2017冬アニメ、注目を集めたのはコレ! SPICEアニメライター鼎談
『けものフレンズ』公式サイトより ©けものフレンズプロジェクト/KFPA
2017年冬シーズンが過ぎ、春アニメを楽しむ時期に差し掛かった。今回もSPICE編集部のアニメ好きの編集/ライターが集ってそれぞれ冬アニメの感想を並べつつ、始まりつつある春アニメのオススメを推していくのでご覧いただきたい。
冬アニメ覇権の『けものフレンズ』を語る
加東:はい、では! 2016冬アニメ! それぞれ気になって見たのはどれですかー?
岡本:岡本は『ACCA13区監察課』、『昭和元禄落語心中』、『超・少年探偵団NEO』、『ALL OUT!!』、『MARGINAL#4』 でした
加東:『けものフレンズ』『チェインクロニクル』『BanG Dream!』でした
岡本:バンドリバンドリ!
加東:『けもフレ』はしかたないよね、みんな……。
岡本:外せない話題ですよね。
加東:まずは『けもフレ』の話から行きますか。まさかこんなに化けるとは……。
岡本:ここはお二人、よろしくお願いします。
加東:見ていてどうでした? taichiさんから見て。
taichi:EDの退廃的な映像で、「おや?」と思って。これは何か深いバックグラウンドがあるんだろなと、かばんちゃんが何者か明かされていくのにドキドキしながら見てました。
加東:謎解きってか、考察要素多かったよね。
taichi:ですね、小ネタの仕込み方も凝ってる。
岡本:最初は、独特な言葉遣いも話題になりましたね。「すっごーい!」「●●なフレンズ」とかですね。
加東:可愛いってだけじゃなくて、優しい世界なんですよね、否定しない、何もできない人では無く、きっとまだ出来ることが見つかってない。出来ることに対して素直に凄いと喜ぶ。見るものを新鮮に捉える目とか、仕事に疲れた現代の人には優しすぎる世界。
岡本:ありそうでなかった要素ですね、やさしさ。
taichi:ちょっと寂しげな世界だけど、サーバルちゃん達は明るく前向きに生きてるのが。
加東:そう、それが本当に良かった、当たり前の日常でも目線を変えれば輝いて見えるんじゃないか。
岡本:前向き……輝いて見える……のか……この世も……。
加東:例えば砂漠の話で、「砂しかない」では無くて「砂がたくさんある、凄い!」って……やっぱり今の僕たちからしたら目から鱗ですよ。
taichi:砂漠回よかったなぁ……。
岡本:そういえば、Mステに出演されましたね。
加東:コレも業界の常識ぶっ飛ばしてますからね(笑)。
岡本:ほんそれ! あの歌なんか癖になるんですよ。歌も大きな要素だったように思います。
加東:「けものはいても、のけものはいない、本当の愛はここにある」。
岡本:はい、それです。
加東:この作品が世間に出て、アニメを見ない世代の人がどう思うかは気になるよね?
岡本:「???」でしょうね……たぶん。
気になった冬アニメは?
加東:さて、岡ちゃんは見た作品の中では何か印象に残ったのは?
岡本:いや~前述すべてよかったんですけれど、思い入れが強いのは、『昭和元禄落語心中』と『MARGINAL#4』『ACCA』かなあ。
加東:『ACCA』は僕も見てた、面白かった! あと『落語心中』はすごかったね!
岡本:『落語心中』は、もうね~……あれ自体が壮大な落語の噺のようでした。
加東:確かに。
岡本:人間ドラマがすごい。笑わせて泣かせる。すこしゾッとして怖くもある。あと、もう声優さんたちの演技が素晴らしすぎて。
taichi:声の演技に引き込まれますよね
岡本:関智一さんがどんどん後半になるにつれて、山寺さんの声(先代の助六)に近づいて行った気がするんですよね……気のせいかなあとも思うのですが、どうもそうとも思えず。
加東:いや、やっぱり声優さんも話芸なんですよね。
岡本:本当にそうなんですよね、それを実感した作品でした。
加東:僕はまあ……『鬼平』になっちゃうんだけど(笑)
taichi:ビジュアルからして渋いですよね。
加東:いや、『鬼平犯科帳』をアニメでやるってだけでも凄いでしょ!
