Dragon Ashにナヲ&タブゾンビ、テナーにKj、DJダイノジにナヲが乱入! 『THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2018』DAY2【大隅ステージ】レポート
ストレイテナー、Kj
THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2018
2018年10月8日(月・祝)鹿児島市・桜島多目的広場&溶岩グラウンド【大隅ステージ】
■ぷぷぷ
ぷぷぷ
フィールドに向かって一人ひとりがお辞儀をしながら登場したのは、地元鹿児島出身の女子3人組バンド・ぷぷぷ。今日はWALK INN FES推薦枠での出演だ。メンバーの顔には既に笑みが浮かんでいる。大舞台ではあるが、リラックスしているように見える。彼女たちが手にするベースとギターは、小さな体には不釣り合いなほど大きい。
奇抜なバンド名とは違って、彼女たちのサウンドは至ってオーソドックスなギターロック。しかし、ゆんしゃん(Gt/Vo)とペヤング(B)が代わる代わるボーカルを執り、サビであっちゃん(Dr)も含めた3人で一斉に歌い上げるというスタイルがなかなか面白い。朝イチから集まった熱心なロック好きからも温かい拍手が送られる。うん、いいバンドだ。2曲目にプレイしたのは、ペヤングがメインボーカルを執るスローナンバー「PAN」。素朴なメロディと飾り気のない歌声が相まって、なんとも言えぬ郷愁を誘う。
ぷぷぷ
MCでは、「今日は朝早いのに集まってくださってありがとうございます」とゆんしゃんが挨拶。最後の歌となったのは、桜島から吹き上がる黒曜石を50個集めると願いごとが叶うという噂話を信じていたゆんしゃんの実体験を元に書いた「黒曜石」。彼女たちが黒曜石に乗せた願いは、このステージに立つことだっただろうか。いや、きっとそうではない。もっともっと大きな舞台まで上り詰めた時に彼女たちは叫ぶのだろう「黒曜石を集めてよかった!」と。
■四星球
四星球
●『桜島大根収穫祭』として、フィールド最後方からメンバーたちが桜島大根を担ぎ、それに康雄(Vo)がまたがって登場。
●康雄、「運動会やりたい」でお客さんを紅組白組に分け、「桜島大根収穫の舞対決」「ウォール・オブ・デスを仕切る人対決」「YMCA対決」を経て「どっちが新曲を盛り上げるか対決」へ。「言うてますけども」の「かっこいい!」「やいやい!」のコールを求める。
●康雄、「ほんまに腰やっちゃった。ヘッドバンキングで治そうと思います。ダイスケはんの手術も成功したということで」と、「ぶっ生き返す」のイントロを奏でてヘドバン。
●「クラーク博士と僕」。康雄はオーディエンスの上を転がり、ギターまさやんは客席を走り回り、パイロンをかぶって戻って来る。
●「Mr.Cosmo」で恒例「UFO UFO UFO下りてこい」のシンガロング。康雄、“長渕さん”のバイクの後ろに乗って登場、「ミステリーサークルを作ろうと思います!」と、フィールドに下りてグルーッと走り、それに付いて走るお客さんたちでサークルができる。
四星球
以上、本日の四星球の内容。ネタには終始爆笑で、曲には終始熱狂で応えておられました、参加者のみなさん。
■KEYTALK
KEYTALK
薩摩ステージのアクトが終わり、KEYTALKの4人が大隈ステージに姿を現し、そこから1分も空けずにいきなりリハ曲「HELLO WONDERLAND」を1コーラス披露。このフェス慣れした感じ、さすがKEYTALKである。しかもこれだけで終わらず、短い時間にもう2曲放り込むというサービス旺盛ぶり。
すっかり空気が温まった中、本編は「桜花爛漫」でスタート。そして、「もっと盛り上がるために、パリピになりませんかーっ!?」という熊本出身の寺中友将(Vo/Gt)による呼びかけを合図に「Summer Venus」をプレイ。EDMを取り入れたサマーチューンで観客の一体感はさらに高まっていく。ここまでよどみのない完璧な展開だ。
KEYTALK
中盤は、首藤義勝(Vo/B)のメロディメイカーとしての高いスキルが発揮された「Love me」をアクセントに加え、サンバホイッスルが鳴り響く「YURAMEKI SUMMER」以降、完全なるお祭りモードへと突入。どんな展開で持っていくのがベストなのか、4人はすっかり熟知しているように見える。かと言って、予定調和なノリは感じられない。目の前で踊り狂う観客に向ける熱量がすさまじいのだ。これが数多のフェスを通じてのし上がってきたKEYTALKというバンドの凄みだろう。“KEYTALKのライブはひたすらに楽しい”という印象を観客の脳みそのシワの奥にまで刷り込み、4人は『サツマニアン・ヘス』のステージを降りた。
