鳴り止まないアンコールに見た チャラン・ポ・ランタン、新次元へ突入

レポート
2016.12.5

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チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン ツアー2016-17“大衆音楽の手引き”
2016.11.27(Sun.) 京都・磔磔

11月10日(木)の神奈川・横浜赤レンガ倉庫を皮切りに、ユニット史上最大規模となる全国14都市を巡る『チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン ツアー2016-17“大衆音楽の手引き”』を敢行中のチャラン・ポ・ランタン。同ツアーは、年明けに発表したメジャー2ndアルバム『女の46分』を引っ提げたツアー『女の120分』と同じく“カンカンバルカン”編成で、唄とアコーディオンでのふたり編成ツアーを含めると今年3度目の全国巡業となる。その間にはソロやフェス、イベントなどにも出倒しているのだから、何ともライブ中毒な人たちだ。

しかも今年は、姉・小春(アコーディオン)がMr.Childrenのツアー・サポートメンバーに加え、連続テレビ小説『べっぴんさん』の主題歌「ヒカリノアトリエ」にも演奏で参加。妹・もも(Vo)はドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』に女優として初出演するなど、これまでにも増して活躍の場を広げる2人。さらに10月スタートの人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のオープニングテーマでも話題を呼んでおり、新たなファンを巻き込んでいる。

そんな注目を集める中でのツアーが11月27日(日)、京都磔磔で開催された。意外にも磔磔でのライブは約6年ぶりで、ワンマンライブは初だという。年配の男性から小学生と思しき女のコまで、音楽的懐の深さを見る多種多様な観客が詰め掛け大入り満員となった会場は、冷たい雨が降るこの日の京都の寒さなど忘れてしまうほど熱気に包まれた。開演時間の17時を15分ほど過ぎた頃、ももによる生場内アナウンスが始まると、待ってましたとばかりに歓声が湧き起る。そこで“噛む”という初っ端からの“おいしい”ハプニングに、関西のファンは大喜び。

SEに乗ってカンカンバルカンのメンバー、ふーちん(ドラムス)、さくらん(ウッドベース)、オカピ(テナーサックス)、とんちゃん (ソプラノサックス)、ごま(トランペット)に続き、小春がステージに現れ、まずは楽器隊だけのセッション曲でライブがスタート。2曲目でクールな演出とともにももが登場し、全員が揃うと、MCを挟まず一気に5曲を連射。ロマ音楽の疾走感やクレツマー独特の哀愁、シャンソンの小粋さと昭和歌謡な色香が漂う魅惑のチャランポ・ワールドで会場を無国籍な空間に変えていく。

それに導かれてオーディエンスも異国のパーティを招かれたような開放感と騒ぎぶりで、のっけからの激しいノリに「客がウルサイ~(!?)。京都、こんなだったか? もっとおしとやかじゃなかったか?」と早くも毒を吐く小春。その勢いと熱は天井知らずに上昇し続け、終盤では「レスポンスが食い気味に早くて、怖いよ~」と小春をビビらせ、ももに至っては歌詞が飛んでしまい「もう一回やり直していい?」と演奏を止め、小春に「観客の声に負けてんじゃねぇーよ」と突っ込まれる一幕も。

MCでは“初めての人”調査が行われ、ライブ初参戦の人が結構数いることが判明。「最近知った人は何で知ったの?」という2人からの質問に、ドラマの影響もチラホラと見受けられるなか、楽曲提供する私立恵比寿中学の小林歌穂生誕ソロライブ『ぽーランド』でのゲスト参加を挙げる強者も。そして「ミスチルで知った」というファンを見つけると、小春が「(イメージが壊れたら)ごめんねー」と言い、ももの「えっと、どこからやり直せば良い? もう生まれるところから?」という自虐ネタで笑いを誘った。確かに、麗しきルックスからは想像できないエキセントリック具合や毒気に、初めて観る人は少々驚かされるかもしれない。


まだまだツアー中ということで、セットリストなどの詳細は控えるが、少しだけ楽曲についても触れよう。この日は、9月発表のカバー集『借りもの協奏』の収録曲や今年のリリース曲を中心に、マイノリティオーケストラ時代のインストナンバー、“チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン”名義での初音源、おなじみのライブ・アンセムに、『逃げ恥』のオープニング曲「進め、たまに逃げても」のライブ初披露も。そんな楽曲群を、先述通り、ホーン・セクションを主軸とした「カンカンバルカン」編成で紡ぐ本ツアー。もうひとつのヴァイオリンを入れた「崩壊バンド」編成がヘビィな部分を表現する“ダークサイド”だとすれば、こちらは“ライトサイド”とも言うべき弾けたポップさが持ち味だ。1月からの東名阪ツアーではその「崩壊バンド」のヴァイオリニストも参加するということで一夜にして両サイドの世界観が味わえることになりそうだ。

チャランポのステージといえば、シアトリカルかつコミカルにショーアップされた演出も魅力のひとつ。今回はそれ以上に、もものコケティッシュかつ情念を感じる歌、小春の狂気的で抒情的なアコーディオン。カンカンバルカンのメンバーである、ふーちんの絶対的なドラミング、さくらんのグルーヴィで男前なコントラバス、オカピの直情型テナーサックス、とんちゃんの衝動で鳴らすソプラノサックス、ごまのたおやかなトランペットという、バンド“チャランポ・カンカン”の圧倒的なセンスと演奏力で魅せる。ある意味シンプル(パフォーマンスはド派手なのだが)で真っ向勝負なライブ感が印象的だった。それはそのまま7人バントとしての充実と成熟の証のようでもある。


そして、小春がMr.Childrenツアーに参加している間、ももは公私共に親交のある片平里菜と曲作りに励んでいた。「夢ばっかり」や気鋭のエレクトロ系アーティストSeihoをサウンドプロデューサーに招いた「Sweet as sugar」、ただ今NHKで放送中の「まゆげダンス」、前述のドラマ曲、CD初収録のドラマ「ディアスポリス」の主題歌「月」などを詰込んだ“ほぼフルアルバム”『トリトメナシ』を2017年1月18日(水)にリリースすることも発表。

ライブ途中、「ここに辿り着くまでには、平均的に見ても、相当遠回りしてきてユニットで」と語る小春に、「こうやって(満員御礼で)ツアーができる、今ですよ」と何気に口にするもも。インディーズ時代から各方面で絶賛を受け、2014年の鳴り物入りでのメジャーデビュー、海外でも高い評価を得て、傍目には順風満帆な道のりも、本人たちにとっては平坦なものではなかったようだ。そんな2人が次なる段階へと進もうとしている。それはこの場に立ち合った人たちも感じたであろう思いで、予定の120分を軽く超えたステージの幕が降り、撤収作業が始まっても鳴り止まないアンコールが物語っていた。

ツアーは年明けの東名阪公演まで続く。チャラン・ポ・ランタンの今を見逃す手はない。


レポート・文=池田久美 撮影=ハヤシマコ(maco-j)

ライブ情報
チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン ツアー2016-17“大衆音楽の手引き”
12月9日(金)札幌 PENNY LANE 24
12月11日(日)仙台 LIVE HOUSE enn 2nd
12月17日(土)広島CLUB QUATTRO
12月18日(日)福岡BEAT STATION
2017年
1月14日(土)大阪umeda AKASO
1月15日(日)今池 BOTTOM LINE
1月21日(土)中野サンプラザ

 

 

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