WILYWNKA、Yo-Sea、加藤ミリヤ、tofubeatsら豪華アーティストが集結ーー神戸の街がヒップホップで沸いた『KOBE MELLOW CRUISE 2024』初日レポート

レポート
音楽
2024.7.13

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『KOBE MELLOW CRUISE 2024』2024.5.25(SAT)兵庫・神戸メリケンパーク内 特設会場

『KOBE MELLOW CRUISE 2024』が今年も5月25日(土)、26日(日)の2日間にわたり、神戸・神戸メリケンパーク内の特設会場で開催された。「文化を発信してきた港町・神戸を象徴するポートタワーの麓、メリケンパークで開催する新たな都市型音楽フェス」として、2022年にスタートし、今年で3回目の開催を迎える。音楽はもちろん、アートやファッション、グルメなど様々なカルチャーをクルージングしながら贅沢な時間が楽しめる都市型野外音楽イベントとして、人気を集めている。今年も日本のヒップホップシーンを牽引する豪華ラインナップが集結。初夏のような快晴の中、最高のグルーヴが生まれた初日のステージをピックアップしてレポートする。

初日公演には、WILYWNKA、Elle Teresa、guca owl、IO、Kohjiya、Kvi Baba、Novel Core、tofubeats feat.藤井隆.Aile The Shota.Neibiss、Yo-Sea、3House、加藤ミリヤ、清水翔太、ゆるふわギャング、Young Coco(O.A.)が出演。会場は「URBAN STAGE」「SEASIDE STAGE」の2つのステージのほか、ちょっとした休憩にも使える芝生エリアなども備えた、心地よい海からの風が吹き込む抜群の空間。ステージ間の移動距離も短く、いつでも最高の音楽に浸れるとあって、観客は早い時間から『メロクル』の雰囲気を存分に満喫していた。

オープニングアクトは「チーム友達 (Dirty Kansai Remix)」で話題を集める、兵庫・西宮出身のYoung Coco。ワールドワイドに活躍する注目のラッパーというだけあって、観客の注目度は高く「一発目からブチ上がれるっていう人、一緒に楽しもうや! 日頃の鬱憤晴らしましょ!」とステージを飛び出し、フロアギリギリまで攻め込みながら「Osaka to Kobe」「チーム友達 (Dirty Kansai Remix)」などで存在感をアピール。

Kvi Baba

『メロクル』3年連続出演のKvi Babaは「Luv Myself」からさっそくチルな空気を作り出すと、「愛槌」で儚くも美しいリリック、心地よく揺れる歌声でオーディエンスを魅了。「このなかに元カノ来てるらしーよ」と言葉をかければ、おなじみの「Fuck U &Love U」へ。 刹那を描いたストレートなリリック、メロウでキャッチーなトラックに心癒されたかと思えば、「Fight Song」ではトラックが流れた瞬間、大きな歓声が沸き起こる。ミドルナンバーだけど、等身大のリリックに気付けば気持ちが鼓舞されていく。「Ms.U」ではidomとともに、唯一無二の詞世界を見せつけ、”リリシスト”と称されるのも納得の、美しい言葉たちで酔わしてくれた。

加藤ミリヤ

『メロクル』初出演の加藤ミリヤは真っ赤な衣装を身に纏い、「Respect Me」から強烈なメッセージを放っていく。この日はバンドセット&ダンサーを引き連れてのステージとあって、低音を効かせたサウンドと相まって迫力もひとしお。この日のセットリストは「ディア ロンリーガール」など新旧様々なナンバーで、シンガーソングライターとしての多彩さを見せつけていく。しかも「今夜はブギーバック」「SAYONARAベイベー」、デビュー曲「夜空」など、贅沢にメドレーでヒットチューンを連発! 「Love Forever」では盛大なシンガロングが響き、初の『メロクル』にご満悦な彼女。ステージ後半はヒップホップ全開なナンバーを連打。「人生一回きり、愛し愛されて生きてほしい!」と、「DEVIL KISS」で色香たっぷりなステージで観客を魅了。

清水翔太

サウンドチェックから会場を沸かしていた清水翔太は「Sorry Not Sorry」からエネルギッシュな歌声を響かせていく。しなやかでエッジーな歌声をグルーヴィーでご機嫌なトラックに乗せる「Friday」では、本人はもちろん、ダンサーもバンドもとにかく楽しそうで、その空気感はあっという間に観客にも伝染。「Baby I love you so」「thinking bout you」では気持ちが解れるネオソウルサウンドを聴かせるなど、MCの時間さえ惜しいと、短い時間のなかで自身の魅力をこれでもかと打ち出していく。名曲「花束のかわりにメロディーを」では彼の言葉を、声を、メロディーを一瞬も漏らすまいと真剣な眼差しでステージに魅入る人の姿も。ラスト「Fallin」など、多面的な恋愛描写を描いたステージで初の『メロクル』に鮮明な記憶を残していった。

tofubeats feat.藤井隆.Aile The Shota.Neibiss

雲一つない晴天……とはいえ、容赦なく照りつける太陽の熱で項垂れそうなところへ、tofubeatsが「I CAN FEEL IT」「RUN」とご機嫌なトラックをぶつけていく。さすが『メロクル』常連&神戸出身、地元のオーディエンスを盛り上げる術は熟知していて、あっという間にフロアのテンションも上昇。「don't like u」ではNeibissと、「LOVE」ではAile The Shotaとコラボ。さらに、「ライブっぽいことも!」と、藤井隆とともに「ディスコの神様」をプレイ。爽やかにステージインした藤井隆は「みんな最高~♪」と、オシャレなサウンドに合わせ、抜群のリズム感で歌い踊る。ハッピーオーラいっぱい、胸キュンしまくりのステージで観客を虜にしていった。