■女王蜂
女王蜂
前方のファンはジュリ扇振り回して大熱狂、後方のファン以外の人たちは無表情で固まっている、でも目線はステージから離れないし立ち去りもしない──という状況を見るのが、フェスでの女王蜂を観る楽しみのひとつなのだが、今日はその“固まってる”状態から“ファン”に迅速に鞍替えする参加者が多い気がした。1曲目「金星」の<さみしいから今日は帰さない>のところでアヴちゃんが客席を指差したら「おおおーっ!!」とでっかい歓声が挙がったので。「ヴィーナス」を経て、アヴちゃんの口笛から始まった10月3日リリースのニューシングル「催眠術」では、ほとんどの人が初めて生で聴いたとは思えない大歓声。
女王蜂
「デスコ」と「HALF」を、軽やかに、でもおどろおどろしく聴かせてから、アヴちゃん、「鹿児島には人生で初めて来ました。すごくうれしいです」。そして「では最後に1曲やって帰りたいと思います。ありがとうございました、女王蜂でした」と、やたらとかわいく言ってから、あの禍々しさと不吉さの塊のような「告げ口」のイントロが鳴り始める。大隅ステージを重たい衝撃で包んだあと、アヴちゃんはまたかわいく「続きはまた今度(ハート)」と言い残して去った。
■04 Limited Sazabys
04 Limited Sazabys
新作のリリースを2日後に控えているフォーリミが大隈に登場。RYU-TA(Gt)がとにかく観客を煽りまくり、1曲目の「swim」からモッシュやらなんやらでフィールドはもうグシャグシャ。パンクアクトが多い2日目だが、まだまだみんな元気。GEN(Vo/B)が「付いてきてる?」と一瞬気にかけたが、答えるまでもないでしょう。
フォーリミにとって『サツマニアン・ヘス』は、長きにわたって続いてきた平成最後の夏フェス行脚の最終地点。そりゃ熱も入るってもんだ。展開もクソも関係ない。とにかくド直球を投げ込むのみ。
04 Limited Sazabys
観客はと言うと、これがとにかく楽しそう。期せずしてやって来た夏の延長戦を楽しみ切るために、思う存分に感情を爆発させている。クラウドサーフをしたり、走り回ったり、肩を組んで円になったり、食い入るようにステージを見つめたり、あらゆる楽しみ方でこの素晴らしい時を堪能している。その光景は、こうしてレポートを書いている自分がバカに思えてくるぐらい美しい。
そんな様子を俯瞰するバンドの演奏は実にしっかりしている。つんのめりそうな高速ビートにもかかわらず、ボトムはずっしりと思い。だからこそみんながこれだけ全力で楽しめるのだろう。噛みしめるようにじっくり演奏した「Squall」のあとは、「monolith」。名曲を鳴らし終えるのと同時に、フォーリミの夏も、終わった。
■SCANDAL
SCANDAL
いよいよ2日目の『サツマニアン・ヘスティバル』後半戦に突入。SEにスレイ・ベルズの「クラウン・オン・ザ・グラウンド」が流れるなかで、ステージに姿を現したSCANDAL。いきなりHARUNA(Vo/Gt)が「鹿児島、踊れ~!」と叫ぶと、軽快なビートが炸裂した「テイクミーアウト」で集まったオーディエンスを一瞬にして熱狂の渦へと巻きこんでいく。間髪入れず、瑞々しい転調が爽やかなセンチメンタルを描き出す「会わないつもりの、元気でね」へ。先月まで2週間にわたるアメリカ&メキシコツアーをまわっていたということもあり、ロックバンドとして脂ののった最高のテンションで、彼女たちは桜島に乗り込んできた。
SCANDAL
「SCANDAL、初めて見た人?」と集まったお客さんに問いかけたあと、「いっぱいいる。それだけでも鹿児島に来てよかったなと思います」と笑顔を見せたHARUNA。次々に楽曲が表情を変えてゆく「恋するユニバース」から、TOMOMIとのツインボーカルを聴かせながらアグレッシヴに駆け抜けた「LOVE SURVIVE」まで、ライブアンセムを容赦なく連発したSCANDALは年末も含めて今日が今年のフェス最後のステージだという。「持ってるパワーを全部出し切って帰ります」。その言葉のとおり完全燃焼のライブだった。
