グラミー賞を受賞したフューチャーベースの中心人物、フルームにインタビュー
グラミー賞の最優秀ダンス/エレクトロニックアルバム部門で受賞したフューチャーベースの旗手、フルーム(Flume)にインタビュー。受賞アルバム『Skin』からプライベートの過ごし方までを語ってもらいました。
アンダーワールドやルイ・ヴェガなどの強豪を差し置いて、グラミー賞の最優秀ダンス/エレクトロニック部門で見事受賞を果たしたフルーム。
フューチャーベースの旗手(中心人物)として、一大ムーブメントを巻き起こしている彼のインタビューが実現。
グラミー賞の感想から、受賞アルバム『Skin』について、プライベートの過ごし方などを語ってもらいました!
——アルバム『Skin』でグラミー賞最優秀ダンス/エレクトロニックアルバムの受賞おめでとうございます。授賞式はどうでしたか?
クールな体験だったよ。父親もオーストラリアから飛んできてくれて一緒に出席。凄く長い授賞式だったけど、記念すべき1日になったよ。
——特に印象的だったパフォーマンスや会いたかったスターは?
お金の掛け方にビックリしたよ。ザ・ウィークエンドとダフト・パンクの共演パフォーマンスも印象的だったし。グラミー初体験の僕としては、ひたすら傍観しているって感じだったかな。
特に会いたいスターはいなかったけど、セレブは周囲にいっぱいいたよ。父親と一緒だったから、僕は大人しくしていたけど(笑)。
——アルバム『Skin』を振り返ってどうですか?
時間は掛かったけれど、仕上がりにはとても満足している。ネクストレベルに上がれたって思うんだ。ファースト・アルバム『Flume』は、あれはあれでクールだったと思うし、自分のスタイルを編み出すことができた。
でも『Skin』に関しては、もっと広く主要なラジオ向けというか、メインストリームにも受け入れられている。全然スケールが違うよね。
——アルバム制作時からラジオ向けを意識していた?
うん、そこは確かに意識していたよ。オーストラリアからLAに来て録音したのもそのためだった。LAでコラボをしたかったんだ(ベックやアルーナジョージ、ヴィック・メンサらがゲスト参加)。
アルバムにはそういうラジオ向けトラックもあれば、そうじゃないトラックも収録されていて、最終的にはそのバランスが上手く取れたんじゃないかな。
——ダンスミュージックを作っているという意識は?
元々はクラブミュージックを作っていたんだよ。ハウスやテクノなど、エネルギッシュなクラブ向け音楽を作っていた。フルームに関しては、サイドプロジェクトという感じで、あまりクラブ向けとか考えていなかった。創造性を発揮する場所という感じかな。でも、そっちの方が脚光を浴びたんだから面白いよね。
フルームとして初めてフェスに出演した時は、物凄く不安だったよ。元々ダンスをするために作った音楽じゃなかったからね。でも初めてフェスでやった時「うわっ、これでみんな踊っちゃうんだ!」って驚いたよ(笑)。
——フルーム風のサウンドが巷に溢れているけど、先駆者としてはどんな気分?
モロパクリみたいなのを聴く度に、最初の頃はイラついていたんだ。
でも、そのうち違うふうに思い始めてきた。パクリたいほど好かれてるんだって、ちょっと誇らしくも感じたり。パクリたいなら自由にどうぞって感じかな(苦笑)。
——先頃プライベートで来日していたそうですが。
北海道に行ってスノボをしてたんだ。あと『Fuji Rock Festival』にも出演したことがあるし、友達と東京に遊びに行ったこともあるよ。僕は自分のやりたいふうにやるだけ。追従したりトレンドは追いたくないよね。
とにかく日本文化だね。みんなが互いを尊重しあってて、誰も物を盗んだりしないよね。食べ物も最高だし。日本は変わっているし、他国と違うし、妙だけど、ホントにいい意味でそれが魅力的。ニセコでは小さなバーにもいっぱい行ったよ。東京は世界中のどの街とも似ても似つかない。
日本食も大好き。日本食なら何でも歓迎だけど、特に刺身が大好きなんだ。あとラーメンも。食事ならイタリアンか日本食だね。
——スノボのほか、サーフィンも好きですよね。
うん、海の近くで育ったせいなんだ。次回日本に行く時は、絶対サーフィンもやりたいな。家の近くにビーチがあって、サーフィンをいつもやっていた。自然に囲まれているのが好きなんだ。
この間、サーフボードも買って車の後ろに積んであるから、いつでも取り出して使える。スピーカーも装備したから、ちょっとしたスタジオみたいな車だよ。電源は屋根の上のソーラーパネルから取れるんだ。うん、家にいる時は機材をいじってばかりいるけど、自然の中にいるのが大好きなんだ。
Text by Hisashi Murakami