『FAIRY TAIL』主演・宮崎秋人にインタビュー  「主人公のナツを板の上で“生きている男”にしたい」

インタビュー
舞台
アニメ/ゲーム
2016.4.22
宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」


講談社「週刊少年マガジン」で連載中の真島ヒロ作「FAIRY TAIL」がついに舞台化! ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」と題された本作で、主人公のナツ・ドラグニルを演じるのは、宮崎秋人。宮崎といえば舞台 『東京喰種トーキョーグール』AGAPE store『七つの秘密』、つかこうへい七回忌特別公演『引退屋リリー』など、ジャンルを問わず重要で個性的な役を多数演じてきた。さて、今回挑戦するライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」はどのような舞台にしていこうと思っているのだろう。稽古場の宮崎から話を聞いてきた。

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

――宮崎さんはこれまで漫画をはじめ、原作がある作品の舞台に数多く出演されてきましたが、この「FAIRY TAIL」はその中でも1,2を争う人気作ではないでしょうか?

宮崎: そうですね。アニメ化もされていて、原作も1巻が出てからすごく長く続いている作品ですし。

――長く続いているからこそですが、ナツの設定もどんどん増えているし、技の数もこんなにあるのかって!今回、舞台の方ではどんな技を披露されるんですか?

宮崎: ナツに関しては魔法も炎も使えますが、それより肉弾戦が多いなっていう印象があります。やはり、舞台で見せるには手を伸ばして映像とかいろいろ使って「はい炎です」ってやっても何の説得力も生まれないし、観ている方も「まぁ…そうだよね」っていう風にしか思わないだろうし。自分はそれよりも汗を流して戦う方に重きを置きたいです。

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

――今、稽古真っ最中ですが、やっていて面白いですか?

宮崎: 面白いですね。みんな個性強いですし、こうやって原作がある作品をやるのはいつぶりか…「東京喰種トーキョーグール」ぶりか!久しぶりだから、どうやってやるんだったっけって(笑)
正直最初、本読みをやった時から「こんな感じで役を作っていたかな…?」って自分が不安になりましたね。「こんなに自分は原作を意識していたっけ?」って。これまであまり自分では原作を意識せずにやっていて、自分の中に取り入れたら好き勝手やっていたんですけど、今回は「ナツ」という主人公を、自分の中ですごく意識しちゃっているなって。それをこの後取っ払っていきたいなと思っています。

――演出の児玉(明子)さんは、そのあたりについて何かアドバイスされたりしますか?

宮崎: そこまでは話していないですけど、芝居の稽古をして、ダメ出しとか聞いていると、児玉さんも考えていることは同じだろうなって感じます。もっともっと血を通わせてナツ・ドラグニルを板の上で「生きている男」にしないとな、と。セリフも別にナツがバババーッてしゃべったりすることは原作でもほとんどなく、ポッと一言しゃべるくらいなんです。基本的にルーシィなどがよくしゃべるから。だから、セリフがない時に自分はどう演じるんだったっけな、と(笑)なんだかフワフワしてましたね。燃えてきた!とか(セリフで)言っているのに自分の中では全然燃えていないなって感じていて。

――そのフワフワ感って今までの作品では感じたことがなかった?

宮崎: なかったです。「東京喰種トーキョーグール」以来、2.5次元作品は久しぶりで、今まではがむしゃらにやっていて、ただまっすぐぶち当たっていただけなんですけど。その後たくさんの舞台経験をさせていただいたので、演じる事への取り組み方自体が変わったのかなって、無意識に。

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

――ある意味自分が成長したからこそ、逆になかなか自分に入ってこなかったナツという役ですが、ナツという人物に共感できるところはありますか?

宮崎: 仲間思いなところ。人を大切にすることは一緒だなって思いますね。小さい頃からお母ちゃんに叩き込まれていたので。人を大事にできない奴は人じゃないと思っているので。ナツは仲間思いだし、もっと言うとみんなを家族だと思っているし、ただ環境が違うだけで、敵とは見なさない。今は敵でも、明日からは仲間になっているかも。

――今回、アクションの手数がかなり多いということですが、そちらの準備は?

