これは完全に沼案件! ミュージカライブ『アンプラネット―ボクの名は―』ゲネプロレポート
準惑星アイドル「アンプラネット」の初主演舞台ミュージカライブ『アンプラネット-ボクの名は-』が、6月8日(木)、紀伊國屋ホールにて開幕した。
ある作品やキャラクターにどっぷり溺れ、二度と正常な生活に戻れなくなるさまを、愛と畏敬をこめて“沼”と表現するようになって幾星霜。演劇界でも、“若手俳優沼”という言葉がさかんに使われる通り、この数年、数多の“沼住民”がその深すぎる沼にどっぷりダイブし、禁断の愉楽を味わっている。
そんな中に来てのこのミュージカライブ『アンプラネット-ボクの名は-』は、大量の“アンプラネット沼”住民を生み出す破壊力ある作品であることが判明した。
いったいこの沼の威力とはいかなるものか。初日に先駆け行われたマスコミ向けの公開ゲネプロをもとに、その恐るべき魅力を探りたい。
※以下、一部、公演の内容にふれる記述があります。ネタバレが気になる方はご注意ください。
【その1】アイドルを目指すローザと「アンプラネット」の友情に沼!
今回、エリィ、セシィ、マー二ィらがやってきたのは、銀河一のアイドルを決める銀河アイドル選手権。そこで、エリィらはデビューを目指すアイドル候補生・ローザ(加藤真央)と知り合う。このローザと「アンプラネット」の間で育まれていく友情がとっても爽やか。
ローザは子役時代から真面目に芸能活動を続けているが、一向に芽が出る気配がない。この銀河アイドル選手権は、崖っぷちのローザにとってラストチャンス。ところが、共にエントリーをしたチームメイトはやる気ゼロ。ひしめく強豪を前に敵前逃亡する始末だ。
そんなローザとエリィたちがどうして一緒に踊っているのか。それは見てのお楽しみとして、エリィたちもローザも、お互いの素性を決して深く知り合っているわけではない。だけど、共に歌い、共に踊れば、どれだけ言葉を重ねるより、どれだけ長く過ごすより、わかり合えるものがある。ひとつのものを一緒に目指すことで、人はみんな仲間になれるのだということを、彼らの一体感あるダンスが教えてくれる。この広い宇宙の中で、奇しくもめぐり合った4人。その友情ストーリーが、本作に爽快な余韻をもたらしている。
【その2】ギャップ萌えすぎるだろ! ポミィとヴィーの意外な一面に沼!
そんな銀河アイドル選手権には他にも魅力溢れるキャラクターが多数登場している。中でも注目なのが、ポミィ&ヴィーのコンビ。『CHaCK-UP―Episode.0―』にも登場した便利屋ポミィと掃除屋ヴィーがいったいどうしてこんなフリフリのドレスで踊っているのか。その謎も劇場で明かされるので、ぜひお楽しみにしておきたいところ。
ただはっきり言えるのが、このふたり、見ての通りとてもノリノリであるということ。普段からキュートなポミィだが、ここではもう水を得た魚のよう。ちょっとした首の傾げ方、手の位置、目線、表情のつくり方、どこを切り取っても最強アイドル! 可愛さのクリアランスセールだ。買い占め注意だ。
そしてギャップという意味ではポミィ以上に強烈なのが、何と言ってもヴィー。自称・金色の死神を名乗るダークなヴィーが、頬を膨らませ、ぶりっ子ポーズを連発。想像の斜め上を行くポテンシャルを発揮している。
ふたりの持ち歌も、ある一定の世代以上ならちょっと懐かしさを感じるテイスト。オルゴール人形のように踊るポミィ&ヴィーは、本作の台風の目だ!
【その3】紀伊國屋ホールがスタジアムに! あなたの“推しドル”を全力で応援せよ
スタンダードなミュージカルナンバーからノリのいいコミカルソングまで多彩な楽曲を楽しめる本作だが、第2部のレビュー(ライブ)パートでは一層音楽の魅力がパワーアップ。このお芝居&ライブの二段構成が、アイドルステージの醍醐味だ。
もちろんスタンディングなどの行為はNGだが、その熱気はコンサートスタジアムと何ら遜色なし。ポミィが、エリィが、セシィが、マー二ィが、客席に降りて、あなたのすぐそばまで駆けつけてくれる。超至近距離で体感するアイドルオーラは、宇宙史上2度目のビッグバンが起きるレベル。無事に帰れると思ったら大間違いだ。
楽曲も実にバラエティ豊かで楽しい。ハードなロックナンバーもあれば、和風ダンスチューンもあり、それぞれのキャラクターの持ち味がフルスロットル。紀伊國屋ホールの客席が一面サイリウムの海と化した。
ポミィのふんわりとした笑顔に、エリィの澄んだ瞳。セシィの絵画のような立ち姿に、マーニィの元気いっぱいのダンス。全身白のアイドルスーツに衣替えした銀髪の「アンプラネット」は、地球に降り立った天使のよう。彼らの全身から溢れ出るキラキラ光線に、日常の疲れを思う存分浄化されよう。糖分たっぷりのチョコレート以上に、うっすらと積もったストレスを甘く溶かしてくれるはず。
終演後には、日替わりメンバーによるお見送りイベントも! たとえどれだけ気丈にこらえていた人でも、最後にこんなとどめの一手を打たれたら、大人しく沼に落ちるしかない。しかも、恐ろしいところは、この“アンプラネット沼”、まだまだ底が知れないところ。発展途上の「アンプラネット」はこれからもステージを重ねるごとに成長していくこと間違いなし。清く正しいビジュー(ファン)のみなさんは、今後の彼らの活動をしっかり観測していこう。
取材・文・撮影=横川良明
日程:2017年6月8日(木)~2017年6月18日(日)
会場:紀伊國屋ホール
料金:6,000円(前売・当日共/全席指定/税込)
脚本・演出:亀田真二郎(東京パチプロデュース)
作詞:三ツ矢雄二/うえのけいこ
音楽:大石憲一郎
振付:Q-TARO 他
出演: 福島海太(ポミィ) 赤澤遼太郎(エリィ) 井阪郁巳(セシィ) 松田将希 (マーニィ)/HERO 星乃勇太(ヴィー)/加藤真央 永松文太 花塚廉太郎 Ibu/尾関 陸/鳥羽 潤
日替わりゲスト:三浦宏規 劉 高志 Kimeru 三ツ矢雄二 ※出演日程は公式サイトをご確認ください。
公式サイト:http://www.nelke.co.jp/stage/UN_PLANET_2017/