映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』 アニメ版”草薙素子”役 田中敦子が同役を演じた胸中を語る
田中敦子
士郎正宗氏のコミック『攻殻機動隊』を実写化した映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』。スカーレット・ヨハンソンが演じる主人公“少佐”の日本語版吹き替えを、アニメ版で同役となる草薙素子を演じた田中敦子が担当することでも話題となっているが、先日4月4日に公開直前イベントが開催され、田中が登壇した。そのオフィシャルレポートをお送りする。
ファン待望のスペシャルゲストをいまかいまかと待ちわびる会場に、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」と長年、草薙素子の声優を務め、本作でも“少佐”の吹替を担当した田中敦子が登場すると盛大な拍手が巻き起こった。
田中は「ただいま」と集まったファンに一言声をかけ、「『ゴースト・イン・ザ・シェル』日本語吹替版の“少佐”を演じました田中敦子です。今日はよろしくお願いします。」と挨拶。一人の観客として本作の感想を問われると「ハリウッドはなんとすごいことをしてくれたんだろう。“攻殻機動隊”の要素が散りばめられていて、ルパート・サンダース監督の押井監督への愛が止まらない。よくぞここまで…!とそんな印象です」と本作の指揮を執ったルパート監督を称え、「(屋上から)ダイブするシーンや光学迷彩を着て水辺で敵と戦うシーンなど、アニメの映像が浮かんできました」とハリウッドの映像技術と再現度の高さには驚愕した様子で振り返った。
今回、日本で生まれた原作がハリウッドで実写化された中で、アニメーション作品の声優がハリウッド作品の実写映画においても同役で吹き替えを務めるということは史上初の試みとなった本作。そんな中で、吹替キャストに選ばれたことについて田中は「私たちを選んでくださって本当に光栄でした。日本や海外でも話題になっていたこの作品ですが、私たちにとって最大の関心事だったのが日本語吹替版を誰がするのか、だったので。声優陣の方たちと話して今回、シリーズをご覧になった方たちに喜んでもらいたねというのが最終的な目標でした」と抜擢された喜びを露わに語った。
バトー役の大塚明夫、トグサ役の山寺宏一と6年ぶりに同役で一緒にアフレコした感想を問われると「ハリウッドを背負うことにもなりますし、プレッシャーも感じていましたが、アフレコ当日はワクワク感がありました。私がジタバタしても仕方がないので、デビュー当時から兄のようにお世話になっている大塚さんと山寺さん、お二人についていけば自然と“少佐”が引き出されていく、そんな感覚で一日臨んでいました」とアフレコ時の心境を告白。また、現場ではそれぞれのキャラクターの関係性を話し合いながらアレンジも加えいったといい「例えば、少佐が荒巻に対しては敬語を使わない、ぶっきらぼうな口の利き方をするので語尾の修正を提案したりしました。他にも、トグサは少佐に対して必ず丁寧語だったり、バトーが荒巻のことを“オヤッさん”と呼んだり。公安9課の間で熟知していることは少しずつ提案して、台本に反映させていただきました」と明かした。
また田中は「山寺さんが『目を閉じてセリフだけを追いかけるとアニメ版と一緒だよな~。アニメを観ているような感覚になるね』と言ってくれたのがとても嬉しかったです!」と一押しエピソードを披露する一幕も。
本作では“少佐”、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を始めとしたアニメ作品では“草薙素子”を演じてきて「一番近くて一番遠い存在。私はずっと少佐を演じさせていただきましたけど、私とは真逆のタフな彼女に憧れてきました。これまでオーディションを受けるなどして少佐を演じることが出来ましたが、今回も彼女は私の元にきてくれたんだなと思い、とても感慨深いです」と想いを滲ませた。
そして、MCよりこれまで“草薙素子”、本作では“少佐”を演じてきたなかで印象に残っているセリフについて問われると、シリーズ通してお馴染みのセリフ「ネットは広大だわ」を生披露し、会場のボルテージは最高潮に。最後に田中は「本日は本当にありがとうございます。ハリウッドが作った『ゴースト・イン・ザ・シェル』は本当に素晴らしい攻殻機動隊の世界になっています。吹替版は95年のオリジナルメンバーのゴーストを吹き込むことが出来ました。私たちが心を込めて吹き替えた『ゴースト・イン・ザ・シェル』を是非お楽しみください」とアピールし、本イベントを締めくくった。
映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』は4月7日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショー。
監督:ルパート・サンダース
原作: 士郎正宗「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」
出演:スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、マイケル・ピット、ピルー・アスベック、チン・ハン、ジュリエット・ビノシュほか
配給:東和ピクチャーズ
【ストーリー】
近未来、脳以外は全身義体の世界最強の少佐(スカーレット・ヨハンソン)は唯一無二の存在。悲惨な事故から命を助けられ、世界を脅かすサイバーテロリストを阻止するために完璧な戦士として生まれ変わった。テロ犯罪は脳をハッキングし操作するという驚異的レベルに到達し、少佐率いるエリート捜査組織・公安9課がサイバーテロ組織と対峙する。捜査を進めるうちに、少佐は自分の記憶が操作されていたことに気づく。自分の命は救われたのではなく、奪われたのだと。
公式サイト:http://ghostshell.jp/
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