ドラァグクイーンたちの華やかな珍道中ミュージカル『プリシラ』上演中! 山崎育三郎インタビュー

インタビュー
2016.12.19
山崎育三郎(撮影:岩村美佳)

山崎育三郎(撮影:岩村美佳)


3人のドラァグクイーンたちの珍道中を描いて世界で大絶賛を浴びたオーストラリア映画を元に、マドンナ、ドナ・サマーなどのディスコ・ヒットソング満載のミュージカルとして誕生した『プリシラ』が12月8日から日生劇場で上演中だ。(29日まで

豪華絢爛の衣装で歌って踊るエンターテイメントの舞台は、本物の愛、本当の自分を探す深いドラマも内包して、ロンドン、ニューヨークを含む、世界15ヵ国以上で上演され愛され続けている。そんな作品が、宮本亜門演出のもと、満を持して日本初上陸を果たした。

主演のドラァグクイーン・ティックを演じるのは山崎育三郎。ミュージカル界のプリンスとして、また数々の映像作品でも大活躍中の彼に、大好きだという日生劇場での主演作『プリシラ』への想い、更に映像作品から舞台にフィードバックされた貴重な経験などを語ってもらった「えんぶ」12月号のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。(※近日中に公演レビューも公開予定。 )

山崎育三郎(撮影:岩村美佳)

山崎育三郎(撮影:岩村美佳)

自分は自分なんだ」と認められる強さ

──この『プリシラ』で主演をというオファーがあった時の思いはどんなものでしたか?

これまでずっとシリアスな作品が続いていたのですが、僕は個人的に観る時にはハッピーなコメディなどが大好きなので、いつかそういう作品に携わりたいとずっと思っていたので、とても嬉しかったです。それに日生劇場という劇場も大好きで、ここにまた立ちたいと思いながら、何年も果たせていなかった念願が叶ったという想いもあります。僕が日生劇場に立たせて頂いたのは鹿賀丈史さん&市村正親さん主演の『ラ・カージュ・オ・フォール』で、ゲイの夫婦に育てられた子の役でしたので、今回の『プリシラ』と作品のテーマに共通するものもありますし、そこにも縁を感じています。舞台上に立っていて、お客様の1人ひとりを感じられる素晴らしい空間の劇場なので、そこでこうしたお客様と一体になって楽しもう! という作品ができることに、とてもワクワクしています。

──作品の魅力や、テーマについてはどう捉えていますか?

こんなに派手で華やかな衣裳はミュージカルでもなかなかないので、それだけでも目を引きますし、音楽も名曲揃いで、ライブのようにお客様に感じて頂ける魅力があると思います。更に物語としては、バスの旅の中で家族や、愛、友情、自分自身の人生の葛藤などを抱えている3人が、迷い苦しみながらも自分がドラァグクイーンであることを受け入れて、プライドを持って生きようとする姿が描かれているので、その強さや感動をお客様に感じて頂けたら嬉しいですね。

──ドラァグクイーンという役柄について、感じていることは?

こういう派手な格好をして、一見華やかには見えますが、その裏にはすごく辛い時期もあったと思うんです。特に若い時には、自分の思いはおかしいのか?と悩んだり、人に言えなかったり、といった葛藤が必ずあったと思います。それらを乗り越えて、「自分は自分なんだ」と認められる強さを持てた時に、初めて大人になってこうした表現ができた。でもそういう悩みや葛藤は、ドラァグクイーンだけのものじゃなくて、誰にでも共通することではないかと。自分って何だろう、人生って何だろうとか、仕事の面でも家族や友人との関係でも、生きていく上で誰しもがぶつかる問題が、この作品の中にはたくさん入っています。素晴らしい音楽を楽しめて、笑って、最後にはホロリと泣ける。こんなに振り幅の大きいエンターテイメントとにはそうそう出会えないと思います。また、僕が演じるティックには息子もいて、こういう格好をしているパパを息子がどう思うのか?と悩んでいる部分も大きいですから、その繊細さを丁寧に演じつつ、全力で生きている1人の人間の人生をお客様にお伝えできたらいいなと思っています。まずは、この衣裳とヘアメイクにすごくパワーがあるので、エネルギーをもらいながら頑張りたいです。

山崎育三郎(撮影:岩村美佳)

山崎育三郎(撮影:岩村美佳)

映像の仕事で広がるミュージカルの裾野

──ミュージカル界のプリンスと呼ばれる山崎さんですが、近年は映像でも活躍中で、その経験から新たに得たものなどは?

