ギタリスト村治奏一がシンフォニーホールで大人の贅沢な時間を提供するコンサート
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村治奏一
ザ・シンフォニーホールが開館35周年を記念して大阪交響楽団とスタートさせたコンサートシリーズ『ライト・シンフォニック コンサート』。第一回目は細川千尋(ピアノ)を迎え、大盛況で幕を閉じた。そして第二回となる今回はギタリストの村治奏一をゲストに、イタリア、スペイン音楽の幅広いジャンルから名曲をお届けする。クラシックギターの繊細な音色を堪能できる贅沢な大人のための時間。村治奏一にクラシックギターの魅力を聞いてみた。
――クラシックギターとの出会いを教えて下さい。
僕の父親がクラシックギターの教師だったんです。自宅でギター教室をしていて、4つ上の姉もクラシックギターをやっていて。なので、物心つく頃には常にギターの音が鳴っている環境にいました。
――クラシックギターのどういう部分が魅力だと感じますか?
機能的な面で言うと、ヴァイオリンやチェロは旋律楽器で、メロディを担当して伴奏はピアノや他の楽器が担当するんです。だけど、クラシックギターの場合は、弓ではなく小指以外の4本の指で弾くので、ギター1本でメロディラインと伴奏を1台で表現出来るのが魅力です。なので、ギター1本あれば、どんな曲でも対応出来ます。あとは、他の弦楽器以上にすごく音色が繊細で表現が幅広く作れると思います。
――オーケストラとの共演ということもあり、ソロでの演奏とは違ったこともあると思うのですが。
そうですね。例えば、ソロで演奏する時は自分の音がリアルタイムで聴こえてくる音を聴いて、次の音の間のとり方を考えたりします。だけど、アンサンブルやオーケストラとの共演の時は、“対話”だと思っていて。自分から出てる音を聴くというよりか、“相手の音を8割方聴いて、それに合わせて、どういうふうに返すか”というやりとりが1番の醍醐味かなと思っています。その時になってみないとわからないことが沢山あると思うので、今回も、その部分を楽しみたいなと思ってます。
――今回の選曲に関して、特に思い入れの強い曲はありますか?
思い入れは全部の曲にあるんですけど、例えば「アルハンブラの思い出」や「愛のロマンス」は、学生の頃から弾いてる曲です。あと、「カヴァティーナ」も自分のレパートリーの中ではずっと弾いてる曲です。今回オーケストラとの共演ということもあり、ソロの時とは全然違う表現が出来ると思うので、そこが楽しみですね。『はかなき人生』より「スペイン舞曲 第1番」は、クラシックギターの二重奏で演奏されることが定番なんです。だけど、今回はこの公演のためだけに、編曲家の方にお願いしてギターとオーケストラバージョンを作っていただいたので、どんな感じになるのか、僕自身楽しみにしてます。
――ちなみにスペインの好きなところは?
マドリードはすごく好きな街ですね。留学先がボストンとニューヨークだったんですが、ニューヨークは碁盤の目のように作られていて、人工的な感じがあるんです。だけど、地下鉄に乗れば演奏会をしている人たちが居たり、すごく音楽と芸術が生活に浸透している印象があって。スペインという街は、ニューヨークにはない昔ながらの空気感があって、マドリードはそういう空気感とニューヨークの空気感の両方を感じられる街だなと思ったので好きですね。
――テーマが『ライト・シンフォニック コンサート~大人の贅沢~』とありますが、村治さんが思う“大人の贅沢”とは?
今回、演奏する曲というのは「愛のロマンス」や「カバティーヌ」など華やかな曲ではないんですが、本当にじっくり聴いてもらうことで、見えてくる良さがあるんじゃないかと。クラシックコンサートを聴きに来る方は、平日はお仕事をされていて、週末の限られた時間に聴きに来られる方が多いと思うんです。贅沢な時間は、人それぞれだと思うのですが週末の時間を有意義に過ごしてもらいたいですね。1音の響きをじっくり聴いてもらったりして、堪能してもらえれば嬉しいです。
取材・文=YUMI KONO
※未就学のお子さまのご入場はお断りさせていただきます。
タレガ:「アルハンブラの思い出」 ★
アルベニス:『スペイン組曲』第5曲「アストゥリアス」 ★
マーラー:交響曲第5番より「アダージェット」 ◆
マイヤ-ズ:映画『ディア・ハンタ-』より「カヴァティ-ナ」
ファリャ:歌劇『はかなき人生』よりスペイン舞曲 第1番
ロッシ-ニ:弦楽のためのソナタ第1番 ト長調 ◆
マスカ-ニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカ-ナ』より間奏曲 ◆
ヴィヴァルディ:リュ-ト協奏曲 ニ長調 RV.93
モンティ:チャルダーシュ ◆
【アンコール】
ララ:グラナダ ◆
★ギター・ソロ ◆オーケストラのみ
[ギター]村治奏一
[オーケストラ]大阪交響楽団
[ナビゲーター]早田和泰