさんは特撮系の出演という共通項があります。
山本:僕は戦闘員でしたけどね。ショッカーみたいな。
細貝:いやですよ。こんな怖いショッカーいたら。
山本:マスク被ってたよ。
細貝:被ってても圧がありますもん。
山本:戦闘員だから共通点ないもんな。「イー」しか言ってないし。人間のセリフを喋れる公爵役なのでよかったかな(笑)。
(ここでビジュアルのパネルが登場。歓声が沸く)
蕨野:やっと始まるという気持ちですね。小説じゃない舞台だけの『デルフィニア戦記』が始まったかな。
佃井:この格好をしてもまだ想像できないんです。どんどん稽古をしてこの役にふさわしい役になれるといいな。
佃井皆美の公開ビジュアル(写真提供:舞台「デルフィニア戦記」製作委員会)
山本:あっさり負けそうですね。
細貝:それを聞いたら、僕らどうしたらいいんですか(笑)。
(左から)佃井皆美、蕨野友也
(記者からの質疑応答の時間に会場にいた 須藤公一 が東京スポーツの記者役で手をあげる)
須藤:東京スポーツの岡本と申します。
須藤公一
細貝:嘘つけ(笑)! 立て! 今すぐ立て! こっちに来い!
(須藤が登壇)
須藤:東京スポーツの岡本です。
細貝:もう聞いたよ。2度目だよ。出るんでしょあなたも。
須藤:ガレンスを演じさせていただきます。
細貝:途中で気づいたよ。
須藤:ちゃんとトランプについての質問考えてきたよ。
細貝:なんも言えねーよ! 生放送でTVも来てるんだぞ!
須藤:ちなみに舞台に関する質問はありません。
細貝:なんだよ!
(左から)須藤公一、細貝圭、佃井皆美、蕨野友也、山本亨
――特撮ファンが多いので見どころを教えてください。
蕨野:国を取り戻すという一心で放浪しますが、王様になりたくてやっている訳ではないんです。あくまで、何かしら理由があって、追放されているのですが、そこをお客様と一緒に感じてほしいなと思います。
佃井:ものすごく身体能力を要求されるので、今までやってきたアクション以上のものをお見せしたいと思っています。
細貝:壮大な物語ですが、それをみんなと一緒に具現化していきたいですね。
山本:殺陣が多いと思いますが、生の人間の持つ動きをおみせできたらと思います。ウォルとの一騎打ちがありますから、楽しみにしてください。
須藤:俺は?
細貝:まあ、帰りましょう。
(須藤スゴスゴと退散)
(左から)細貝圭、佃井皆美、蕨野友也、山本亨
――座長として舞台を楽しみにしている人へ。
蕨野:“第一章”ということで、第1巻から4巻までのストーリーが舞台化します。原作のファンのイメージを舞台では超えて、みなさんの記憶の1ページに「面白かった」と残せたら。もちろん、原作を読んだことがない方も、一緒に『デルフィニア戦記』の世界へ旅をしに行きましょう。来年1月20日から銀河劇場でお待ちしております。
(左から)『デルフィニア音楽祭』で舞台版のイメージソング『誓い』を歌ったななみ、細貝圭、佃井皆美、蕨野友也、山本亨
(取材・文・撮影:竹下力)