バチバチのヒップホップやソウルで踊り続けるのも楽しいけれど、『メロクル』は出演者も多いし、時間はまだまだたっぷりとある。音楽フェスならやはり”フェス飯”は楽しんでおきたいところ! 会場には「JESUS PIZZA」「中華とお酒マルマン」など、神戸を代表する飲食店が出店。ほかにも淡路島のタマネギをたっぷり使ったカレーや、肉汁たっぷりのハンバーガーなど、しっかりと食事が楽しめるショップが多数。芝生エリアも充実していて、”チル”にぴったりなビーズクッションがあちこちにセットされているので、食事やアルコールを楽しみながら音楽を聴くこともできて、贅沢な時間を楽しむことができた。

Elle Teresa

ふさふさのつけまに超ロングのスカルプネイル、日本人離れしたルックスと思わず目が釘付けになるファッションで登場したのがフィメールMC・Elle Teresaだ。中毒性のある甘い声、気だるげに操るフロウで「GAL」「Bubble」と、ギャルいリリック満載の楽曲でオーディエンスを虜に。色気たっぷりにヒップラインをくねらせれば、同性から「可愛い!」の歓声も。「Nail Sounds」「Tsukema」は遊び心いっぱいのリリックが耳から離れない。「朝まで楽しめるくらい楽しい! みんなの愛を見せてください」と、ラスト「6 AM」「LOVE」まで、この日も”可愛い”をまんま具現化したスタイルで魅せてくれた。

IO

美味しいとこ取りな、ショートチューンの連打で終始オーディエンスをアゲ続けたIO。リリックのワードセンスも抜群な「Honto」、ピアノの旋律を落とし込んだトラックが洒落てる「左利きのBenz」など、どれもオーディエンスの好反応が止まらない。「Your Breeze」は夕暮れの海岸線をクルーズするような、とろけそうな心地よいビートに恍惚の表情を見せて踊るオーディエンスも多い。『メロクル』のロケーションの良さがライブのテンションを一層高めてくれる。また、『メロクル』の楽しみのひとつといえば客演。Kohjiyaとの「Racin’」、MonyHorseとの「City of Dreams」「TOKYO KIDS 」など、贅沢なステージ&極上のナンバーで観客をヒートアップさせる。

Yo-Sea

「SEASIDE STAGE」のトリを務めたYo-Seaのステージでは客席一面にカメラが掲げられていて、期待値の高さが言わずもがな。そして待ちに待ったステージ、まずは「Body & Soul」からメロウなサウンド、エモーショナルで艶のある歌声で観客を心酔させていく。「最高のステージだから、みんな一緒に歌おうよ!」と呼びかけた「Without You」。

とろけるような柔い声、チルなサウンドは暑さが和らいだ海沿いのロケーションに見事にハマっている。『メロクル』初出演のYo-Seaは「フェスってこんなに気持ちいいんですね」と、美しい夕焼けを眺めながらのステージにご満悦で「Voyager」「Flower」など、至高のナンバーで独自の世界観を打ち出していく。

WILYWNKA

初日のトリを務めたWILYWNKAはハイテンションでステージに駆け込むと、自己紹介代わりと、今年2月にリリースされた新曲「Excuse Me」でその存在感を誇示。完成度の高いリリックや中毒性高めなフロウ、スリリングなトラックと、大勢の観客を前にどれだけ大きなインパクトを残せるか……。その気迫は、続く「90‘s Baby」「That’s Me」で“WILYWNKA”の本質を余すことなく見せつけてくれた。この日は5月にリリースされた4thアルバム『90‘s Baby』を中心としたステージ。「新曲いっぱい持ってきたんで!」と、「PUSH ’N‘ PUSH」ではスケボーの“プッシュ”よろしく、じわじわとスピードを上げていくようなトラックに煽られ、特効の火花が飛び散る「油断大敵」では鬼気迫るビートに興奮が止まらない。

「神戸、めっちゃ楽しい!」と叫んだ、気持ちまんまな「メッチャ楽Shit」、1フックだけで会場が大いに沸いた「Everyday」と、惜しみなくWILYWNKAワールドを披露。ライブ中盤には「Oh Girl」でguca owlがゲストインするなど、ステージはワンマンライブさながらの盛り上がりを見せていく。MCでは、「学もないし腕もない。ラップがなかったらただのボンクラ。夢中になれるのはヒップホップ。自分にはこれしかない!」と、改めてヒップホップの魅力を語り、「Go Crazy」や「Living In This World」で最新型のWILYWNKAのスタイルで魅せる。

「今が幸せ! 金はなくても友達やファミリー、いいライブができたら。僕の幸せの形のひとつ」と、盟友・VIGORMANとともに「RICHMAN」をコラボ。今この瞬間が誰よりも“RICH”なんだと、心温まるラップで想いを伝えると、ラストは「Our Style」でいつも通りの剛毅なパフォーマンスで締めくくり、全16曲のステージが終了。ライブ直後、盛大な花火が打ちあがり『KOBE MELLOW CRUISE 2024』初日の幕を閉じた。

取材・文=黒田奈保子 写真=『KOBE MELLOW CRUISE』提供(撮影:オイケカオリ、ハヤシマコ、Hiroto Yorifuji


■2日目のレポートはコチラ!

YENTOWN、LANA、SIRUP、BMSG POSSEらが神戸で魅せた一体感『KOBE MELLOW CRUISE 2024』2日目レポート

■ 次のページでは掲載しきれなかった写真も多数公開!

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