劇団四季「オペラ座の怪人」佐野正幸&山本紗衣、ロイド=ウェバーの魅力に迫る

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2017.3.12
左から佐野正幸、山本紗衣。

左から佐野正幸、山本紗衣。

劇団四季によるミュージカル「オペラ座の怪人」の横浜公演が、3月25日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて開幕。これに先がけ、稽古場取材が昨日3月10日に行われた。

劇団四季とKAATによる初提携となる本作は、フランスの作家ガストン・ルルーの同名小説をもとにしたミュージカル。オペラ座の地下に棲む怪人と歌姫クリスティーヌの愛を、アンドリュー・ロイド=ウェバーの旋律によって紡いだ人気作だ。なお、劇団四季が横浜エリアで長期公演を行うのは、2009年11月から2012年11月までみなとみらい21地区の仮設劇場で上演されたミュージカル「キャッツ」以来約4年ぶりとなる。

稽古に先立ち、劇団四季代表取締役社長の吉田智誉樹氏が挨拶。その後、演出スーパーバイザーの北澤裕輔を中心に稽古が進められた。この日、オペラ座の怪人役候補を務めたのは、2006年より同役を演じている佐野正幸。またクリスティーヌ・ダーエ役候補として、2011年の「オペラ座の怪人」で初舞台を踏み、2014年から同役を務めている山本紗衣が登場した。公開されたのは、第1幕第1場「シャリュモー作歌劇『ハンニバル』のリハーサル」の場面と、「Think of Me」「The Point of No Return」のシーン。「Think of Me」では、山本扮するクリスティーヌが切ない思いを歌い上げ、ファントムとクリスティーヌが妖艶に絡み合うナンバー「The Point of No Return」では、佐野と山本が2人の禁断の愛を表現した。

稽古後に行われた囲み取材には、佐野と山本が出席。1988年の初演からさまざまな役で「オペラ座の怪人」の舞台に立ってきた佐野は、本作を「長年演じていても未だに新しい発見がある作品」と評し、「昔から観ていただいているお客さん、初めて観るお客さん、どちらにも楽しんでいただけるような作品になれば。劇団が掲げている『劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい』というキャッチコピー通りだった、と思ってもらえるようがんばります」と意気込みを語る。

また佐野は「本作の見どころは、やはりロイド=ウェバーの音楽」と述べ、「彼の曲に潜んでいるドラマを1つひとつ解明していきたい」と回答。続く山本も自身が歌唱する「Think of Me」を例に挙げ、「半音を用いることで、不安定でミステリアスな印象を持たせ、地下で起こる出来事の結末を効果的に予感させている」とロイド=ウェバー作品の魅力を語る。さらに2人は「ロイド=ウェバーといえば変拍子」と声を揃えて答え、「16分の15拍子の曲が登場するのですが、ここでも登場人物の不安定な心情をうまく表している」と分析。また佐野は、モチーフの使い方の巧みさについても言及し、「各キャラクターがファントムの気配を感じたときのメロディーが、同じモチーフとして劇中に散りばめられている。そこに着目して観ていただければ」と注目ポイントを挙げた。劇団四季「オペラ座の怪人」の横浜公演は、3月25日から8月13日まで。

劇団四季 ミュージカル「オペラ座の怪人」横浜公演

2017年3月25日(土)~8月13日(日)
神奈川県 KAAT神奈川芸術劇場 ホール

ステージナタリー
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