宮崎: 先日一か所の手数がつきましたが、「こんなに戦いますか!?」っていう感じで。正直肉弾戦は大事にしたいって思っていたんですけど、ここまで肉弾戦なんだなって!

――今回出演される方々は、女性を含めて腕に覚えがある人ばかりですよね。

宮崎: 佃井(皆美)さん、刀持たせたらキレキレですよ!

――百瀬(美咲)さんもアクションが得意だそうですね。

宮崎: らしいですね。でも役的にはそういうキャラじゃないから、もったいないですね。僕もキャスト一覧を見て、百瀬さんのことを調べたときにめちゃめちゃ動ける人なんだろうなって。(伊波)杏樹ちゃんも動ける人ですもんね。

――佃井さんのキレキレぶりはちょっと期待したいですね。

宮崎: 負けたくないですね。男としては!

――他のキャストからアクションを教えてもらったりすることもあるんですか?

宮崎: 僕は教わるより見ている方が身につくタイプなので、よく見ていますね、人の動きを。僕は左利きなので、構え方が逆なんです。しかも初めてなんですよ、素手で戦うのが。今までは刀や銃を持っていたりしていたので。

――稽古でアクションをするときは右でやるんですか? 

宮崎: 右ですね。右で蹴るのも初めてなので。バランスも全然違います。今はひたすら右利きの生活にならそうと頑張っています。

――最終的に両手が使えたらそれこそ万能になりますもんね。二刀流ものとかもできるようになるし! 

宮崎: もう、そのときは喜んで!

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

――では男性陣について。同じ俳優集団D-BOYSから魅力的なお二人が参加されていますね。

宮崎: 白又(敦)くんはよくしゃべる奴だなって(笑) 前にドラマで一度共演したことがあったんですけど、そこからまたこうやってがっつり共演できるなあって。

――しゃべる以外の(笑)白又さんの魅力といったら何ですか?

宮崎: 本人にも言っていますけど、バカだなって(笑) いい意味でおバカ。真っすぐなんですよね。身体を鍛えないといけない、となったら筋トレのプロだなって思うくらい自分で勉強してすぐに取り組む。お芝居もそうです。今回グレイ・フルバスター役だから、グレイのことや「FAIRY TAIL」のことも本当に勉強していて。どんどんのめり込んでいくタイプで、雑念なくすぐ取り組むから、すごく魅力的だなって思いますね。白又くんが出演していた「パラノイア★サーカス」を観に行った時に、演出の毛利(亘宏)さんも僕と同じようなことを言っていて。「1個言ったら白又は真っすぐにつき進むから、面白いわ」って。全くその通りだなって。

――荒木(宏文)さんは?

宮崎: 荒木さんは素敵ですよね。見守ってくれているので、安心して自分は好き放題やらせてもらっているなって。

――「兄貴」を通り越して「お父さん」みたいになっている(笑)

宮崎: そうですね。荒木さん、同じ板の上で一緒に立てるのは光栄ですね。

――稽古場の雰囲気はいかがですか?芝居上の敵・味方同士で自然と固まったりするものですか?
 
宮崎: そんなことはないですよ。俺ががつがつ敵役の(郷本)直也さんと絡んでいたり、(山本)一慶くんと絡んでいたりするので、その辺は割とわけ隔てなくわいわいやっています。女の子チームは女の子チームで仲良くしていたりしますね。

――ちなみに、「強い!」「絶対に負けたくない」って人はいますか?
 
