BIGMAMAのツアー緒戦、母の日のZeppワンマンは創意工夫とクライマックスの連続だった

レポート
音楽
2017.5.19
BIGMAMA 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA 撮影=Azusa Takada

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バンド名に因んで、毎年母の日にZepp Tokyoでワンマンライブを行ってきたBIGMAMA。例年特別なプログラムによりその夜は彩られてきたが、現体制になってから10周年のアニバーサリーである今年は、3月22日にリリースした7thフルアルバム『Fabula Fibula』を引っさげたワンマンツアー『ファビュラ旅行記 2017』の初日公演として開催された。定刻になり、カーネーションの花束が飾られたステージ上にメンバーが登場すると、すぐさま上がる歓声。金井政人(Vo/Gt)は「みなさんご存知のように今日は世界中のお母さんに感謝する日、そして我々BIGMAMAが日本で一番大騒ぎする日、さらに新しいツアーの初日でございます」と改めて伝えつつ、「何年先でも何十年先でも、たとえ何度生まれ変わったって、絶対に忘れられない夜にしましょう」とオーディエンスと約束を交わしたのだった。

BIGMAMA・金井政人 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA・金井政人 撮影=Azusa Takada

『ファビュラ旅行記 2017』とは言い得て妙だが、アルバム収録曲はもちろんのこと、数々のライブ定番曲まで網羅したセットリストは、曲から曲へと移りゆくたびに様々な表情を見せてくれるため、観ている側は、BIGMAMAという方舟に乗って異世界の旅しているような気分に陥ることとなる。そんな中で際立っていたのは、この10年間で鍛え上げられたBIGMAMAのロックバンドとしての肉体性だった。そもそもこの『Fabula Fibula』というアルバムは、「それぞれの曲が、独自の法律(ルール)を持った都市(まち)として存在している」というコンセプチュアルな作品。金井の想像力が爆発しまくった同作はサウンドの振れ幅もかなり大きいが、しかし、“バンド×バイオリン”の可能性を追求すべく多彩なディスコグラフィ&バイオグラフィの上で様々な曲調に挑んできたこの5人には、もはや何も恐れる必要がないわけだ。

BIGMAMA・柿沼広也 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA・柿沼広也 撮影=Azusa Takada

柿沼広也(Gt/Vo)のギターが高らかに吠え、東出真緒(Vn)が華麗に旋律を滑らせ、安井英人(Ba)の低音が聴き手の心臓を打ち、リアド偉武(Dr)のドラムロールが昂揚感を掻き立て――と各メンバーの見せ場が訪れる度に、場内のテンションは上がっていくばかり。“メンバーが腕を振るう→それに魅せられたオーディエンスが歓声を上げる”という非常にシンプルな形で会場が盛り上がっていったのは、そういうバンドの地の部分が痛快かつ自由に炸裂しまくっていたからだろう。セットリストの折り返し地点にも達していないところで金井がふと「ライブってこんなに楽しかったっけ?」と呟く。それほど、クライマックス続きのライブだった。

BIGMAMA・東出真緒 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA・東出真緒 撮影=Azusa Takada

昨年末のクリスマスライブでは、まだ発売前だった『Fabula Fibula』について、金井は「BIGMAMAだからこそできることがあるという確信があるんです」と語っていたが、その言葉が指す真の意味を体感できたような手応えが、この初日公演にはあった。だからこそ、このツアーを通してバンドはまだまだ進化していくはずだ。実際、この日の段階でも、何度も演奏されてきた曲の中に新たなハイライトが増えていたり、ツアーで初お披露目となる新曲によってヴォーカリスト・金井の新たな一面が開花していたりと、試行錯誤と創意工夫の跡を多数見つけることができた。ツアー初日の時点でこうなのだから、どの曲もまだまだ成長していくだろうし、もしかしたらライブの全体像だって変わってくるかもしれない。

BIGMAMA・安井英人 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA・安井英人 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA・リアド偉武 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA・リアド偉武 撮影=Azusa Takada

ホームページを通して「終演後にプロポーズをします」と報告してきたというオーディエンスへプレゼントするように鳴らした「ダイヤモンドリング」、今年は16ビートのメロコアバージョンにアレンジされていた「母に贈る歌」など、この日ならではの場面が連続したアンコールを経て、終演。そんな中、金井は「武道館で序章が終わるのかなと。何が言いたいのかというと、まだまだ始まりだからね、この先長いよ、今後ともよろしくね、ということです」と笑っていた。10年間、いつだって現在進行形。そんなバンドの姿を真っ正面から見せつけられてしまったら、黙って頷くことしかできないし、期待は膨れ上がるばかりである。10周年の先に待つ第二章にも想いを馳せつつ、まずはここから始まるツアー、そして来たる武道館公演を楽しみにしていたい。


取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA 撮影=Azusa Takada

BIGMAMA 撮影=Azusa Takada

リリース情報
シングル「DOPELAND」(読み:ドープランド)
発売日:2017年7月19日(水)
レーベル:RX-RECORDS/UK.PROJECT
[CDx本 特殊ブックレット仕様]
品番:RX-134
価格:¥1400+税
JAN:4514306013757
新曲2曲・愛はハリネズミのように・住野よる 掌編小説「DOPELAND」収録

 

ライブ情報
『BIGMAMA in BUDOKAN』
2017年10月15日(日)
日本武道館
OPEN 16:30 / START 17:30 (end:20:30予定)
前売 ¥5,000 / 限定タオル付き ¥6,500
*座席は抽選となります
 
[イープラスプレオーダー 一次抽選受付]
受付期間:05/16(火) 昼12:00 - 5/22(月) 23:59
受付方式:抽選
受付席種:指定/指定(タオル付)
枚数制限:4枚まで
 
[イープラスプレオーダー 二次抽選受付]
受付期間:05/23(火) 昼12:00 - 5/28(月) 23:59
受付方式:抽選
受付席種:指定/指定(タオル付)
枚数制限:4枚まで
 
一般発売日 2017年09月17日(日)

BIGMAMA『ファビュラ旅行記 2017
05/14(日) ZeppTokyo(母の日)
05/27(土) 福岡DRUM Be-1
06/11(日) 仙台Rensa
06/17(土) 高松MONSTER
06/18(日) 広島CLUB QUATTRO
06/24(土) 大阪なんばHatch
06/25(日) 名古屋Zepp Nagoya
07/01(日) 札幌PENNY LANE24
07/08(土) 金沢EIGHT HALL
07/09(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
前売 ¥4,320(D代別) 
 
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