高杉真宙『逆光の頃』インタビュー 「もう一度、会いたい」気持ちから変化した演技への意識
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高杉真宙 撮影=岩間辰徳
『仮面ライダー鎧武/ガイム』の呉島光実 / 仮面ライダー龍玄役で注目を集めて以来、俳優・高杉真宙は様々な作品に出演し続けてきた。その勢いはとどまるところを知らず、21歳になる2017年も『トリガール!』『散歩する侵略者』など6本の映画に出演。そんな高杉の主演最新作『逆光の頃』が7月8日(土)から公開される。
本作は、“コップのフチ子”で脚光を浴びた漫画家・クリエイターのタナカカツキ氏の同名漫画を、映画『ぼんとリンちゃん』で第55回日本映画監督協会新人賞を受賞した小林啓一監督が実写化した作品。京都を舞台に、高杉演じる高校2年生・赤田孝豊の日常と思春期のゆらめきを美しい映像で描いていく。『ぼんとリンちゃん』に続き、小林監督と2度目のタッグを組んだ高杉は、恋心を抱く幼なじみの少女・みこと(葵わかな)や、考豊の友人でバンドマン・公平(清水尋也)らとの抒情的でシュールな青春をどう表現したのか。今回のインタビューでは、撮影エピソードから人生のターニングポイント、そして、思い描く将来の俳優像まで、じっくりと語ってもらった。
“目立ちすぎては駄目、目立たなすぎるのも駄目”な役づくり
高杉真宙 撮影=岩間辰徳
――脚本を読んだ時に、孝豊と共感する部分はありましたか?
わりと僕と似ている部分が多かったです。でも、孝豊という人物が見ている世界がキラキラしているのが羨ましくて、「凄い!」と思いました。孝豊から見ている公平(清水尋也)と、僕から見ている清水君に対する感じ方が似ているので、(二人の)距離感は自然にできました。それと、周りの人に対して劣等感を感じるところは似ています(笑)。孝豊という人物が自然に写る瞬間が多いと思いましたし、本当にやっていて楽しく、自分の中でしっくりくる部分が多かったです。でも、難しい部分も多かったです。
――難しい部分とは?
孝豊という役は、主人公だけど目立ちすぎては駄目。でも、目立たなすぎるのも駄目なんです。孝豊という人物の目線でみんなを見ているので、どうしても目立たなくなる。それをどうにかして、孝豊という人物が“居る”ようにする。その按排(あんばい)が難しかったです。
――何気ない日常の風景が特徴的な作品ですよね。
“どこにでもある普通が変”な中に、孝豊がいる。そこが難しくて。孝豊を作り上げるのに重要なのは、“京都という町にいる”ということと、“ほかの出演者の方たち”でした。それによって孝豊という人物が作り上げられる。自分の中では、(登場人物が)ひとり違うと、全然違う人物になるんじゃないかと思います。
――孝豊は18歳ですが、その頃の高杉さんはどんな男性でしたか?
ちょうど、映画『ぼんとリンちゃん』(2014年公開)を撮ったあとくらいで、その頃はリン(編注:『ぼんとリンちゃん』で高杉が演じた役)に似ていたと思うんです。ちょっと静かな子で、自分の趣味がちゃんとあって……。
――孝豊とは違いますね。
全然、違うと思います。小林監督とご一緒するときは、その時の自分と照らし合わせることが多いので……孝豊も、演じていた頃の自分に近いと思います。だからこそ、分かる部分があるから理解しやすく、自然と演じられました。
――孝豊と高杉さんご自身を混同してしまうことは?
ちゃんと意識をして、「孝豊としてここにいよう」と思いながら演じていましたが、ごっちゃになるときもありますね(笑)。でも、自分と孝豊がここにいる。それが演技をしていて心地よい時です。
――監督からアドバイスはありましたか?
京都に慣れていくうちに、「もっと、もっと自然にいること」を求められました。例えば「自然に振り返る」1カットを、何度も撮影したことがありました。自分ではナチュラルに演じているつもりでもダメで。そこが難しかったです。だからこそたくさんの勉強と成長がある。作品によって求められる演技は違いますが、「ここまでの演技をしたい。求められる演技がしたい。もっともっとナチュラルにしたい」と思っています。
――季節の移り変わりの美しさも描かれているので、何度かに分けて撮影されたと思います。演じるのは難しくなかったですか?
