welcome to THE 沼!・ 第七沼『ファミコン沼』
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「沼」。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深く、なすすべもなく息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、
ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第七沼(だいななしょう) 『ファミコン沼』
あの“挨拶しないオバサン”は、なぜかまた挨拶しなくなった。
前号参照↓
第六沼(だいろくしょう) 『人間観察沼〜挨拶しないオバサン編』
さて、本日のお題は「ファミコン」。
最近、任天堂がいわゆる懐かしの『ファミコン』を小型化して発売したところ、大ヒットしているようだ。小型化された上、カセットには名作が複数入っているという。
少年時代にリアルタイムに見たゲーム史の流れ
私が小学生の頃、ちょうどインベーダーゲームが社会現象になるほどの盛り上がりを見せた。しかし、筐体がテーブル式になっており、喫茶店やゲームセンターへ足を運ばなくてはプレイする事が出来なかった。
また、当時の小学生に「一回100円」は厳しすぎる価格。それでも「母ちゃんサイフ」から密かに捻出した100円玉を握りしめ、「ゲームセンター嵐」を読みながらインベーダーゲームに熱くなったものだ。
時系列は忘れたが、ちょうどその頃任天堂から「TV GAME15」が発売される。
これは単純なテニスゲームのようなものが15種類入った据え置き型で、家庭用のテレビに繋いでプレイする事が出来たので大ヒットした。
次に、80年にエポック社から「テレビインベーダー」という家庭用のテレビゲームが登場!ドットが荒すぎて本物のTAITOのアーケード版インベーダーゲームとは程遠いチープさであるが、それでも小学生の我々にとっては何度やってもお金がかからないため大歓迎されたのである。(名古屋撃ちも出来ないしな)
その後、ゲームウォッチ(今でいうDSのようなもの)など、モバイルできるゲームも大ヒットした。
また、沢山のタイトルも用意されていた。
そしてついに世界にNITENDOの名を知らしめるべく登場したのが
「任天堂ファミリーコンピューター」だ。
これはなんと言っても任天堂以外のサードパーティーのソフトを使えるという点に大きな勝算要因があった。しかしそれによる弊害、いわゆる『クソゲー』も沢山生み出された。
しかしだ。
その頃私はゲームに全く興味を持っていなかった。もう大人になっちゃっていたのだ。
また他にもその原因の一つに、一人っ子だった私は、競争心というものがあまりない。おまけにゲームが異常に下手くそなので、友達とやると必ず負けるばかり。いつのまにかテレビゲームから遠ざかる事になった。「人生ゲーム」をたった一人でやっていた寂しい口だ。
ファミコンとの出会い、沼にハマったワケ
時代は変わりファミコンが完全に忘れ去られ、世はプレイステーションの時代。素晴らしいグラフィック、サウンドに世界が魅了された。
しかし、ここで私は違和感を感じた。
グラフィックがいくら進化しても、サウンドがそのままオーディオファイルでリアルになろうとも、ゲーム自体の本質は全く変わっていない事に気付いたのだ。
ご存知の通り、私の音楽活動における現在のスタイルはアナログハードウェアーを使う、という一見時代に逆行しているようなスタイルだ。では何故コンピューターを使用しないのか??
・・・答えは超絶簡単だ。
まず、立ち上がりが遅いのだ。
現代のゲーム機は先ずコンピューターのようにシステムを読み込む。これがタルいのだ。
これは電子楽器にも言える。コンピューターで音楽を作る場合、やはりシステムを読み込む時間がある。
つまり・・・・
システムを読み込んでいる長い時間の中で、発想を形にするやる気が失せてしまう。思いついたフレーズを忘れてしまうのだ。現代のテレビゲームも同様の仕様のため、システムを読み込んでる時間がまどろっこしい。
ところが初代のファミコンやアナログシンセはスイッチ一発押せば即開始する事が出来、終了する事もできる。ゲームに失敗してイライラしたらぶん投げることもできる。
それにデジタル化された最近のテレビとつないだ時に、最近のテレビはバッファーを蓄えているようで、そのぶん画像が遅れる。
これじゃゲームにならん・・・。アナログテレビにつないだファミコンはサクサクと思い通りに動くじゃないか!
デジタルの最新ゲーム機は、万が一フリーズした場合、再起動をしなければいけない。しかし、ファミコンだったら、ぶっ叩くか、カセットを抜いて「フーフー」すれば一発で治るんだよ!そんなもんだったので、実は私がファミコンにハマったのはプレーステーションが出はじめたずっと後だったのだ。
あのえんじ色と白の変な配色のファミコン本体をRCA出力できるように改造し、モニター用のアナログテレビまで用意した。そして、中古ソフトを大量に大人買いした。
ファミコンのゴッドファーザー「高橋名人」との出会い
ファミコンのルーツを調べ始めると、「高橋名人」という人間にたどり着いた。彼はハドソンの営業社員でありながら、そのテクニックとキャラクターであらゆるメディアでファミコンの普及に尽力を尽くし、ファミコン界のアイコンにもなった。1秒間にボタンを16連射するなどのエロいテクニックを持ち、その破壊力はスイカを一瞬にして砕くパワーを持ち備えている。
「ゲームは一日一時間」
という教育方面にも気を使ったと思われる名言も残した。その高橋名人が開発したと言われるジョイスティックを私は買い占めた。もちろん連射練習用のシュウォッチも。
ファミコンの代表作といえば「スーパーマリオ」や「スターソルジャー」と誰でも口を揃えていうだろう。
しかし、その影で悲しい運命を辿る事になる迷作、いわゆる「クソゲー」も山の様に存在する。ある友達の話によると、中学生の頃、親に頼んでファミコンを買ってきてもらったそうだ。もちろんカセットは「スーパーマリオ」のハズ・・・・・・だった。
しかし、その彼のお母ちゃんが店で買い物をしていて、気がきいてるんだか、迷惑なんだか分からない店員に「こちらの方がお得ですよ!」と少し安く本体と抱き合わせで販売している代物だと差し出されたのが「いっき」だった・・・・。
何をどうすればいいか、無限地獄の「いっき」・・・。
彼は思わず家庭内で「いっき」を起こしそうになった、と語る。
クソゲーの代表作中の代表作だ。
また、この「バンゲリングベイ」も同様に無限地獄。何をすればいいのか全くわからない・・・。ヘリコプターで飛んでいるだけなのだ。
新しく発売された小さなファミコンはどこも品切れらしい。果たして上記の2つのタイトルは入っているのだろうか。
趣味だけに留まらず、音楽をも侵食するファミコン
話は変わるが、その後もファミコンにハマった私は、ファミコンの被り物をしたあるバンドでヨーロッパに二度も遠征してきた。しかし、海外のファミコンは名称もデザインも全く別物なのだ。
NES(ニンテンドウ・エンターテインメント・システム)
読み方的には
「ネス」
と言ってグレーの筐体だ。
この海外仕様の被り物をわざわざ電気グルーヴの被りもの担当で私の旧友「ウヤマン」に頼んで作ってもらった!!その作品こそがこれだ!↓
手前がgalcid lenaで奥が私だ。
デジタルのメリットは計り知れない。でも、やはりアナログに勝るものは無い、と私は思う。
あなたもまだまだ遅くは無い。
一緒に沼の住人になり「フーフー」しようじゃないか・・・。