下野竜也(指揮) 読売日本交響楽団 「新世界」に託す有終の美

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クラシック
2017.3.14


 読響の今シーズンを締めくくるのは、首席客演指揮者の下野竜也。3月でその任を終える実力者が有終の美を飾る。2006年から正指揮者、13年から現ポストで同楽団と関わってきた下野は、意欲的なプログラムと精力的な演奏で高い評価を確立。スクロヴァチェフスキ、カンブルラン両シェフを巧みにフォローしてきた。中でも最大の偉業が、日本では前代未聞に等しいドヴォルザークの交響曲全曲演奏。従って今回最後に置かれた交響曲第9番「新世界より」は、下野&読響の集大成的な意味合いを有している。しかも近年の読響は充実顕著。万感の想いをこめた下野渾身のタクトのもとで、濃密かつ感動的な「新世界」が展開されるに違いない。

 パッヘルベルの「カノン」とフィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第1番が並んだ前半のプロも目を引く。カノンと後者のミニマル・ミュージックは“反復”が共通項(あえて言えば「新世界」も序奏動機が反復される)。加えてグラスの協奏曲にはバロック風・パッヘルベル風の動きも垣間見えるという、下野の面目躍如たるカップリングだ。ちなみにグラスの協奏曲は、抒情的な美しさと明快なダイナミズムを湛えた音楽で、同曲の生体験だけでも行く甲斐がある。ソリストは、09年ハノーファー国際コンクールを最年少で制して以来、国際的な活躍を続け、NHK大河ドラマ『真田丸』のテーマ演奏でも注目を浴びた人気奏者・三浦文彰。彼のエネルギッシュかつ繊細なソロもむろん聴き物だ。

 4月から広響の音楽総監督=“新世界”に赴く下野の、最後まで清新な「音世界」を満喫しよう。

文:柴田克彦
(ぶらあぼ 2017年2月号から)


下野竜也(指揮) 読売日本交響楽団
第195回土曜マチネーシリーズ
3/18(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第195回日曜マチネーシリーズ
3/19(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第94回みなとみらいホリデー名曲シリーズ
3/20(月・祝)14:00 横浜みなとみらいホール
問合せ:読響チケットセンター0570-00-4390
http://yomikyo.or.jp/
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