【花火大会特集】最新技術を駆使したステージが観客を魅了する 北海道・十勝の『勝毎花火大会』

インタビュー
イベント/レジャー
2017.6.2

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北海道最初の花火大会という歴史を持つ『勝毎花火大会』。大会の回数を重ねていくたびに新しい試みを行っており、最新技術を駆使したステージは、きっと誰しもを魅了するに違いない。現在のような大会へと進化したきっかけはなんだろうか。北海道の魅力もあわせて、企画運営を担当する勝毎光風社の田村さんにお話を伺った。

ーー勝毎花火大会は今年で67回目の開催と伺いました。これまでの歴史を教えてください。

花火大会が始まったのは1929年です。当時、北海道では花火大会を開催している場所がなかったため、北海道最初の花火大会を帯広で行おうと、十勝毎日新聞社の初代社長である林豊洲の呼びかけにより始まりました。第1回目は『納涼花火大会』と名付け、東京両国から玉屋の花火職人を招いて130発の花火を打ち上げたそうです。初回ながらも5万人のお客様にご来場いただいたと記録されており、開催当時の十勝毎日新聞を振り返ると、「全社員の奮闘。玉屋の熱意。周到なる各局の警戒。感謝と感激。」などという見出しが出ています。熱意と感謝の気持ちを持って、初回の花火が打ち上げられたことがわかります。

ーーそもそも「勝毎」とはどのような意味なのでしょうか。

主催者である「十勝毎日新聞社」は、発行エリアである「十勝」の皆様から「勝毎(かちまい)」と呼ばれています。愛称ですね。

ーー勝毎花火ならではの特徴はありますか。

花火に音楽やレーザー光線、火柱の特殊効果をデジタル制御で融合させた、『エンタテインメント花火ショー』であることが特徴です。フィナーレを飾る「錦冠(にしきかむろ)花火」は勝毎花火の代名詞にもなっており、夜空一面に大きく長く尾を引く花火がまるで頭上に降りそそぐような様子は、お客様に迫力と感動を届けます。

ーー何部かにわかれてプログラムが構成されていると伺いました。詳細を教えていただけますでしょうか。

毎年変化を重ねてきたプログラムの大枠は、現在6部構成となっており、その年オンリーのオリジナルプログラムとしてお届けしています。昨年を例に挙げますと、第1部と第4部は勝毎花火の特徴でもあるデジタルリンクでプログラム。第2部は観客参加型の演出で、昨年は音楽に合わせて携帯電話やサイリウムなどのライトを振っていただき、アイドルのコンサート会場のような一体感を生み出しました。第3部は「JAPANEMOTION」と題し、伝統の和火(わび)から最新の芸術玉まで、「日本の花火」をお届けしました。第5部は、十勝にしかない「ばんえい競馬」(体重1トンを超える馬が重りをのせた鉄ソリを引き、直線コースで力とスピードを競う世界唯一の競技。現在は北海道遺産になっている)を花火で表現しました。そして第6部は約13分間にわたってノンストップで繰り広げる、大会最長で最大のデジタルリンクプログラム。クライマックスの錦冠花火は夜空を黄金の光で埋め尽くし、感動のフィナーレを迎えました。

ーー照明や音楽とのコラボレーション映像を拝見しました。どのようなきっかけでこのパフォーマンスを始めたのでしょうか。

多くのお客様に世界最先端の花火プログラムを楽しんでほしいと導入されたのが「デジタルリンク花火」です。これは音楽に埋め込まれた信号に花火を同期する仕組みです。現在ではスタンダードになりつつありますが、導入当時は最新技術だったため、打ち上げ業者である丸玉屋の全面的な協力で実施することができました。今では、フィナーレの錦冠花火とは一味違った金字塔として、デジタルリンク花火を駆使した第4部の「花火ファンタジア※」が注目を浴びています。それから、「照明とのコラボレーション」もバリエーションを増やしメリハリを利かせた花火ショーへとの思いで導入されました。現在ではエンタテイメント性を高めるため、パートによっては照明が主人公となる演出場面もあります。ムービングライトやレーザーを中心として、音楽に合せて強弱をつけながら動き、観客とのコールアンドレスポンスを仕掛けるなど、花火やMCに次ぐ観客とのコミュニケーションツールとしても使用し、存在価値を高めています。

