音楽監督ジョナサン・ノット&東京交響楽団、東響コーラス 第32回ミュージック・ペンクラブ音楽賞クラシック部門でW受賞
(左から)ジョナサン・ノット、東京交響楽団
2020年3月9日(月)、音楽監督ジョナサン・ノット&東京交響楽団が、第32回ミュージック・ペンクラブ音楽賞クラシック部門「オペラ・オーケストラ部門」賞を、東響コーラスが「室内楽・合唱部門」賞を受賞したことが発表された。
ミュージック・ペンクラブ音楽賞は、ミュージック・ペンクラブ・ジャパンが毎年発表している音楽賞。東京交響楽団は2008 年、同音楽賞クラシック部門コンサート・パフォーマンス賞(日本人アーティスト)、2009 年クラシック部門録音・録画作品賞(日本人アーティスト)、2018 年優秀録音作品賞(オーディオ部門)に続く4度目の受賞、東響コーラスはアマチュア団体として同賞では初の受賞となる。なお、受賞理由についてのコメントは下記のとおりとなり、授賞式は4月22日(水)に行われるとのことだ。
受賞理由:ジョナサン・ノット(指揮)/ 東京交響楽団(管弦楽)
東京交響楽団と音楽監督ジョナサン・ノットとのコンビは、2014 年 9 月以来、6 シーズン目を迎えている。アンサンブルの精度、澄明な響きなど演奏水準の向上と安定に加えて、意欲的で刺激的、そしてツボを抑えた選曲と構成により、発見と感激をもたらすコンサートを、いくつも実現している。リゲティなどの 20 世紀作品を、19 世紀の人気曲や 17 世紀の古い音楽と巧みに組みあわせて新鮮な驚きをもたらす一方、エルガーの《ゲロンティアスの夢》やシェーンベルクの《グレの歌》のような合唱つきの大曲、モーツァルトのオペラなどでも見事な成果をあげた。ラフマニノフの交響曲第 2 番の超絶的名演も忘れがたい。これからもさらなる躍進と深化に期待する。(山崎浩太郎氏)
受賞理由:東響コーラス
『東響コーラスは、1987 年、当時の楽団⻑⾦山茂人の発案で、「東京交響楽団と一体の演奏をし、質の高い合唱付きオーケストラ曲のコンサートを提供する」ことを目的とし、東京交響楽団専属のアマチュア混声合唱団として創立された。公演毎に出演者決定オーディションを実施すること、演奏曲ごとに適した指導者を起用すること、団費、入会⾦、ノルマ無し、そしてほとんどの曲を暗譜で演奏することが運営の特色である。オーケストラがこのように質の高い専属合唱団を有することは、指揮者にとって望ましいことであり、桂冠指揮者秋山和慶によるシェーンベルクの歌劇《モーゼとアロン》の邦人初演(1994年)、オラトリオ《ヤコブの梯子》の日本初演(1997 年)などの意欲的なプログラミングを可能とした。2019 年 10 月、ミューザ川崎シンフォニーホール開館 15 周年記念公演は音楽監督ジョナサン・ノット指揮によるシェーンベルクの《グレの歌》で大成功を収めたが、この難曲をすでに複数回上演してきた歴史そのものも特筆に値し、本賞の授賞にふさわしい。(樋口隆一氏)