撮影の最初は、京都に慣れて京都にいる人物になるように努力をして、自然と(孝豊に)なっていきました。でも、ちょっと慣れてきた頃に、いったん撮影が終了して、東京に戻って違う作品を撮影することになっていました。実はそこが心配だったんです。でもリハーサルをすると、一度掴みかけていたので、取り戻すのは早かったです。もちろん、“心折れること”はあるんですが、それは初日とは違う感じです。
――“心折れる”とは?
監督からは厳しいひとことはないんです。ただ、「ここをこうしよう」はあっても、「違う」と言うときに「ここが違う」がない。自分で考えて掴まなければいけないんです。その汲み取り方で、初日は掴み切れずに何度も(笑)。
――その時の対処法は?
基本、ぼくはネガティブではないので、監督に立ち向かっていけます(笑)。「なにクソ!」って思いながら何度もやり直して帰る。落ち込んでから「よし、頑張ろう」って思います。どの作品にも壁がある。でも、こんなに壁がある組(制作チーム)は無いんですよね。だから、その壁を乗り越えていくのが楽しくって「もっともっとやらなきゃ」という気持ちが今後の自分にも繋がりますし。作品の方向を自分の中で理解して、一緒に向かっていく感じが本当に楽しいです。
高杉真宙 撮影=岩間辰徳
――6月10日には完成披露上映会も行われました。皆さんとは久しぶりにお会いになられたのでしょうか?
撮影で皆さんとすごく仲良くなったんですが、完成披露の時も撮影時と同じで、あそこに立っていたのが不思議で違和感がある……そんな感じでした。緊張しているけれどリラックスしているような、ふわっとした不思議な感覚です。
――葵さんは撮影時を振り返って「同級生のようだった」とおっしゃられたそうですね。
出演者がすごく少人数なので、共演者やスタッフの皆さんと食事などに出かけていました。清水君や葵さんは本当に同級生って感じがするんです。自分が年上という実感がなくて、ふと「自分が年上だったんだ……」って思ってしまう。清水君が18歳になったと聞いたときには、「いやいや、(自分より)年上でしょ」って(笑)。
――葵さんとの共演はいかがでしたか?
ドラマ『表参道高校合唱部!』で共演しましたが、「会ったかな?」という程度だったので、このようにガッツリは初めてでした。最初お会いして「すごい京都が似合う」と思いましたし、京都弁もうまくて、見ていても、一緒に演技をしていても、撮影をしていても違和感がなくて、すごく素敵だと思いました。僕がここにいて、隣に(葵が)みこととしているのに違和感はありませんでした。僕は監督の“こういう風”が分かっていたんですが、初めての方は“心折れる”ことが多いんです。でも葵さんはぜんぜんで、「こうやっていこう」というのがあって、ガッツのある方だと思いました。
――京都での撮影はいかがでしたか?
ガッツリ京都で撮影するのは初めてでした。中学の修学旅行で行ったことがあるんですが、その時は京都の良さが見えてなかったんだと思います。今回、しっかりと京都という町を味わって、「あの時はなにも見えていなかった」と気づくことができました。「なんで僕は京都に生まれなかったんだろう。悔しい」って、すぐにマネージャーさんに連絡したくらいです(笑)。もちろん、地元の小学校にも楽しかった思い出はあるんですが、その後は東京で過ごしていて……東京での青春も楽しかったんですが、みんなが方言を使うような環境ではないので、「こういう青春いいよな」って。何気ない一瞬なのかもしれないですが、綺麗で羨ましかったです。
――自然に京都弁を話されていましたが、難しくはなかったですか?
