The Best Album 2016 -Kan Sanoが選ぶ3枚-

コラム
音楽
2017.1.28

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日頃から“新譜チェック”に余念がない方たちが、各々の視点と尺度で『2016年のベスト3作』を選出。今回は、ミュージシャン・Kan Sanoが選ぶ3枚をお届けします。

話題になってる音楽を熱心に調べたり聴いたりしないけど、2016年は毎月ネットラジオをやっていたから新譜は比較的チェックしていた方かもしれない。ibeyi、The Bird And The Bee、寺尾紗穂さんをよく聴いていました。すべて2015年のリリースですね…。あとRhyeも。ふとしたきっかけでJoni Mitchellの『Blue』が猛烈に愛しくなったり、Patrice RushenやLuther Vandrossを聴き直してはその影響を再確認。その後はオザケンやチャゲ&飛鳥など90年代Jポップにまで及んで。新しい一歩を踏み出すために改めて昔聴いたものを聴き直しました。その結果生まれたのが12月にリリースした『k is s』で、10代に聴いた70年代ソウル、ネオソウル、Jポップの影響が今の自分の美意識で混ざり合った作品になりました。

 

LITTLE CREATURES

未知のアルバム

iPhoneの容量がかなり少ないから、いつも聴きたい音楽を厳選して入れてます。このアルバムは夏のリリース以来常に常備してました。バンドのアルバムにシンセが一音も入っていないのは今時珍しい。オーバーダブもほぼ無し。先輩方、先を行かれてます。大胆に削ぎ落とされたミニマルグルーヴはファンキーな旨み成分多めで、大人の粋と貫禄を感じます。その上に乗っかる青柳さんのダウナーなボーカルが気持ちよすぎる。。。全編日本語で歌ってくれたのもツボでした。

 

De La Soul

And The Anonymous Nobody...

自分の周りには何故か話題にしてる人が少ないけど、これは良作。ミュージシャンのセッションをサンプリングして作ったオーガニックな手ざわりのトラック。新しさはないけどとても丁寧に作られていて、ソウルミュージックへの愛を感じます。ミックスはBob Powerなんですよね。この人は間違いない。Snoop Dogg参加「Pain」の妙にやみつきになるグルーヴを聴いているとRAMPの「The Old One, Two」を思い出します。A Tribe Called Questの新作も素晴らしいけど、こちらの方が今の自分には響きました。

 

Seiho

Collapse

SeihoくんとDaisuke Tanabeさんの活動はいつも気にかけてる。近い世代だしこれからお互いがどう進化していくのか楽しみです。無機質だけどぬくもりがあって、ニュータイプの潔癖症と言えばいいのか、不思議な美意識です。自分には想像がつかない未来の風景を見せられたような感覚。こんな人は他にいないし、貴重な才能です。今作のリリパではバンドセットのメンバーとして共演しました。彼は本当に音楽が好きな根っからのミュージシャンだと思う。

 

Kan Sano
ミュージシャン
キーボーディスト、トラックメイカー、プロデューサー。バークリー音楽大学ピアノ専攻ジャズ作曲科卒業。リリースした3枚のソロアルバムや、メンバーとして参加している松浦俊夫 presents HEXは国内のみならずアジア、ヨーロッパでもリリースされ話題となり、FUJI ROCK FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、朝霧JAM、Monterey Jazz Festival、フランス Worldwide Festivalなど国内外の大型フェスに出演。2016年12月には、サードアルバム『k is s』を発売。
http://kansano.com/

 

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