舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』第4弾「藍の誓約」男性主人公ver.プレビュー公演レポート
2年の沈黙を破り、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』がついに復活を遂げた。
4月14日(金)より開幕した舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 第4弾「藍の誓約」 最終章「碧空の彼方へ」をもって、足かけ3年強にわたって続いた本シリーズが堂々フィナーレを迎える。
“影時間”を消滅させるべく、“シャドウ”と壮絶な戦いを繰り広げてきた特別課外活動部(S.E.E.S.)の結末はーーここでは、4月14日(金)に行われた舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 第4弾「藍の誓約」男性主人公ver.のプレビュー公演の模様をお届けする。
死闘の先にあるのは、一人ひとりの成長と絆
1日と1日の狭間にある隠された時間“影時間”。この“影時間”の中から現れる異形の怪物“シャドウ”によって、世界中にまるで抜け殻同然の無気力症患者が急増していた。“シャドウ”を食い止めることができるのは、“影時間”に適応し「ペルソナ」を扱える者達のみ。主人公・汐見朔也(蒼井翔太)をはじめ、「ペルソナ」の能力を持った特別課外活動部のメンバーは、この世界を救うべく、“シャドウ”討伐の戦いに立ち上がるー。
2年ぶりの再始動となった第4弾は、最終決戦に向けた壮大なる序曲だ。
第1弾「青の覚醒」ではクラスの友人からいじめられても何も抵抗できなかった風花だったが、特別課外活動部のメンバーとの出会い、そして“シャドウ”との戦いを経て少しずつ成長してきた。今回は、そんな風花の心の弱さ、そして本当の意味での自立に焦点が当てられる。
特別課外活動部のメンバー以外で初めてできた友人・夏紀。自分の居場所ができたことに風花は喜びを覚える。しかし、ある失敗から風花は自分を責め、特別課外活動部のメンバーにも罪悪感を覚えるように。うつむいてばかりの風花は、ついに夏紀にもそっぽを向かれてしまう。
初めての友達。初めてのケンカ。初めての仲直り。そして初めてのーー。
死闘の合間のささやかな日常の物語を、風花役の田上が初々しくピュアに演じる。本当の居場所とは何か。揺れ惑う中で答えを見つけようとする風花を、観客もきっと応援したくなるに違いない。
そして、もうひとり今作で焦点が当たるのが順平だ。特別課外活動部と対立するストレガの一味・チドリ(はねゆり)に好意をもつ順平。入院生活を送るチドリを、順平は明るく献身的に支える。これまで闇の中を歩いてきたチドリは、太陽のような順平の眩しさに、少しずつ心を開いていく。そう、まるで燦々と降り注ぐ陽射しに向かって、まっすぐに背を伸ばす向日葵のように。
ふたりの温かく切ない恋の物語に、多くの人が胸を締めつけられることだろう。特にクライマックスは号泣必至。嗚咽する準備をして客席に座ろう!
様々な経験を通じて、大きく成長する特別課外活動部のメンバー。そう、本作は未知なる敵へと挑むと同時に、どこにでもいるごく普通の、弱くて、優しくて、とびきりの勇気を持った人々の成長物語だ。
人生には、時に立ち上がる気力を失ってしまうほどの悲しみや苦しみが訪れる。そんなとき、心の中に芽生えた影に呑みこまれることなく、光に向かって再び歩き出すことができるのは、支えてくれる仲間がいるから。
仲間の傷を自分の傷のように想い、もう一度仲間に笑顔が戻ってくるために、自分たちのできる最大限のことをしようとする特別課外活動部の姿を見て、きっとあなたも大切な仲間の顔を思い浮かべるはずだ。
終盤は、最終章に向けて、ある重大な事実が宣告される。これまで舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 ではカレンダーを用いた演出が取り入れてきたが、すべての真実を知ったとき、このカレンダーがまるで残酷なカウントダウンにも思えてくる。
絶望の淵に立たされた彼らがくだした決断はーー? その戦いを、どうか最後まで見守りたい。
汐見朔也役の蒼井翔太は、演技・歌の両面で座長として存在感を発揮。その唯一無二の透明感あふれる歌声は、フェアリーボイスと名付けたくなるほどに美しかった。
岳羽ゆかり役は富田麻帆は、喜怒哀楽の激しいキャラクターを、表情いっぱいに体現。
伊織順平役の大河元気は、本作のキーパーソンとして物語をしっかりと支えた。
桐条美鶴役の田野アサミの凜々しさは、思わず「桐条先輩!」とひれ伏したくなってしまう。
真田明彦役の藤原祐規はコミカルな演技で前半の日常パートを盛り上げた。
山岸風花役の田上真里奈は、内気な風花の胸の内を繊細に表現。
天田 乾役の鈴木知憲は、この2年で随分成長したが、どこか構ってあげたくなるキュートな空気感は健在だ。
タカヤ役の西山丈也は、暗黒版イエス・キリストのような不気味さと神々しさを漂わせる。
ジン役の松本祐一は、あまり語られることのないストレガの葛藤を短い場面でしっかりと表現していた。
チドリ役のはねゆりは堂々の演技で本作を牽引。そのよく伸びる歌声に、チドリの本当の気持ちがこめられていた。
アイギス役のZAQは、迫真の演技でクライマックスを一層ドラマティックに。
そして、望月綾時役の植田圭輔は、天真爛漫なキャラクターと終盤のギャップを見事に演じ分け、実力派の力を示した。
終演後の挨拶では、メインキャストがそれぞれ作品への想いを告白。この作品が初舞台だった汐見琴音役の阿澄佳奈は「3年半の月日をかけてラストに辿り着けるということで、物語をひとつ終えられる瞬間に自分もいられるというのは本当に幸せなことだと思っております」と感無量。「その時を共にする仲間が、このカンパニーで良かったなと思います」と共に過ごした仲間へ感謝の気持ちを述べた。
一方、蒼井翔太は「台詞だったり歌の歌詞の中に、自分にシンクロするような内容もすごくあります」と自分自身の想いを役に投影。「みんなと共演する時間を大切に生きていこうと思います。最後まで応援よろしくお願いします」とこの仲間で過ごす最後の時間を最高のものにすることを誓った。
舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 第4弾「藍の誓約」 最終章「碧空の彼方へ」は、4月23日(日)まで。最終章「碧空の彼方へ」は、4月19日(水)に初日を迎える。
本作は蒼井翔太が主人公を演じる男性主人公ver.と、阿澄佳奈が主人公を演じる女性主人公ver.の2つのver.を同時上演。つまり、この10日間で、計4つの舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』 が楽しめることになる。まさに、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』祭りの10日間と言えよう。
第1弾からメインキャストを一切変更することなく迎えたフィナーレ。奇跡のキャストで贈る最高のエンディングをどうかその目で見届けてほしい。
(C)ATLUS (C)SEGA / P3 the WM Project 2016
第4弾「藍の誓約」 最終章「碧空の彼方へ」
■場所:シアターGロッソ
■演出:キムラ真(ナイスコンプレックス)
■脚本:神楽澤小虎(MAG.net)
■音楽:目黒将司(アトラス)
■出演:汐見朔也:蒼井翔太/汐見琴音:阿澄佳奈
桐条美鶴:田野アサミ、真田明彦:藤原祐規、山岸風花:田上真里奈、
天田 乾(Wキャスト):坂口湧久/鈴木知憲、
望月綾時:植田圭輔
■公式サイト:http://www.clie.asia/p3wm/