川平慈英と霧矢大夢が語る、心をほっこりあたためるミュージカル『ビッグ・フィッシュ』の魅力とは…?
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川平慈英・霧矢大夢
父と子、夫婦、仲間、それぞれの絆を描くハートウォーミングなミュージカル『ビッグ・フィッシュ』が2017年2月、日生劇場で上演される。『アリス・イン・ワンダーランド』や『チャーリーとチョコレート工場』などで知られるティム・バートン監督による映画(2003年)で多くの人々の涙を誘ってきたこの作品が、2013年にはニューヨーク・ブロードウェイで、物語の魅力はそのままに、美しい楽曲と楽しいダンスをふんだんに盛り込んでミュージカル化。その待望の日本初上陸となる今回は、『ロンドン版 ショーシャンクの空に』『アダムス・ファミリー』『No.9―不滅の旋律―』『マハゴニー市の興亡』などで高い評価を得ている白井晃が演出を担当することになった。現実とは思えない体験談を大げさに語る父、エドワードには川平慈英、その妻サンドラには霧矢大夢が扮する。作品への想いを、川平と霧矢に語ってもらった。
―― 川平さんは『ビッグ・フィッシュ』という作品自体には、どのような印象をお持ちでしたか。
川平: 今回のオファーがあってから、ティム・バートン監督の映画を見たり、動画サイトでブロードウェイの舞台の様子をカンニングしてみたり(笑)したんですが。もう、始まって30秒くらいのシーンで泣きそうになるくらい、感動しちゃいました。これはすごい作品だと思ったと同時に、映画ではユアン・マクレガーが演じていた役が本当に俺なの?ってすぐには信じられなくて。しばらくの間、きっとこれは“ドッキリ”で、どこかにカメラがあって隠し撮りをしているんだろうと思っていました。
霧矢: ふふふ。
―― そんなに信じられなかったんですか。
川平: 信じられなかったですね。だけど、この作品のことを知れば知るほど、この『ビッグ・フィッシュ』、つまりでかい魚は逃がしちゃダメだぞ、これにのっかっちゃえ!と思ったんです。あ、霧矢さん、スミマセン、このフレーズ、先に使っちゃいました!
霧矢: いえいえ、大丈夫です(笑)。
川平: しかも演出は白井晃さんだとお聞きして。これは僕が勝手に推測しているんですけれども、おそらく白井さんが僕をプッシュしてくれたんじゃないかと思うので、本当に感謝しているんです。白井さんは、僕が敬愛する俳優で演出家さん、そして戦友でもあるんですよ。『オケピ!』の初演(2000年)、再演(2003年)、さらに中井貴一さん主演の『趣味の部屋』(2013年、2015年)など、なかなかハードな芝居をステージ上で共に経験した仲なので。
川平慈英
―― それは共演者として、ですね。
川平: はい、共演者として同じ釜の飯を食べたという感じです。本当に苦しい時を共に潜り抜けたので、僕の良い面も悪い面も白井さんはすごく知っていると思うんですよ。だからそうやって本当に身を任せられる白井さんが今回は演出家として舵取りをしてくれるのですから、これを逃したら自分は役者として失格だろうとまで思いましたね。
―― 霧矢さんはDVDを持っているくらい、『ビッグ・フィッシュ』が以前からお好きな作品だったとか。
霧矢: はい、そうなんです。「いい作品だなあ」と思ってずっと心に残っていた作品でしたね。でもまさかミュージカル化するなんて、あの世界を一体どうやって舞台にするんだろうと思いましたが、翻訳した台本と、ブロードウェイ版の映像を拝見したら映画とはちょっと違う作りになっていたので、それはそれでとても興味深かったです。さらにブロードウェイキャストによる楽曲を聴いてみたら、「川平さんにピッタリじゃない、この作品?」ってすごく思って。
川平: 「川平さん」ではなく「慈英さん」と呼んでください。「川平さん」だと、なんだかこっちがドキドキしちゃうので(笑)。
霧矢: すみません、じゃ、慈英さんと呼ばせていただきます(笑)。でも本当に「なんて慈英さんにピッタリな作品なんだろう!」と思ったんです。
川平: わあ、泣きそうだ(笑)。うれしいですねえ。
霧矢: 自分がちゃんとサンドラを演じられるのかという気持ちはあったのですが、慈英さんが主役のエドワードを演じるのであれば、絶対この舞台は成功するに違いないと勝手に確信しちゃいました。
川平: むむ! 今、逆にプレッシャーを感じるようになってきましたよ。「慈英さん、大丈夫か?」って言われないようにしないと。
霧矢: いえいえ、本当にピッタリだから大丈夫ですよ。それで、自分もこの作品にはぜひとも出演させていただくべきだなという気持ちになりました。
霧矢大夢
川平: この作品のCDと譜面を持って「俺、今度これを歌うんだけど」って、仲間のピアニストにCDを聴いてもらったら慈英さんの声に似ている!」って言われたんです。それもあってか僕自身もCDを聴いたり映像を見た時にはすーっと感情移入ができました。とはいえ今回は、白井バージョンのジャパン『ビッグ・フィッシュ』ですからね。まったく新しいものになりそうで、それもすごく楽しみです。
霧矢: サンドラは、エドワードと出会った頃の女子大生くらいから子供の親となった世代までを演じなければいけなくて、「大丈夫かしら?」って思いながら、これからの稽古で作っていきたいなと思っているところです。
川平: この間、CDでブロードウェイ版ミュージカルのサントラを聴きながら、あの(映画で有名な)ラッパ水仙のシーンを霧矢さんと一緒にやるんだと想像してみたら、胸が高鳴りましたね~。
霧矢: 出会った瞬間に時間が止まっちゃうという場面で、これは映画版でもありましたけど。こういうラブシーンは私、宝塚にいた時にもやったことがないんですよ。
川平: そうか、じゃぁこれがボーイミーツガール的な初ラブシーンになるのではないかということですか?
