片岡愛之助インタビュー『デストラップ』でサスペンス・コメディーに初挑戦

インタビュー
舞台
2017.5.4
片岡愛之助『デストラップ』インタビュー

片岡愛之助『デストラップ』インタビュー

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映画『死の接吻』や『ローズマリーの赤ちゃん』の原作で知られるアイラ・レヴィンによる戯曲『デストラップ』が、この夏に上演される。翻訳・演出を手掛けるのは、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズや映画『HK 変態仮面』シリーズなどで注目を集める福田雄一。そしてキャストには、片岡愛之助、橋本良亮(A.B.C-Z)、高岡早紀佐藤仁美坂田聡といった実力派俳優5名を迎える。

スランプに陥ったブロードウェイの劇作家シドニー・ブリュール(片岡愛之助)は、妻マイラ(高岡早紀)のなぐさめもむなしく、気落ちしていた。そんな彼のもとに、教え子のクリフォード・アンダーソン(橋本良亮)から処女作『デストラップ』の脚本が届く。その完成度の高さに、シドニーはクリフォードを殺して作品を奪おうとするが、事態は思わぬ方向へと展開していく。

今回、サスペンス・コメディー初挑戦の片岡愛之助に、自身の役どころや本作に期待することなどを聞いてみた。

片岡愛之助

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サスペンスだけどコメディー? 台本が今から楽しみ

——今回の出演が決まった時の率直なご感想はいかがでしたか?

最初に福田さんとお仕事することが決まりまして、面白いものばかりを作られる方なので、どんなものを題材に選ぶのだろうと楽しみにしていたんです。そして挙がってきたのが『デストラップ』。一見するとコメディーの要素がないのでどうなるのだろうと思っていましたら、サスペンス・コメディーになるというのでとても楽しみです。

福田さんが作られているものは、お腹を抱えて笑うような抱腹絶倒のものもあれば、クスクスといった笑いもある。色々な笑いの要素があるので、サスペンスの中にコメディーが入っても成立するんだろうなと思っています。まだ台本が出来上がっていないので、どんな台本になるのか、これから舞台をご覧になるお客様と同じような気持ちで、僕も楽しみに待っている一人です。
 

——福田さんの演出や脚本で具体的に期待するところはどんな点ですか?

今回の作品は、訳し方一つで、おかしみが出てくる翻訳もの。原作があってストーリー自体は変えてはいけないという制約がある中で、どうやって笑いを生み出していくのだろうという、台本やセリフへの興味がありますね。
それと舞台構成。今回は休憩なしのノンストップのお芝居とのことなので、見ている人たちをグイグイ引っ張っていかないといけない。スピーディーな展開の中で芝居を見せていかなければならないから難しいですよね。

片岡愛之助

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新境地となるであろう、チャレンジングな役

——劇作家のシドニー役をやるにあたり、役づくりで考えていることがあれば教えてください。

まだ何も手をつけられていない状況ですが、僕自身、劇作家というお役は初めてですし、普段は書いてあることを演じる側で書き手にもまわったことがないので、ある意味、新境地ですよ。モノを書いている方々に取材して、どんなライフスタイルで、どのようにモノを見て、感じて、書いているのかを聞いてみたいですね。

それと、僕はあまり他人のことを妬んだり恨んだりしたことがないんです。自分と他人を比べても仕方がない。「人は人、僕は僕」と思っていて。やはり役者というのはそれぞれ個性があるもので、それぞれの得意分野があるので単純に比べようがないと思うんですよ。ですが、今回演じるシドニーには、嫉妬やジェラシーがある。しかも、トップにまで上りつめて転落していくという心境も僕は経験したことがないので、ある意味難しいお役で、一つの挑戦だなと思っています。
 

——ご出演されたブロードウェイ・ミュージカル『コメディ・トゥナイト!』、5月からはじまる『明治座 五月花形歌舞伎』と全く毛色の違う作品が続きますが、それぞれの役の切り替えはスムーズにできそうですか?

僕は、芝居が終わったら、「はい、終わり」とリセットボタンを押すタイプで、プライベートにまで役を引きずることはありません。5月の『明治座 五月花形歌舞伎』でもそうですが、歌舞伎では一日に複数のお役を勤めることが多いので、いかに早くリセットするかというのも大事ですから、歌舞伎俳優は皆、リセット上手な方が多いと思いますね。

片岡愛之助

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笑いにあふれた温かい稽古場になる予感

——今回の共演者とは全員初共演とのことですが、皆さんの印象を教えてください。

橋本さんは、昨年『コインロッカー・ベイビーズ』の舞台を拝見しました。すごく情熱的なお芝居をする人だなと思いましたね。高岡さんは、魔性の美女という印象。佐藤さんは、迫力があって存在感がありますね。坂田さんは演技を配見したことがないので、本当に稽古場で顔を合わせるのが初めてなんですよね。皆さんとの共演を楽しみにしています。
 

——台本はまだとのことですが、映画など過去の作品を見る限り、おそらく橋本さんとのキスシーンがあるかと思います。

実は、舞台でキスシーンを演じるのは初めてなんですよね。今まで色々な女優さんと舞台をご一緒しているのですが、ラブシーンはないんです。
 

——意外です。しかも、初キスシーンのお相手が男性というのはなかなかないですよね。

びっくりですよね。ですが3月にミュージカル『コメディ・トゥナイト!』で事故みたいなキスシーンはありました。男性の頬に軽いキスをするシーンだったんですけど、いきなり相手の方がこっちを向いて(笑)。周りのみんな、セリフが言えなくなってしまい大変でした(笑)。

片岡愛之助

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——福田さんの印象はもともとどうでしたか?

こんなに面白いものを作る人は逆に怖い人、厳しい方かなと思っていましたが、実際に会ってみて、とても温かい方で驚きましたね。作品に感じられる温かみは、人柄から来るものなのかなと思います。「勇者ヨシヒコ」シリーズに出演させていただいた際も、現場は温かい家族みたいな感じでしたね。
きっと今回も、笑いがあるような、楽しい稽古場になるのではないかなと思います。1ヶ月稽古をするというのも歌舞伎の世界とは違うので、皆で作品を作り上げていくことが楽しみです。

片岡愛之助

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『デストラップ』は、7月7日(金)から7月23日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスでの東京公演を皮切りに、静岡、愛知、兵庫で上演される。どんでん返しに次ぐどんでん返しの展開が繰り広げられるという本作。福田節の“笑い”の要素がどう加えられるのか、期待したい。
 

取材・文=岩本恵美 撮影=岩間辰徳

公演情報
『デストラップ』
 日時:7月7日(金)~7月23日(日)
 会場:東京芸術劇場プレイハウス
 原作:アイラ・レヴィン
 翻訳・演出:福田雄一
 出演:片岡愛之助、橋本良亮(A.B.C-Z)、高岡早紀、佐藤仁美、坂田聡
 http://www.deathtrap.jp/


 
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