東響音楽監督のノットが2026年まで契約延長、オペラの指揮も
撮影:ヒダキトモコ
9月7日、ミューザ川崎シンフォニーホールにて、東京交響楽団の記者会見が開かれ、音楽監督ジョナサン・ノットの任期延長と2016年度シーズンラインナップ、さらに創立70周年記念ヨーロッパ・ツアーの概要が発表された。
(取材・文:飯尾洋一 撮影:ヒダキトモコ)
ジョナサン・ノット音楽監督の任期は、2026年3月まで。実は当初は20年3月までの3年間の任期延長が予定され、会見場で配布された資料にもそう記されていたのだが、前日の夜に急遽ノットから「さらに契約を延長してはどうか」という提案がオーケストラ側にあり、会見当日に26年3月までという長期の契約に変更されたのだとか。前日の公演でモーツァルトを指揮しながら、ノットは「なんとすばらしい演奏なのだろう。だったらなぜ3年間だけの延長に留めなくてはいけないのか」と感じ、長期の契約を思い立ったという。
「東京交響楽団とのすべてがエキサイティングで、クレイジー。思い出してください、このオーケストラと私はたった1回の共演で音楽監督就任を決めたのです。それが2026年までの契約に至りました。このすばらしいオーケストラ、すばらしいコンサートホール、そしてすばらしい聴衆。わたしはここにいるだけで大きな喜びを感じます」(ノット)
撮影:ヒダキトモコ
合わせて、「ジョナサン・ノットのSeason 3」となる16年度シーズンの主催公演ラインナップが発表された。ノットは計6演目9公演に登場し、古典から現代作品まで多彩な作品を指揮する。4月定期/川崎定期のシェーンベルク「ワルシャワの生き残り」、ベルク「ルル組曲」、ブラームスのドイツ・レイクエムといった意欲的なプログラミングはノットならでは。東京オペラシティシリーズでは4月にリゲティの「アトモスフェール」と「サンフランシスコ・ポリフォニー」、パーセル作品、R・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」が演奏されるのも興味深い。
このほか、16年12月にはモーツァルトの歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》を演奏会形式で披露、舞台監修をバリトンのトーマス・アレンが手掛け、ノット自らフォルテピアノを演奏するという。
また、16年10月には創立70周年記念として、ウィーンをはじめ5か国5都市にわたる欧州ツアーが実現する。ツアーで披露される2つのプログラム、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(イザベル・ファウスト)とショスタコーヴィチの交響曲第10番、および武満徹の「弦楽のためのレクイエム」、ドビュッシーの交響詩「海」、ブラームスの交響曲第1番は、先だって国内でも演奏される。
充実著しいノットと東京交響楽団のコンビが、これからさらに10年間にわたって続くこととなった。東京と川崎の音楽シーンにどれほど豊かな実りをもたらしてくれることだろうか。
2016年12/9(金)
ミューザ川崎シンフォニーホール
2016年12/11(日)
東京芸術劇場
ジョナサン・ノット(指揮)
東京交響楽団 (管弦楽)
サー・トーマス・アレン(舞台監修)
【フィオルディリージ】 ミア・パーション
【ドラベッラ】 マイテ・ボモン
【デスピーナ】 ヴァレンティナ・ファルカス
【フェルランド】 ショーン・マシー
【グリエルモ】 マルクス・ウェルバ
【ドン・アルフォンソ】 サー・トーマス・アレン
【合唱】 新国立劇場合唱団
創立70周年記念ヨーロッパ・ツアー~復興・交流・未来のために~