岡本:『鬼平犯科帳』がじつはピンときていない世代でもありまして……。
加東:いわゆる渋いアニメの最高峰の一つ、やっぱり「和物」ってきっちり作るとカッコいいんですよ。あと個人的に『鬼平』で思ったのは、着彩とかに外国人スタッフが多かったんですけど、しっかり日本人の僕達が見ても「和」を感じる、そこは制作陣がしっかりしてるんだなって思いましたね。
岡本:こういった渋アニメは続くといいですよね
加東:あとは『小林さんちのメイドラゴン』は凄い良かった、可愛かったし主題歌も良かった。
岡本:ああああ、私も少し見ましたよ~。女子でもとっても楽しめました。
加東:『リトルウィッチアカデミア』も良作でしたね、あとけもフレの影に隠れたけど『ガヴリールドロップアウト』、『うらら迷宮帳』、『AKIBA’S:TRIP:-THE:ANIMATION-』この辺も良かった。あと安定して面白かったのは『青の祓魔師:京都不浄王篇』ですね。
岡本:『AKIBA’S:TRIP』ってどうでしたか? よく名前を聞いたような。
加東:『アキスト』はもう、秋葉原をよく知ってる人はニヤニヤできるネタが多いんだよね、だから面白かった。
岡本:ほ~。
taichi:ゲームも秋葉原が舞台で、駅前の絵を売ってくる怪しい店とか出てくるんですよね。
加東:出てきますね……。
岡本:なるほど(笑)
加東:『クズの本懐』もよかったな、もう見てて辛い(笑)
taichi:生々しすぎるよ!
岡本:あああ録画してみれてないやつ……くやしい!
加東:『Re:LIFE』とは全く違う意味で、あれも青春なんだろうなと……痛みある青春というか。
岡本:ヒィッ。
taichi:『チェインクロニクル』が最近ほとんど見ない感じの王道なファンタジーで、かえって新鮮だなぁと。
加東:あー、そうだね。スマホゲームのアニメ化って、かなり王道ファンタジーなんだよね。今期の『グランブルーファンタジー』とか『神撃のバハムート』もそうだし。
岡本:なるほど
taichi:異世界転生とかオンラインゲーム系がかえってメインになってる気がして。
岡本:ストーリー面では、ゲームのほうがアニメより大衆化して来ている?
加東:ゲームのストーリー展開は王道に回帰してるんだよね、それくらいシンプルな入りじゃないとゲームへの導入が複雑になるから。
岡本:ああそうですそうです、大衆向けになっているというか、わかりやすさが大事というか。
taichi:もともと劇場上映用に作られただけあって、3DCGを使った戦闘シーンも大迫力で目が楽しかったです。アニメの表現も進化したなぁと。
加東:やっぱり良作多かったんだけど、『けもフレ』の圧倒的な話題に埋もれた印象あるなぁ。
岡本:大なり小なり、どのクールもその現象は起きちゃいますよね。
加東:冬アニメはその傾向が強かった。『けもフレ』は気づいちゃったんだろうね、あの麻薬性に。
taichi:なんか、本当に癖になる。2週目また見たい。奥が深い。
岡本:どんな隠し味があるのか知りたいぞ……!
加東:まずキャラが可愛い。癖になる可愛さなんですよ、CGのレベルはお世辞にも高くないけど可愛い。
岡本:ふうむ。
taichi:トキがかわいい……。
加東:あとは謎が謎のまま置かれているので考察したくなる。それともう、あれよ、「優しさ」よ。本当に優しい、けものは。
taichi:人間もけものなんだろうか?
