本格文學朗読演劇 極上文學シリーズ第11弾『人間椅子/魔術師』レポート


ビジュアルと音楽、動きで魅せる人気シリーズ、本格文學朗読演劇「極上文學」の第11弾となる『人間椅子/魔術師』が、11月30日から東京で上演中だ。(12月4日まで。そのあと大阪でも上演)

これまで坂口安吾、芥川龍之介をはじめとする日本文學の有名作家たちの上質な世界観を、〈読み師〉と〈具現師〉〈奏で師〉という斬新なスタイルで立体的に表現、高い評価を得てきた。 〈読み師〉といっても、台本を手に持っている以外は、ほとんど役柄を演じているかたちで、さらに〈具現師〉のパフォーマンスや、〈奏で師〉の音楽というファクターが加わることによって、他では観ることができない演劇世界が立ち上がっている。

今回の物語は、江戸川乱歩の書いた『人間椅子/魔術師』。

『人間椅子』は、ある椅子職人の「私」が出来心から椅子の中に潜み、その椅子に女性が座る感触を革ごしに感じることに夢中になったことに罪悪感を感じて女流作家の佳子に手紙で伝えるという話。

『魔術師』は、湖畔のホテルで静養していた明智小五郎が、宝石商の娘の妙子と知り合い互いに好意を持つ。その後、先に妙子が帰京したところ、叔父の福永に奇妙な脅迫状が届き、明智も協力するため帰途につくが、駅で何者かに誘拐されてしまうという推理小説。

今回は、この2作をもとに構成して、江戸川乱歩らしい禍々しくも耽美的な探偵小説の世界を構築している。

キャスティングは、以下のように日によって様々な組み合わせが楽しめるのも、この舞台の面白さだ。
椅子職人/村田充、石井マーク
明智小五郎/松本寛也、伊勢大貴
佳子夫人/足立英昭、小西成弥
文代/長江崚行、水澤賢人
魔術師/ROLLY、松田洋治

舞台は3方向に向けて作られて、様々な角度からキャストの色々な表情を見ることができるだけでなく、ともに物語に参加している臨場感がある。

また舞台奥にある回転台を、赤い無数のゴムで檻のように囲った独特のセットは、サーカス小屋のようでもあり、おどろおどろしさとともに耽美な雰囲気を作りだして、『魔術師』の“魔術”をセットでも表現している。

物語は不気味な椅子職人の独白から始まり、一気に乱歩の世界に連れ込まれ、名探偵・明智小五郎の推理に運ばれながら進んでいく。閨秀作家・佳子夫人のもとに届いた手紙の主は誰なのか。そして彼女の掛けている椅子は? また、物語全体を牽引する魔術師、そして少女・文代の登場で、さらに謎は深まっていく。最後は背筋が凍るような顛末もあり、乱歩文学の戦慄するような世界観が浮かび上がる。

といってもおどろおどろしさだけでなく、〈具現師〉の観客を巻き込んでの遊びや、劇中でのアドリブ合戦もあり、笑いも起こるなどエンターテインメント性の高い舞台となっている。

プレスに公開されたこの日の配役は、椅子職人/村田充、明智小五郎/伊勢大貴、佳子夫人/足立英昭、文代/水澤賢人、魔術師/松田洋治。そのほか、松本寛也、小西成弥、ROLLYも囲み撮影に参加した。

【囲みコメント】

松本寛也
今年は乱歩イヤーで、いろんな著作権もきれて、いろんな団体さんが上演されてるかと思いますが、どこの作品にも負けないような極上な乱歩作品に仕上げられたらいいなと思います、というようなメディア向けの発信をして終わらさせていただきたいと思います。

マーク石井
僕は朗読演劇に初めて挑戦させていただくので、普段は声優として活動しているので、他の皆さんとはまた違ったものをお出しすることができるんじゃないかと思うので、ぜひぜひ、僕の回も見に来ていただきたいなと思います。

ROLLY
魔術師役を読ませていただくROLLYと申します。私は男子校出身者なので、学生時代を思い出すように、非常に楽しくお稽古させていただきました。楽しんでいただけることを願います。

小西成弥
今回、女性役ということで、なかなか女性役を演じることがないので、美しくかわいい女性を演じられてらいいなと思います。足立さんとダブルになりますので、また色の違った佳子夫人がみられると思いますので、ぜひ、二度三度見にきていただけたらと思います。

水澤賢人
こんなに素敵なキャストのみなさんと、スタッフさんと演出のキムラ真さんとやらせていただくことを光栄に思います。作品に少しでも貢献できるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

足立英昭
今回は二度目の極上文學の出演で、初の女性役ということで、いろいろ勉強することの多い作品になったんですが、小西くんも言ってたのですが、それぞれ色が違うのが、マルチキャスティングの魅力だと思うので、自分の色を出して、読むだけでなく、お芝居、そして呼吸とか、いろいろな楽しさを追求できればいいかなと思います。

村田充
極上文學シリーズ、最高の作品になるように、一生懸命演じたいと思います。

伊勢大貴
今回、二回目の極上文學で、前回は和のイメージが強かったんですけど、今回は洋風な雰囲気も出していけたらなと思います。今回は、推理ものなので、みなさんにワクワクドキドキしていただけたらと思います。マルチキャスティングなので、役者同士のセッション感と、〈奏で師〉の橋本さんとの呼吸を楽しんでいけたらなと、それをお客さんにぶつけていけば、楽しい空間になると思いますので、相乗効果を狙っていきながら、楽しんで演じられたらと思います。

松田洋治
極上文學、三回目の登場とさせていただきます。この極上シリーズのマルチキャスティングは、すべてダブルキャストが売りなんですが、私のお相手はROLLYさんです。第一回目は斎藤洋介さんでした。こういうダブルキャストを組んで決行する、プロデューサーと演出家の勇気と無謀さに敬意を表し、がんばりたいと思います。

(取材・インタビュー文・撮影/西森路代 文/榊原和子)


〈公演情報〉

全労済ホール/スペース・ゼロ提携公演
本格文學朗読演劇 極上文學 第11弾 『人間椅子/魔術師』
原作◇江戸川乱歩
キービジュアル◇尚 月地
演出◇キムラ真(ナイスコンプレックス)
脚本◇神楽澤小虎(MAG.net)
出演◇
<読み師>足立英昭、石井マーク、伊勢大貴、小西成弥、長江崚行、松田洋治、松本寛也、水澤賢人、村田 充、ROLLY(50音順)
<具現師>赤眞秀輝(ナイスコンプレックス)、福島悠介、濱仲太(ナイスコンプレックス)、太田守信(エムキチビート)、萩原悠
<奏で師・音楽>橋本啓一
●11/30~12/4◎全労済ホール/スペース・ゼロ
●12/23~12/25◎近鉄アート館
〈お問い合わせ〉CLIE  03-6379-2051(平日11時~18時)
〈公式サイト〉http://www.gekijooo.net/11th-isu-majutsu/


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