※「花火ファンタジア」は丸玉屋の登録商標。

ーー歴史ある大会ながらも、新しい試みをされていることも興味深いです。

近年ではニコニコ生放送にてインターネットによる生中継を行なっています。また、昨年はYouTubeでの360°VR生中継を行い、会場にいなくても臨場感溢れる映像をお楽しみいただくことに成功しました。2009年にテレビ番組『SmaSTATION!!』の「この夏、絶対見たい!全国の花火ランキングベスト20」で第2位に選ばれた後も日々研究を重ね、今では十勝に限らず全国からお客様を迎える花火大会へと発展しています。

ーーお話を伺っているだけでも期待が膨らみますね。では、今年のテーマはなんでしょうか。

今年のテーマは「Hop!(ほっぷ)」です。皆様がHop!しながら、軽い足取りで来場し、軽い足取りで帰宅する。そんな期待と充実感をお届けする意図を込めました。来場される方々へ向けた事前情報の更なる充実、演出効果の追求、お客様の行き帰りの安全確保に至るまで、全てが密接に連動してHop!したい気持ちを作り上げていく覚悟です。それから、勝毎花火では毎年オリジナルで楽曲を制作しているのですが、今年はオープニングである第1部に、帯広と縁のあるIMERUAT(イメルア)さんに曲を作っていただいております。それもぜひ楽しみにしていただきたいです。IMERUATさんは、帯広市出身のMinaさんと、大人気ゲームであるファイナルファンタジーシリーズ、その中でも評価の高い13の楽曲を制作した浜渦正志さんのコンビです。

ーー今年特に力を入れているプログラムは。

やはり、第4部の「花火ファンタジア」ですね。デジタルリンク花火によって地面から打ち上げる花火だけでなく、構造物に仕掛けられたパイロ(ジャーブ・コメットなどのいわゆる仕掛け花火)が上下左右、360度など変幻自在に放たれる驚きと感動のプログラムをお届けします。ここ3年続いた大型足場が進化を遂げ改良され、新たな仕掛けが登場しますのでお楽しみに。

ーー会場では花火だけでなく、北海道ならではの食材が並ぶ屋台も魅力的だと伺いました。

主に地元十勝の飲食店が出店します。おすすめは勝毎花火の会場のみで販売する、十勝産の食材をふんだんに使用した特製花火弁当です。なかでもぜひ味わっていただきたいのは、豚肉に甘辛いタレを絡めてご飯にのせた豚丼です。十勝は豚肉文化で、すき焼きにも豚肉を使います。豚丼は十勝のソウルフードなんですよ。

ーー聞いているだけで食欲をそそりますね。では、各地から行くお客様のために、帯広の魅力や観光スポットを案内いただけますでしょうか。

まずは『帯広競馬場(ばんえい十勝)』ですね。ここは世界で唯一のばんえい競馬であり、毎週土日月の3日間、レースを開催しています(時期によって異なる場合あり、要確認)。レース開催日でなくても、競馬場の中の『ふれあい広場』ではポニー、どさんこ馬、市の嘱託職員にもなっているばん馬のリッキーに触れ合えます(火曜日以外)。それから、帯広の隣町である音更町にあります『十勝川温泉』もおすすめ。植物性モール温泉で、茶褐色の柔らかいお湯がお肌をツルツルにしてくれます。平成16年11月には北海道遺産に選定されました。最後は、十勝と言えば『菓子王国』ですよね。酪農が盛んな十勝では、新鮮な生乳から作られる乳製品が豊富。それらを使ったスイーツは『六花亭』の「マルセイバターサンド」をはじめ、全国でも名の知れた名店が多数存在します。ちなみに、『柳月』の三方六、『クランベリー』のスイートポテト、『十勝トテッポ工房』の「ナチュラルチーズケーキ3種のフロマージュ」。これは私の個人的に好きなお菓子ベスト3です。

ーー北海道の観光スポットや食も楽しみながら、ぜひ一度は勝毎花火に訪れたいですね。

公式ホームページでは、会場までのアクセス方法や交通規制に関するお知らせ、プログラム内容など、情報を随時更新しております。ホームページを事前にチェックしていただいて、勝毎花火をお楽しみください。


インタビュー・文=ふくだゆみ

イベント情報
第67回 勝毎花火大会

 日時:2017年8月13日(日)19:30-21:00(予定)
 会場:北海道帯広市 十勝川河川敷特設会場

 
 

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