宮崎: 過去に戦った経験があるので言えます…直也さんはやっぱり対峙するとデカいので「おっ!」ってなりますよ。正直パンチも上から降ってくる感じなので、なかなか威圧感があります。こっちから顔を殴ろうと思っても上向きに撃たないといけないので。こっちのハイキックも(郷本の)胸くらいにしか届かないんですよ。やりづらいですけど、やりがいはありますし、対峙するのは楽しいです。だから、早くナツ対ゼロ(郷本)の戦いでの動きを掴みたいって思っています。

――今は本番に向けて、各自筋トレしている状態ですか?

宮崎: そうですね。直也さんもかなり筋トレを頑張っています。白又くんを先生にして…俺もそうですけど、俺と白又くんが筋トレグッズを稽古場に持ち寄って、みんなで筋トレしています。
他の人たちが稽古していると、誰かしらの「フウッ」って(筋トレ中の)荒い息が聞こえてきて…だいたい俺か白又くんなんですけど(笑)みんな、マジメに稽古しているのにごめんなさい、と内心思っています。でも隙あれば筋トレしていますね。

――肌が出るところは出てしまう衣装ですし、筋肉はつけておきたいですよね。

宮崎: 愛加(あゆ)さんもなぜか筋トレに参加するんですよ。(筋トレする必要が)ある?って思いますが、筋トレ自体が好きらしくて。「でも、(俺としては)ムキムキにならないで・・・って思ってます。

――ムキムキのルーシィはちょっと怖いですね(笑)

宮崎: 腕が筋肉でボコンとなっているルーシィは僕も見たくないので、腹筋とかにしてくれないかなって(笑)。

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

宮崎秋人 ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」

――さて、児玉さんの演出についても伺います。ここは児玉さん流だなって思うところはありますか?

宮崎: 片時も原作マンガを手放さない。お芝居の中でも、(マンガの)ある一コマでのキャラクターの立ち位置だったりも、忠実に再現できるところはしようとします。求めることがすごいんですよね。極端な話、演劇的じゃないというか。例えば、(マンガの中で)あるキャラが走るときに(マンガ的に)脚をぐるぐる回している場合、「そのように走ってみて!」とオーダーしてくるので「やってやろうじゃないか!」とは思いますね。他の演出家さんだったら、マンガに描いてあるこの表現をどう(舞台で)やってやろうか、から考える人が多いと思うんですが、児玉さんに関しては、マンガを見て、それをそのまま注文してくるので、こっちがどうにかしてやろうって、いろいろ頭使います。すると、考えもつかなかったことが出来上がったりするし、こっちの脳みそも頼ってくれているのが嬉しいですね。

――児玉さんのこれまでの作品がどれもすごくぶっ飛んでいる!って感じるのは、そういう演出スタイルだからなんですね。

宮崎: いちばんファンタジーに生きている人だなと思いますよ。児玉さん、面白いですよ。

――最後に、ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」を楽しみにしている方にメッセージを。

宮崎: 舞台ならではの見せ方で、漫画にも原作にもアニメにもない見せ方が盛りだくさんです。だからこそ、“舞台”とはうたわず、“ライブ・ファンタジー”なんだ、って観に来た方はきっと分かるんじゃないかな。児玉さんの頭の中のビックリ箱…というか宝箱の中身を自分たちが体現できるように、残された期間で全力で頑張ります。劇場でお待ちしています。

公演情報
ライブ・ファンタジー「FAIRY TAIL」
 
■日程:2016年4月30日(土)~5月9日(月)
■会場:サンシャイン劇場

■原作:真島ヒロ「FAIRY TAIL」(講談社「週刊少年マガジン」連載)
■脚本・演出:児玉明子

■出演:
宮崎秋人
愛加あゆ 白又敦 佃井皆美 桃瀬美咲
郷本直也 古谷大和 山本一慶 伊波杏樹 伊藤千秋 クリス・マッコームス
富岡晃一郎 小野健斗 熊野利哉 小澤廉
荒木宏文
釘宮理恵(声の出演)、堀江由衣(声の出演)

■公式サイト:http://www.fairytail-stage.com
■お問合せ:ゴーチ・ブラザーズ TEL:03-6809-7125(平日10:00~18:00)

 
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