舞台と映像では表現が全く違うので、はじめは戸惑うことも多かったのですが、根本的に心で感じるものは変わらないですね。ただ稽古で試行錯誤を重ねて作り上げていく舞台と、10数ページの長台詞を数日前に渡されて、いきなり本番で撮らなければいけない映像とではスイッチが違っていて、瞬発力を要求されます。特にカメラが目の前にありますから、心がきちんと動いてキャッチボールをしていないと、すぐにわかってしまうので、そういう世界で長く活躍されている錚々たる方々と、ご一緒させて頂いてきたことで得たものも大きかったです。自分の中での変化も感じるので、そうしたリアルな表現は、今回の『プリシラ』にも活かせると思います。何よりありがたかったのは、映像の経験を積ませて頂いて舞台に帰ってきたとき、「ミュージカルを初めて観ました!」という多くのお客様が劇場に足を運んでくださったことです。とくに博多座での『エリザベート』は、それまでの10倍以上のお客様が僕を待っていてくださって、劇場を一周するほどになったんです。一体どういうことなのだろうと思ってお話を伺ったら、ほとんどの方が「テレビで見たので、舞台も観てみようと思って来ました」と。テレビの影響力というもののすごさを感じました。自分としては、映像に出ることによって、更にミュージカル界を盛り上げたいという気持ちもありましたので、新しいお客様を迎えられたことを目の当たりにできたのは本当に嬉しかったです。学生服を着ている若い世代の方もたくさんいらして、そういうミュージカル初心者の方にも、この『プリシラ』は楽しく観ていただける作品だと思います。

──耳に馴染んだディスコミュージックが詰まっていますね。

ミュージカルを好きな方も、そうでない方も楽しめる曲がたくさん入っていますし、思わず踊り出してしまうようなリズムを持った、幅広い年代の方に親しみを持ってもらえる楽曲なので、お客様参加型の作品として楽しんで頂けると思います。衣裳やセットや音楽、ダンスも華やかで、ショーとしても楽しめる中に、自分がどういう人生を切り拓いていくのか、という大きなテーマを持ったドラマもある作品です。2016年締め括りの12月に、皆様に幸せになって頂ける舞台を目指して、カンパニー一丸となって頑張っていきますので、是非日生劇場に体感しにいらしてください。

山崎育三郎(撮影:岩村美佳)

山崎育三郎(撮影:岩村美佳)

やまざきいくさぶろう○東京都出身。07年ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役への抜擢を皮切りに、数々のミュージカル作品に出演。ミュージカル界のプリンスとして熱い注目を集める。15年テレビドラマ『下町ロケット』(TBS系)に出演以来、16年『お義父さんと呼ばせて』(フジテレビ系)『悪党たちは千里を走る』(TBS系)『グッドパートナー無敵の弁護士』(テレビ朝日系)と映像でも活躍の幅を広げている。主な出演舞台は『ミス・サイゴン』『モーツァルト!』『エリザベート』など。

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

公演情報
ミュージカル『プリシラ』

■日時:2016年12月8日(木)~29日(木)
■会場:日生劇場
■演出:宮本亜門
■出演:
山崎育三郎、ユナク(超新星)/古屋敬多(Lead)(Wキャスト)、陣内孝則
ジェニファー、エリアンナ、ダンドイ舞莉花、大村俊介(SHUN)/オナン・スペルマーメイド(Wキャスト)
石坂勇、和音美桜、キンタロー。/池田有希子(Wキャスト)、はるはる ほか
■公式サイト:http://www.tohostage.com/priscilla/​

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