ゆず、弾き語りライブ2日目 豪雨の中33,000人が大熱狂
8月15日(土)、16日(日)の2日間にわたり、ゆずが横浜スタジアムで『ゆず 弾き語りライブ 2015 二人参客 in 横浜スタジアム』を開催。同所での単独有料ライヴは2000年の『夏の野球場ツアー 2000 満員音(楽)礼~熱闘! Bomb 踊り~』以来15年ぶりとなり、1日目は「緑の日」、2日目は「黄色の日」とそれぞれにテーマを設け、客席は各日のテーマカラーのTシャツなどに身を包んだ観客で埋め尽くされた。
スタンドもアリーナも黄色に染まった2日目。まずは、ゆずのライヴの恒例「ラジオ体操第一」で観客もスタッフも一緒になって身体を温めてから、マーチングバンドによるファンファーレ~「夏色」の演奏で華々しく幕を開けた。
本物の草花で装飾された大きなアーチをくぐり、ゆずの二人が登場。アリーナ中央のステージへと伸びる花道を、肩を組みながら二人三脚で進んで行き、二人でしっかりと握手を交わし、アイコンタクトをとってから「センチメンタル」で弾き語りライヴがスタート。アコースティックギターの素朴で繊細な音色と、二人のハーモニーが心地よく響き渡る。そして、黄色に染まった客席を見渡すと北川が「すっげー! でっかいゆずみたいだね」と笑顔を見せる。しかし2曲目「ところで」の途中でそれまでの青空から一変、いきなり雨が降り出すと、「あれ!? なんかごめん」と曲間にアドリブを入れながらオーディエンスを煽る。
さらに雨脚が強くなる中、路上ライヴ時代からの曲「心の音」と「ねこじゃらし」を演奏し、「まだお客さんがいなかった頃は、雨なんか振るとみんな帰っちゃったけど、今日は帰さないから!」と力強く宣言。そして、事前にアンケートでリクエストを募った「コンビニで店員さんに“温めますか?”と聞かれて待っている間に聴きたい曲」として「もうすぐ30才」と、「街中で“久しぶり”と声をかけられたけど誰だか思い出せないときに聴きたい曲」として「連呼」を披露。オーディエンスの声をかき消すような土砂降りだが、二人の歌と演奏に鼓舞されるようにライヴの熱は高まっていく。
するといきなりすべての照明が落ち、会場内が暗闇に包まれた。停電か何かのトラブルかと観客の間にざわめきが広がるも、ここからクリエイター集団・渋家(シブハウス)とのコラボレーションによる「柚渋メドレー」がスタート。サーチライトやカラフルな照明が会場を照らし、「岡村ムラムラブギウギ」や「LOVE & PEACH」など、お馴染の楽曲が四つ打ちのダンスビートで繰り広げられる。北川もヘッドバンギングやパラパラを踊ったりと、それまでの弾き語りから一変してパーティー状態に。入場時に配られたシンクロライトが一斉に灯り、黄色い光の波が客席で揺れる光景も美しい。そしてこの日の天候を現わすように“突然降りだした夕立みたいに”と歌う「向日葵ガ咲ク時」で、“もうすぐ雨は通り過ぎるから”という一節を歌い上げると、その声に後押しされるように大歓声が沸き起こった。
そして、壮大なオーケストレーションに二人の歌声が重なる「ワンダフルワールド」で、曲に込められた想いをすべての人が共有するような幸福なムードに包まれていると、いつの間にか雨が止んでいた。まるで奇跡のような展開だ。
北川と岩沢がリレーのように歌をつないでいき、一瞬の静寂から阿吽の呼吸で聴かせた「虹」は、ゆずの真骨頂を目の当たりにできるもので、北川の指揮に合わせての大合唱も実に感動的な場面だった。
「『ワンダフルワールド』で雨があがって、みんなで『虹』を歌うなんて、ロマンチックだなぁ。ライヴっていいなぁ。みんながすごい雨の中で頑張ってる姿を見て、涙が出てきたよ」と語る北川。「ありがとう、ありがとう」と何度も感謝の言葉を口にしながら、結成当時のことを振り返り、「聴いてくれる人がどんどん増えていって、応援してくれるお客さんがいて、本当に幸せです。気がつけば、何百人、何万人何万脚になってました。時間が経つと変わっていくものがあるけど、変わらないものもある。変わらない想いとともに、みんなに届けたいと思います」と静かに語りかけ、「二人三脚」へ。未来への決意と誓いが綴られたこの曲を丁寧に歌い上げるゆずの二人。先ほどまでの豪雨が嘘のように穏やかな風がそっと吹き抜け、彼らの想いを胸に刻み込むようにオーディエンスはその歌を受け取った。
アンコールでは、マーチングバンドとともに最新曲「終わらない歌」を披露。総勢100人を超えるフラッグパフォーマンスも華を添え、希望に満ちた楽曲の世界観を視覚的にも再現していた。そして、オープンングで二人が通ったアーチはこのステージを作る際にイメージとして最初にあったものだといい、「アーチをくぐったら新しい自分に出逢う。みんなにとって新しい自分は、ぜったいに最高のものになるでしょう。みんなの毎日が素晴らしいものでありますように」という言葉からラストナンバー「栄光の架橋」へ。「1番は俺たちが伴奏するから、歌える人がいたら歌ってください」と、1番は二人の演奏でオーディエンスが大合唱し、2番はゆずの二人がありったけの想いを込めて力強く歌いきった。
すべての演奏を終えると全方位の観客に深々と頭を下げ、ステージを囲む花道をゆっくりと周り感謝の気持ちを伝えた二人。アーチの下に着くと、互いを称えるように固く握手を交わして抱き合い、何度も客席を振り返りながらステージを後にした。
なお、2日間でのべ約66,000人を動員したこのライヴ音源を収めたライヴアルバム『二人参客 2015.8.15~緑の日~』と『二人参客 2015.8.16~黄色の日~』が、9月9日(水)に発売されることも決定している。
[文=望木綾子]
リリース情報
ライブアルバム『二人参客 2015.8.15~緑の日~』
2015年9月9日(水) 発売
SNCC-86927 ¥2,315+税
※完全生産限定盤
<収録曲>
1. 栄光の架橋
2. 贈る詩
3. なにもない
4. ~風まかせ~
5. 公園
6. 月曜日の週末
7. サヨナラバス
8. 嗚呼、青春の日々
9. 雨のち晴レルヤ
10. シシカバブー
11. 虹
12. 夏色
13. 二人三脚
14. 終わらない歌
15. 少年
16. Hey 和
ライブアルバム『二人参客 2015.8.16~黄色の日~』
2015年9月9日(水) 発売
SNCC-86928 ¥2,315+税
※完全生産限定盤
<収録曲>
1. センチメンタル
2. ところで
3. 心の音
4. ねこじゃらし
5. 流れ者
6. もうすぐ30才
7. 連呼
8. ジャニス
9. 友達の唄
10. シシカバブー
11. 虹
12. 夏色
13. 二人三脚
14. 終わらない歌
15. 少年
16. 栄光の架橋
12inchレコード『NININ SANKYAKU YUZU MEGA MIX』
2015年9月30日(水)発売
SNJC-38901 ¥1,800+税
※完全生産限定盤
<収録曲>
[A面]
岡村ムラムラブギウギ
する~
イロトリドリ
LOVE & PEACH
いちご
[B面]
向日葵ガ咲ク時
ワンダフルワールド