■Dragon Ash
Dragon Ash
「ミクスチャーロックは好きですか? 俺も大好きです!」。Kj(Vo/Gt)の問いかけに地鳴りのような大歓声を巻き起こしたDragon Ashは、この日、出演キャンセルになった盟友マキシマム ザ ホルモンの想いも引き継いで、そのステージに立っていた。ATSUSHI(Dancer)がバンドのロゴをデザインした逆三角形フラッグを掲げると、ヘヴィな重低音が内に秘めた闘争心を掻き立てる「Mix it Up」からキックオフ。今年で逝去から20年を数えるhideのカバー「ROCKET DIVE」、未来への希望を託した「光りの街」へと、目まぐるしく表情を変えながらライブは進んでいく。
Dragon Ash
KenKenが「SOIL & "PIMP" SESSIONSに大きな拍手を!」と叫んで、超絶スラップベースで魅了した「The Live」のあと、「初めて見たバンドとか、初めて見たディストーションギターとか、初めて見たKenKenとか(笑)、ずっと忘れないでほしいと思います」と語りかけたKjは、来年はホルモンも一緒に出たいと想いを添えた。そして、ラストナンバー「Fantasista」では、ホルモンのナヲとタブゾンビもステージに乱入。「自分たちが出られないのにさ、こうやって出てるバンドのために見にきてるわけよ!」というKjの熱いに言葉にフィールドからは歓喜の声が湧き上がった。
■ストレイテナー
ストレイテナー
すっかり太陽が沈み、大隅ステージも残すところあと2組。「俺たち、ストレイテナーって言います。はじめまして」。美しいライティングの演出も映える時間帯にステージに現れたストレイテナーは、「彩雲」からライブをスタートした。ナカヤマシンペイ(Dr)が刻む大らかなリズムにのせて、日向秀和(Ba)と大山純(Gt)が奏でるベースとギターが繊細に重なり合い、ホリエアツシ(Vo/Gt)が優しいメロディを紡いでいく。
ストレイテナー
「去年の夏ごろに、“地元・鹿児島でフェス的なことをやろうと思ってるんだけど、出てくれ”って言われて。どんな規模でやろうと、タブくんが直々にオファーしてくれるなら、絶対に出ると決めてました。呼んでくれて、ありがとう! 九州人として誇らしい」。ホリエらしい誠実な言葉でタブゾンビへの感謝を伝えると、後半に披露した「Melodic Storm」にはKjも参加。続く「From Noon Till Dawn」には、トランペットにタブを急遽迎えたスペシャルな編成で届けた。ストレイテナーも今年は結成20周年のアニバーサリーイヤー。彼らのもとに、同じ時代を歩む盟友たちが次々と集っていく光景は、祝祭感に満ちた素晴らしいものだった。
■DJダイノジ
DJダイノジ
2日間にわたり歓喜と興奮が渦巻いた大隅ステージのトリを飾ったのは、日本一フェスに呼ばれる芸人=DJダイノジ。開演の少し前にステージに登場すると、「重々わかってます。我々が目当てじゃないことは(笑)」と、大谷ノブが自虐気味に言っていたが、その後の最高に素晴らしい景色を目の当たりにすれば、たとえ目当てではなくとも、彼らが日本のフェス文化で欠かせない存在になっていることは一目瞭然だ。
DJダイノジ
準備運動とばかりに投下したジェットやヤバイTシャツ屋さん、TOTALFATでは、大地洋輔のエアギターでも会場を湧かせる。中盤からは「シミ」「恋のメガラバ」など連射するホルモン祭りへ。そこに乱入したナヲが、「何!? 今日、おばちゃん、袖で泣いちゃった!」と言いながら「CAT'S EYE」を熱唱したあと、「来年はマキシマム ザ ホルモン参加させてください!」と伝えると、大隅ステージは歓喜の声が湧き上がった。
最後は鹿児島のご当地アイドル、サザン☆クロスも参加した10-FEET「Goes On」で終演。集まったお客さんが隣の人と肩を組み、フィールドに巨大なサークルをいくつも発生させた大団円は、やはりDJダイノジにしか作れない。
DJダイノジ
取材・文=阿刀“DA”大志(ぷぷぷ、KEYTALK、04 Limited Sazabys )/秦理絵(SCANDAL、Dragon Ash、ストレイテナー、DJダイノジ)/兵庫慎司(四星球、女王蜂)
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