大宮臨太郎(ヴァイオリン)& 藤村俊介(チェロ) 2人の奏者だけでつくるシンプルかつスリリングな音楽

インタビュー
クラシック
2017.1.30
左:大宮臨太郎 右:藤村俊介 ©Junichi Ohno

左:大宮臨太郎 右:藤村俊介 ©Junichi Ohno


 NHK交響楽団のフォアシュピーラーとして活躍するヴァイオリンの大宮臨太郎とチェロの藤村俊介が、デュオ・アルバム第2弾をリリースする。弦楽器2本のミニマムなアンサンブルに接する機会は貴重だ。

大宮(以下、O)「実際、演奏する機会もなかなかないですし、僕はほとんど初めての作品ばかりでした。2声のみなので、シンプルなだけに難しい」

藤村(以下、F)「とてもスリリング。相手もいるので、無伴奏ソロよりも難しいかな…。かなり覚悟が必要です。でも、こんないい曲が! という発見も多く、マニアックだけど面白いですね」

 この編成の有名曲であるコダーイの二重奏曲に、クラリネットとファゴットが原曲のベートーヴェン(WoO.27)や、バッハの編曲作品などを収録している。

F「コダーイはチェロの作品も多く、特に無伴奏ソナタは、自分の先生(安田謙一郎)も含めて肝いりですから、最初から気持ちが入っていました」

O「藤村さんの雰囲気に合ってますよね。どっしりしていて、尖りすぎず、いい感じでフィットする感覚で。あまり縦線がっちりとした音楽ではないので、いつもオーケストラで求められているのとは対極の、もっと自由な感じを二人で出そうと考えて弾きました」

 ベートーヴェンは、偽作の説もある作品だが、シンプルでとても愛らしい。

F「オリジナルが管楽器のためのせいか、肌と肌を密着させるかのような弦楽四重奏の作風とは違い、さらっとしています」

 バッハは「フランス組曲」や「インヴェンションとシンフォニア」を抜粋した6曲のアレンジなど。

O「鍵盤のアーティキュレーションを、弦楽器でどう解釈するか、いろいろ考えて取り組みました」

F「ピアノでは表現できないレガートを、もっと出したほうがいいのか、など」

O「フレデリック・ノイマンという人のアレンジです。彼の編曲は他に『平均律クラヴィーア曲集』なども含め、全20曲の楽譜がブージー&ホークスから出版されています。これはちょっと面白いレパートリーかなと思っています」

 たしかに、決してお手軽な編曲ものと侮れない魅力は、このアルバムを特徴づけている。「コダーイとバッハ。全然色の違う作品が入っているから、どちらかを好きな人も、知らない魅力を見つけられるアルバムかなと思います」(O)、「われわれ二人も、それぞれの魅力を存分に出せたと思います。相手に気兼ねなく(笑)」(F)と、本人たちの手応えも十分な、楽しみなアルバムが完成した。

取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ 2017年2月号から)

 


CD
『コダーイ:二重奏曲 他』
マイスター・ミュージック
MM-3099 
¥3000+税
1/25(水)発売

WEBぶらあぼ
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