加東:そう、最終的にそこに行き着く。人間とけもの、ではなく。人間もライオンやサーバルやヒグマと同じ、一つの種族という扱いが良い。支配とか抑制もなく、対等なんだよね。
岡本:ヒトを考えさせられる。
taichi:そこが優しい世界なんですよね。
加東:究極論言うと、アニメ版「世界に一つだけの花」だと思ってます。
岡本:至言きた~!「ひとりひとり違う種を持つ」。
taichi:わかる……。
もう始まっている春アニメの期待作は?
加東:さて、そんな『ケモふれ』ロスの中始まった春アニメですが、何が気になってますか?
岡本:『グランブルーファンタジー』!
加東:わかってるよ(笑)
岡本:すいません(笑)
taichi:春はもう凄い楽しいです、いっぱい見ますけど1話の引きがすごいワクワクしたのが、『正解するカド』。
岡本:あああ、かぶった。
加東:『正解するカド』は凄い可能性感じてる。『シン・ゴジラ』に通じるものがあるというか。
taichi:未確認物体との対話もSFの王道ですしね。眼鏡の助手の子もかわいい。
岡本:『Re:CREATORS』が楽しみだと加東さんおっしゃてましたよね?
加東:おもしろいっすよ! 見て!
taichi:1話見ました!
岡本:うわ~山下大輝さん! 今期『僕のヒーローアカデミア』も主人公だし、大変だ。
taichi:ありそうでなかった話なんですよね、アニメや漫画キャラの召喚物って。
加東:2クールだしね。
taichi:厨二心をくすぐる。
加東:今期は個人的にも豊作で嬉しいです。
taichi:『エロマンガ先生』がファンタジーより夢みたいな世界だ……。
岡本:『エロマンガ先生』はカワイイ。
taichi:兄もあの年でしっかりしてるなぁ。
岡本:親御さんいらっしゃらないんですものね……。
加東:他に挙げると『アリスと蔵六』、『サクラクエスト』、『月がきれい』、『夏目友人帳』ですかね。
taichi:『月がきれい』気になります
岡本:気になります。
加東:中学生の淡い恋ですね。
岡本:死にたくなるやつだ(自分の過去を振り返って)。
taichi:無垢な恋心っていいなぁ。あと、『サクラクエスト』はPAのお仕事アニメ好きなんで先が楽しみです、感情移入しやすい。
加東:『サクラクエスト』いいよね、さっき見てたけど、5人のバランスとか、先細りの限界集落感がいい。
taichi:田舎暮らししたくなる。
加東:お仕事シリーズはどれもいいんだよ……。
岡本:あれ、元となった村? とかあるんですかね? モデルの王国とか。
taichi:魔の山実在するんだろか……。
taichi:『神撃のバハムート』も見たいなぁ、前作のクオリティ半端なかった。
加東:狂ったようなクオリティだった……。
taichi:そして『グランブルーファンタジー』!
岡本:いえい!! イケメン声の小野友樹さん!
加東:私『グラブル』そこそこガチでプレイしてる勢なんですけど、やらない人から見たアニメ版『グラブル』ってどうなんですか?
岡本:普通に絵がきれいです。あと、空を飛びたくなる。
加東:あー、もうアニメとして成功だ、それ。
taichi:音楽も植松さんだしなぁ。
岡本:冒険に出たいなあ、星の島ってなんだよもう。
加東:そう思わせたら勝ちの作品だもん、あれ。
taichi:ゲームはメインストーリーとは別に外伝的なイベントが多くあって、行く先々の違う島で新しいキャラとの出会いやドラマがあるのが凄いワクワクして好きですね。
加東:さて、では締めに、推し三本決めてください!
岡本:『グラブル』、『正解するカド』、『笑ゥせぇるすまんNEW』です。
taichi:『サクラクエスト』、『正解するカド』『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』。
加東:『Re:CREATORS』、『月がきれい』、『エロマンガ先生』で! 個人的にはこれに『サクラクエスト』と『カド』が入りますけどね……。
taichi:この春は豊作だべさ……。
岡本:春がきた~!
加東:『正解するカド』は本当に期待ですね、最近ありがちな最初がピークの作品にならないで欲しい。最期までテンション維持できたらエポックメイキング作品になれると思うんですよね。
岡本:楽しみに見ていきたいですね。