“舞台×脱出ゲーム”『2.5 Escape Stage「甲鉄城のカバネリ」』ゲネプロレポート到着 新機軸の楽しみ方で甲鉄城の一員となれ
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観客参加型の“舞台×脱出ゲーム”という今までにない新感覚エンターテインメント『2.5 Escape Stage「甲鉄城のカバネリ」』がいよいよ1月6日よりシアター1010で上演される。初日の今日、開演前に行われたゲネプロのレポートをお送りする。
元々2016年春アニメとして放送された『甲鉄城のカバネリ』。カバネと呼ばれる化け物となった屍が跋扈する日ノ本。主人公生駒は人とカバネの間の存在「カバネリ」として仲間とともに甲鉄城と呼ばれる装甲機関車で旅立つ。
今回の舞台は舞台オリジナルストーリーを描くもの。舞台×脱出ゲームという新しい試みだが、20分の舞台パート、1時間の脱出ゲーム、そして物語のラストをまた舞台パートで描くと言う形になっている。
物語は甲鉄城がとある廃駅に差し掛かった所から始まる。跳ね橋が下りていたその駅へ、生存者の確認に向かう一行だが、停止した甲鉄城にカバネが襲ってきた。更に、乱戦の隙に、何者かに菖蒲が捕らわれてしまう。この菖蒲を救うことが観客に与えられたミッションだ。
脱出ゲームとの融合とはいえ、所謂2.5次元と呼ばれるアニメーションの舞台化でもある今作。まず驚くのはそのキャラクター造形。
生駒役の伊崎龍次郎と無名役の高橋紗妃が登場した瞬間、本当にアニメーションから飛び出てきたかのように感じた。衣装や小道具がよく出来ているだけでない。「倒すべきはカバネだぁっ!」と、アニメーションと同じように“生きる意味”を熱く叩きつける生駒。軽やかに戦い、愛らしいながらも生に無頓着な雰囲気を見せる無名はアニメで見てきた二人そのままだ。
凛と立ち、麗しさと威厳を見せる菖蒲役の小瀬田麻由、菖蒲を思う財木琢磨演ずる来栖の造形も見事。崎山つばさが演ずる舞台オリジナルキャラクターの拾禊(じゅうけい)も、舞台オリジナルと思えないくらい世界観にマッチしている。
そして何よりカバネ達のメイクと演技が見事だ。“ゾンビ”ではなく“カバネ”の動き方、作中で描かれた恐ろしさを忠実に再現している。
やはり2.5作品はこの「忠実に再現している」という部分が無くてはいけないと実感する。それを実現するにはスタッフ・演者の熱い情熱が必要になってくるのだが、その熱量が本作にはあった。
そして謎解き、舞台に付属しているものだからそこまででは…と思ったら大間違い。超本格的な謎解きが観客を待っている。
所謂シアター型の謎解きゲーム(与えられた謎を客席で解く)だけでなく、実際劇場のロビーを歩き回って謎を発見し、解かなければならない。筆者は一人で参加したのでウンウンとうなりながら挑戦したが、何人か連れ立って行けばチームで協力することも出来る。
謎も解きやすいものから難問まで幅広いが、途中で田口涼演じる巣刈がヒントを与えに来てくれるのも嬉しい所。最初のチェックポイントには竹内諒太が演じる逞生が待っていてくれる。原作で逞生が好きだった筆者は本当に甲鉄城の乗組員になった気持ちになってしまった。
その後も孤軍奮闘してみたが、制限時間60分が過ぎてしまった。筆者はどうしても最後の謎が解けずタイムアップ、しかしゲネプロながら2組の脱出成功者も出ていた。謎解きとしてもかなりのボリュームの本作、ここだけでも相当楽しめる。しかも今回は「壱」と「弐」の2つの謎が用意されている。公演ごとに謎が替わるので、クリアできなかった人は是非別の謎にもチャレンジしてもらいたい。
謎解きの説明の後も舞台パート。迫力の殺陣シーンは見応えたっぷり。劇中の名曲「Through My Blood<AM>」が流れたときは思わず声が漏れてしまいそうになるくらいだった。正直この舞台パートだけで120分の作品を作るのなら必ず見たい。それくらいのクオリティとポテンシャルを秘めている。
見終わり、この作品で描かれたエピソードが原作にはなかった部分ということを思い出した。そう思うと原作アニメーションを見返したくなる、これは何話と何話の間くらいの話なんだろうか……そういう思いを巡らせられるくらいの原作とのシンクロ、これこそが2.5次元作品の醍醐味だ。
カバネリが好きな人は安心して見に行ってもらっていい、そこに居るのは甲鉄城の面々だ、我々の目の前で生きて、闘う彼らを感じることが出来る。そして脱出ゲーム未経験なら是非試してもらいたい。謎が溶けた時のカタルシス、時間が迫る時のスリルは中々日常では味わえないものだ。
脱出ゲームが好きな人も安心して見に行ってもらっていい、歯ごたえある謎がそこには待っている。そして2.5次元舞台未体験なら思いっきり楽しんで貰いたい。画面で見ていたキャラクターが目の前に現れ躍動する興奮は2.5次元舞台ならではのものだ。そして『甲鉄城のカバネリ』という作品の持つ「生き抜くという覚悟と決意」を感じてもらいたい。
勿論カバネリも2.5次元舞台も、謎解きゲームも好きという人がいるのなら、それはこの作品に参加しないのは勿体無い。舞台演劇エンターテイメントの新しい地平線が今開けたのだから。
文・レポート:加東岳史
甲鉄城のカバネリ×脱出ゲーム (C)カバネリ製作委員会 (C)2.5 Escape Stage 製作委員会
甲鉄城のカバネリ×脱出ゲーム (C)カバネリ製作委員会 (C)2.5 Escape Stage 製作委員会
■公演スケジュール
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料 金:4,800円(税込)[指定席]
※未就学児童の入場はご遠慮ください。