『六代目春風亭柳橋一門 手ぬぐいデザイン展』レポート 神田祭にあわせた落語会も開催
『六代目春風亭柳橋一門 手ぬぐいデザイン展』
『六代目春風亭柳橋一門 手ぬぐいデザイン展』が、5月10日(水)から17日(水)まで開催されている。会場は、秋葉原駅から6分、御茶ノ水駅から7分、明神下交差点にあるギャラリー明神下だ。
この展覧会は、落語家の手ぬぐいを展示し、その文様やデザインを紹介するというもの。「神田祭にあわせて、江戸文化を振興する企画を開催したい」というギャラリーオーナーの思いをきっかけに、落語芸術協会、六代目春風亭柳橋一門の現役落語家全員の手ぬぐいと、故人のものも含めた60点以上が集められている。
落語家の手ぬぐいコレクション展
手ぬぐいのデザインには、江戸時代より人々の遊び心が込められてきたという。落語においては、扇子とともに使われる、万能な小道具として知られている。ひとたび高座で噺家の手にかかれば、手ぬぐいは、本にも財布にも煙管入れにもなるし、扇子を筆にすれば手帳や紙にも見えてくるからおもしろい。
「手ぬぐいも噺家の個性のひとつです。 楽しんで下さい」 会場入口では、落語家・春風亭昇太の直筆メッセージが迎えてくれる。
会期初日、この展覧会の共同制作者である落語家・春風亭伝枝に、見どころをきくことができた。紹介されたのは2階の一角、神棚のようなスペース。そこに展示されていたのは、春風亭一門の礎を築いた6代目 春風亭柳橋の手ぬぐいと、「のらくろ」の作者・田河水泡の直筆画だった。
のらくろも6代目柳橋も、当時大変な人気だった。人気者同士のご縁で田河本人より柳橋の手に渡った直筆画だったが、一般に公開される機会もなく、遺族さえその存在をよく知らずにいたという。最近になって再発見され、きれいな掛軸に仕立てられて今回の展示に至った。
遺族をはじめ、協力者たちへの感謝や、和紙を裏打ちするプロセスを身振り手振りで解説する伝枝は、高座の上とは別の真面目な顔で……。と、思いきや「今、学芸員モードでしたね。なんでしたら……」と冗談や下ネタを連発しはじめる独特のサービス精神で、他のギャラリーではめったに聞けない賑やかなギャラリートークを披露した。
手ぬぐいにみる、落語家たちの遊び心
さくらももこのイラストが目を引く、昔昔亭桃太郎の手ぬぐいは、今や師匠本人でさえ所有していない幻の1枚だ。大胆でスタイリッシュな柄や、クラゲの模様など、ユーモアとデザイン性の高さは落語ファンならずとも楽しませてくれるだろう。桂三木助、春風亭柳昇など、そうそうたる名前の入った手ぬぐいとともに、近年若い女性に人気の二ツ目落語家たちの手ぬぐいも展示されている。ギャリ―内は写真撮影もOKとのことで、熱心に写真を撮影する来場者の姿もみられた。
伝枝の手ぬぐいも見せてもらうと、そこには大きく描かれた「瓢箪ナマズ」と判じ物(絵や文字に意味を隠した模様)が。柄に隠された意味を解くヒントは、小文字のアルファベットと記号だ。もうひとつヒントを出すと「伝枝(でんし)」を別の漢字で書き換えると……。答えが気になる方はぜひ会場へ!
春風亭伝枝
神田祭とあわせて楽しむ落語会
もうひとつ特筆すべきは、展示会場でも目を引く落語の高座だ。江戸総鎮守・神田明神の『神田祭』にあわせ、13日(土)と14日(日)にはここで実際に落語会が開催される。
ギャラリー明神下の石橋氏によれば、落語会の開催される2日間は、ちょうどお神輿がギャラリーの前を通りすぎるのだそう。「お神輿がギャラリーの前を通過する時は、とても賑やかで落語も聞こえなくなるくらいです。なので、お神輿が通り過ぎたら落語会がはじまり、お神輿が日本橋の方をまわって帰ってくるころに、落語会が終わる予定です」
日本三大祭とも称される神田祭のお神輿をみたり、落語をきいたりと江戸文化を楽しめる2日間となりそうだ。ぜひ会場に足をはこんで体験してほしい。
ギャラリー明神下
日程:2017年5月10日(水)~17日(水)
時間:12:00~19:00 ※13,14日は落語会開催のため14:00~16:00は一時閉館。
会場:ギャラリー明神下
入場無料
※期間中、落語会あり
出演者:13日(土) 春風亭伝枝、春風亭昇也、14日(日) 春風亭 伝枝、春風亭柳若
料金:2000円(飲み物、振舞い酒付き)
詳細:http://gallery-myoujinshita.com/event/news/265