「明治座 五月花形歌舞伎」制作発表レポート 片岡愛之助が朝から晩まで出ずっぱり
『明治座 五月花形歌舞伎』の座頭を務める片岡愛之助
3月24日(金)、都内にて『明治座 五月花形歌舞伎』の制作発表が行われ、同公演の座頭を務める片岡愛之助、松竹の安孫子正副社長、明治座の三田芳裕社長の3人が出席した。
朝から出ずっぱりの奮闘公演
左から、明治座の三田芳裕社長、片岡愛之助、松竹の安孫子正副社長
明治座の三田社長は「明治座での歌舞伎公演はしばらくの間途絶えており、今年で復活して7年目。毎回、様々な人が来てくれる公演で、大勢の人々が期待してくれています」と挨拶。さらに、松竹の安孫子副社長は「愛之助さんは朝から出ずっぱりの奮闘公演。また、活躍中の若手が8人も揃うことは滅多にないことで、愛之助さんを中心に若いエネルギーのある舞台になります」とアピールした。それを受けて、愛之助は「朝から晩まで汗まみれになって頑張りたいと思います」と意気込みを見せた。
新しい歌舞伎と古典が楽しめる【昼の部】
『明治座 五月花形歌舞伎』への意気込みを語る片岡愛之助
昼の部は、新国劇の代表作『月形半平太』と楳茂都流の歌舞伎舞踊『三人連獅子』の二演目。
歌舞伎として初めて上演される『月形半平太』は、長州藩士・月形半平太の活躍を描いた作品で、映画や演劇でも様々な役者が月形を演じてきた。こうした過去の作品を見て研究をしているという愛之助は、月形役の魅力と役作りに関して「月形はちょっと色気のある部分や強さ、忠義の心など、色々な部分を持ち合わせている役。二枚目の人しかやっていないので、頑張って二枚目に作り込んでいきたいです」と話す。さらに、現在出演中のブロードウェイ・ミュージカル『コメディ・トゥナイト!』を里見浩太朗が観劇に来た際に、月形役を演じたことがある里見にアドバイスをお願いしたところ、名台詞「春雨じゃ。濡れてまいろう」を歌った方がいいと言われたことを明かし、「皆さんからの色々なお知恵を拝借して作り上げていこうと思っています」と笑った。
初めて歌舞伎になることを意識し、音も和の音だけ、立ち回りもツケだけでいこうと考えていたというが、「作品が元々新国劇からきたものですから、音も『ジャッジャーン』といった感じでわかりやすく入れた方が盛り上がるし、わくわくするのではないかと思い、急遽やり直しをお願いしたところです。歌舞伎でいうところの『男の花道』のような系統のものに仕上げたいと思っています」と作品づくりの裏側も語ってくれた。
親子の情愛がわかりやすく描かれた『三人連獅子』は、歌舞伎役者のみで演じるのは初めてとのこと。楳茂都流の現家元である愛之助にとっては、思い入れも強い演目の一つだ。親獅子と子獅子に加え、母獅子が登場する点が、従来の『連獅子』とは大きく異なる。「最近は歌舞伎舞踊の上演機会が少なくなっていたので、家元の使命として歌舞伎舞踊を色々な場所でかけて、皆さまにまた知っていただきたいです」と力強く語った。
歌舞伎を初めて見る人にもうってつけの【夜の部】
『明治座 五月花形歌舞伎』の座頭を務める片岡愛之助
夜の部では、曲亭馬琴による『南総里見八犬伝』を上演。通し狂言と銘打ち、大立ち回りや名場面を織り交ぜながら、八犬士の誕生から仇を追い詰める大詰までを描く。本作で犬山道節を初めて演じる愛之助は、「ふだんは上演しないような場面もあるので、皆でそこを見つめ直しながら、新しい八犬伝の形ができればいいですね。稽古を楽しみにしています」と語った。
『明治座 五月花形歌舞伎』を笑顔でアピールする片岡愛之助
最後に、「どれも初めて歌舞伎をご覧になられる方にもとてもわかりやすい作品です。朝から晩まで、僕だけでなく皆が出ずっぱりだと思いますが、千秋楽まで頑張っていきたいです」とアピールし、制作発表を締めくくった。
「明治座 五月花形歌舞伎」は、5月3日(水・祝)から27日(土)まで明治座にて上演。
■会場:明治座
■公演日程:2017年5月3日(水・祝)~5月27日(土)
■開演時間:昼の部 11時/夜の部 16時
■出演:
片岡愛之助、中村萬太郎、中村壱太郎、
坂東新悟、中村種之助、中村米吉、
中村隼人、中村橋之助、中村福之助、
上村吉弥、片岡亀蔵、中村鴈治郎ほか
■公式サイト:
http://www.meijiza.co.jp/lineup/2017_05/