霧矢: そうです、そうです。あんな甘酸っぱいラブシーン、非常にうれし恥ずかし、という感じです(笑)。またあの、お花畑がいいんですよねえ。
川平: 僕も実はそういうラブロマンス的なシーンはあまりやったことがなくて。どっちかというとそれを茶化したり、はやしたてたり、そっちのにぎやかし担当だったから。こういう“ど”ラブシーンみたいなのは本当に初めて。
―― “ど”がつくんですね(笑)。
川平: “ど”、ですよ! だけどお客さんにも「これなら恋に落ちるわ~!」と納得していただけるような場面にしたいです。
霧矢: 典型的な、ミュージカルのラブシーンって感じ。
川平: いやあ、もうこそばゆいのを通り越してグッと気持ちを入れないと。
霧矢: 本当にお花がいっぱい出てくるのかな。
川平: 白井さんのことだから、ステージのセットにしてもかなり様式美を重視してファンタジー的な世界観で作るんじゃないかなあ。……もしや、フライングとかやったりして。
霧矢: (笑)
川平: 万が一飛ぶとしたらROLLYさんくらいだろうけど。
霧矢: そうですね。または魔女役のJ Kimさんとか?(笑)
川平: ふふふ、どうなるかなあ。東京の2月なんて猛烈に寒いはずですからね。そんな時に、うわーっと心が温まるような音楽と芝居とステージセットにしないと、ほっこりできませんから。
―― そういう、心が温まるお話ですものね。すごく楽しみです、白井さんがどういうビジュアルを目指すのか。
川平: 演出家としての白井さんとは初めて組みますが、わいわい、ひいひい言いながら楽しくやりたいです。
霧矢: 私もこれに出演が決まって、演出は白井さんだと話すと周りの役者仲間たちはみんな絶賛していました。演出家としても人としても素晴らしい方だと。
川平: 優しいんですよね。人の痛みをすごく知っている人だから。でも厳しいし、妥協しないし、ちょっと長い(笑)。
霧矢: 稽古が長いんですか? 慈英さんはもう、出ずっぱりですから大変かも。
川平: なんかずーっと歌ってるんだよね。きっといろいろもがき苦しむことになるとは思うけど、うまくやれたらきっと勲章のような作品になるはず。今はまだ稽古前なので、そう出来るチャンスをもらえたという感じです。ぜひ、自分の代表作にしたいですねえ。
―― 力が入りますね!
川平: ぜひぜひ、寒い2月にみなさんと一緒に温まりたいと思います。
霧矢: いや、もうその通りですよ(笑)。2月だとまだ年の初めですし、やっぱり最初にこういう作品を新年から見ていただいて、今年も頑張るぞとみなさんに思っていただけるように。
川平: 元気パワーをあげますよ~!
霧矢: この期間、日生劇場をパワースポットにします!(笑) みなさん、ぜひ劇場へ足をお運び下さい!
川平慈英・霧矢大夢
(取材・文:田中里津子 撮影:早川達也)
■会場:日生劇場
■出演:
川平慈英/浦井健治/霧矢大夢/赤根那奈
藤井隆/JKim/深水元基/鈴木福(Wキャスト)/りょうた(Wキャスト)/
鈴木蘭々/ROLLY ほか
■音楽・詞=アンドリュー・リッパ
■演出=白井晃
■公式サイト:http://www.tohostage.com/bigfish/
<特報>
e+にて<DVD付>一般発売受付を行います!
※特典の映画DVDは、ご購入後に配送されます。
※受付期間:2016年12月23日(金)12:00~2017年1月6日(金)18:00
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