難しかったです。地元の博多弁と似ている部分もあるんですが、全然違うんです。“ゆっくり話す”のが課題でした。博多弁って早いんですよ。僕、ゆっくり話すのが難しくって、何度も「ゆっくり」って言われていました。「最後の拇印を残して言ったら京都弁ぽく聞こえるよ」とか教えてもらいましたが、(自分では)話せているつもりでも、どうしても話せていなかったり……そこは苦労しました。
――いまは京都弁はマスターされたようですね。
そうですね(苦笑)。ただ、今「(京都弁を)話せ」と言われても、話せないんですよ。先日、ファンの方とLINE LIVEをやった時に、「京都弁を言って」と言われたんです。でも、(撮影時は)セリフだから話せたんだと思うんです。必死で練習したというのもあるんですが、“高杉真宙”が京都弁をしっかりと話すのは難しいですね。
目指すのは“また呼んでいただける”俳優
高杉真宙 撮影=岩間辰徳
――本作だけではなく、『PとJK』、『ReLIFE リライフ』、ほかにも『散歩する侵略者』や『トリガール!』など、今年だけでも映画6作品に出演されています。TVやCMなどもありますし、忙しい時間を過ごされていますね。
たくさんの方に観ていただける機会が増えたと思っていますし、毎作品で自分を残せたら、また呼んでいただけるかもしれない。その繰り返しだと思っています。僕は「何かを求められているから、この作品に呼ばれている」と思っているんです。だからこそ、何かを掴んで……本当に生意気ですが、それ以上のものをどうにか出したいと思っています。
――「また呼んでもらいたい」と思って演じてらっしゃるんですね。
僕の中でそれを続けていったら、「高杉真宙にやってほしい」と思ってもらえるんじゃないか、と。今は“また呼んでいただける”俳優になるための一歩だと思っています。だからこそ「120%出したい」と思っていますし、取り逃がすと、呼んでいただけないと思っています。
――そう考えるようになったのはどうしてですか?
呼んでいただける嬉しさがあったからです。「もう一度、会いたい」という気持ちから、「もう一度、呼んでいただきたい」に変わっていったからです。これからも、たくさんの人に出会いたくて、「初めましてがなくなれば」と思っています。
――最近は「初めまして」が少なくなったのでは?
「お久しぶりです」がすごく増えてきて、それが凄く嬉しいです。自分は、10人の役があったら、10人の僕がいるような……もっともっと限界を知りたいんです。これからも、昨年頑張って演技した作品が公開されていくので、その作品を観ていただいて「この役って誰だろう?」と思ってもらえて、そこから「高杉真宙だ!」と気付いてもらえたら、また呼んでもらえるんじゃないか、と思っています。
――ほかに大切にしていることはありますか?
「お久しぶりです」というのは、演技を頑張るのはもちろんですが、それ以外に高杉真宙という人物自身を「良い」と思ってもらわないといけない。簡単にできることではないと思いますが、良い役者であるのと同時に、人柄も良くしないといけないと思っています。
――昨年の7月4日には20歳になられましたね。どんなご気分ですか?
早かったですね。崖から突き落とされていた気分です。去年は映画をたくさんやらせていただいて、映画の大変さを知りましたし、楽しさも知って、自分の中では人生の中でもターニングポイントだったと思っています。これからの人生も、たくさんのターニングポイントを作っていきたいと思っています。
高杉真宙 撮影=岩間辰徳
――お酒も飲めるようになりましたね。
そんなにお酒が飲めなんですよ(笑)。そうだ!『ぼんとリンちゃん』の時に監督に「一緒にお酒が飲みたいです」って言っていたんです。それが20歳のときに飲むことが出来て嬉しかったです。そういう意味では20歳になった実感がありました。それまで実感がなかったんですよ。「20歳ってこんなもんか」ってくらいで、自分が変わらないと変わらない。自分頑張ろう(笑)。
――監督と飲んで、いかがでしたか?
嬉しかったですね。嬉しかったので、撮影が終わった後みんなで食事に行くときは、必ず1杯は飲ませていただいていました。4年前に「一緒に仕事がしたいです」と言っていて、こうやって呼んでいただけた。こういうのが僕が求めていたものだと。そのためには、自分はもっともっと頑張らなければ、と思いました。
高杉真宙 撮影=岩間辰徳
取材・文=Hirayama Masako、撮影=岩間辰徳
映画『逆光の頃』は7月8日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
撮影=岩間辰徳
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脚本・監督 : 小林啓一(映画「ももいろそらを」「ぼんとリンちゃん」)
原 作 : タナカカツキ「逆光の頃」(講談社「モーニングKC」所載)
出 演 : 高杉真宙 葵わかな 清水尋也 金子大地 田中壮太郎
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
公式サイト:gyakko.com
(C)タナカカツキ/講談社・2017 東映ビデオ/マイケルギオン