「俺、泣いちゃう!」レキシ、三内丸山遺跡で届けた万感の「狩りから稲作へ」

レキシ(撮影:田中聖太郎)

レキシ(撮影:田中聖太郎)

レキシが9月6日に青森・特別史跡三内丸山遺跡 野外特設ステージでワンマン公演「世界遺産劇場 -縄文あおもり 三内丸山遺跡-」を開催した。

「北海道、北東北の縄文遺跡」を構成する遺跡の1つとして世界遺産登録を目指す三内丸山遺跡にて実施された今回のライブ。レキシが遺跡で公演を行うのは初めてのことで、会場には悠久の地に立つレキシの晴れ姿を見届けようと約3000人のファンが詰めかけた。

三内丸山遺跡は日本最大級の縄文集落跡で、この日のステージは下手側に復元された「大型堀立柱建物」を、客席の奥には同じく復元された「大型竪穴住居」を臨む場所に設けられた。開演時間を迎えると、片手に同所のマスコットキャラ・さんまるくんのぬいぐるみを抱えたレキシが勢いよく舞台に登場。TAKE島流し(Sax, Flute / 武嶋聡)、ほっぺた犯科帳(Tp / 類家心平)の吹き鳴らす華やかなフレーズに乗せ「ありがとう、来たよー! 遺跡よ!」と喜びを叫んだ彼は「大奥~ラビリンス~」でライブの幕を開けた。

曲中に挿入される“お呼び出しアナウンス”のフレーズを「“三内丸山遺跡”にお越しの春日局様ー」と言い替えて観客を沸かせたレキシは、その後もDREAMS COME TRUE「うれしい!たのしい!大好き!」の替え歌で「♪やっぱりそうだ、遺跡だったんだ」と口ずさむなど1曲目からトップギアのパフォーマンスを展開。「1曲目だけど、もう超楽しいです! ありがとう!」と喜びをあらわにする。続く「姫君Shake!」ではその勢いを加速させるように、さらにアドリブを連発し、「せっかく早い時間から始めたのに、楽しすぎてもうイヤな予感しかせんよ!」と、早くも公演時間の延長を匂わせる発言でファンの爆笑を誘った。

「ドゥ・ザ・キャッスル」では、12月にスタートするレキシの全国ツアーに参加しない元気出せ!遣唐使(Piano, Cho / 渡和久 from 風味堂)へ、バンドメンバー“一時卒業”の惜別の意を込めたお城の形の被り物がレキシから手渡される。レキシとお揃いのこの被り物を被った元気出せ!遣唐使は照れ笑いを浮かべながらも流麗なピアノの音色を響かせた。ホーンセクションをフィーチャーした「Let's忍者」ではしっとりとしたムードが場内に広がり、レキシは元気出せ!遣唐使と映画「タイタニック」の寸劇を披露してそのムードを一層盛り上げる。続く「古墳へGO!」では一転、さわやかなメロディに乗せてレキシとオーディエンスが「K, O, F, U, N」のコールとジェスチャーで盛り上がり、レキシの先導で会場が一体となって“Xジャンプ”を決めると、彼はモニタースピーカーに足をかけ「紅だー!」と激しくアフロヘア―を揺らした。「さらにハードな曲、行きましょう」というレキシの言葉からドロップされた「salt & stone」では、バンドメンバーによる濃密なセッションが繰り広げられる。蹴鞠Chang(Dr / 玉田豊夢)のパワフルなドラミングに触発されるように、レキシはキーボードと向かい合って情熱的なソロを披露。途中からは元気出せ!遣唐使とペアダンスを踊り出し、ステージ上の狂乱に観客も手を叩きながら激しく体を揺らして呼応した。

この曲を終えMCに立ったレキシは、三内丸山遺跡のPR活動を行う「あおもり縄文大使」に任命された喜びを語り出す。彼は「前回この場所に来たときは、あの六本柱(大型堀立柱建物)の上に登ったんですよ。さらに遺跡の発掘作業まで体験させて頂いて……このことがどんなにうれしいことか!」とコメント。そして「縄文時代って、1万年くらい続いたんですよ」と切り出すと「それだけ争いのない平和な時代が続いたってことだから、いい時代だなって思うんです。真面目な話になっちゃいますけど、このことは忘れちゃいけないなって」と思いを語る。レキシは続けて「あんまり難しいこと考えると頭痛くなっちゃうんで(笑)、難しい話は偉い人に任せて。頭の片隅にでもいいんで、覚えて帰ってくれるとうれしいなあなんて思います」と集まったファンへ呼びかけた。いつになく真面目なMCからプレイされたのは、“和を以て貴しとなす”をテーマにした「憲法セブンティーン」。レキシとバンドは暮れ行く空に熱のこもった演奏を響かせ、オーディエンスは彼らの紡ぎ出す音にじっくりと耳を傾けた。

ライブも終盤に差し掛かり、ここでこの日のゲストである旗本ひろし(秦基博)と足軽先生(いとうせいこう)がステージに招かれた。旗本ひろしは登場するなり「縄文人も(ライブを)聴いているかもしれない……」と、前日に同所で行われた自身の公演で語ったMCを再現し、レキシから「それだよ、知ったかぶりの感じ出てるやつ!」とツッコまれる。和やかなムードの中、レキシの「みんなで年貢納めていくよ!」とのかけ声から「年貢 for you」へ。曲中で展開されるアドリブ合戦はどんな曲にも対応するバンドのスキルフルな演奏も相まって白熱の様相を呈し、スティーヴィー・ワンダー「Isn't She Lovely」や大黒摩季「ら・ら・ら」など多彩な楽曲がプレイされる。秦基博「ひまわりの約束」では、旗本ひろしが甘い歌声で「♪ここにある年貢に気付いたからー」と替え歌をして一層の歓声を誘い、レキシは客席の盛り上がりに「ちょっと、なんなの! 料金倍払って!」と不満げに語っていた。

「年貢 for you」の演奏が終わると、公演開始から2時間が過ぎていた。「まだ実は9曲しかやってません」と笑ったレキシは、次の楽曲が本編最後の曲であることを告げる。手に持つ稲穂を高く掲げるオーディエンスを見た彼は「やっとその稲穂が役に立つときが来ましたよ!」と感慨深げに語り「やばい、今日泣いちゃう俺……ここでこれやれるの、泣いちゃう!」と思いを漏らす。彼は続けて「いつもは縄文土器と弥生土器、どっちも思いながら歌うけど……今日はずっと縄文土器を思いながら歌おうかー! どっちも縄文土器ー!」と叫び、大きな歓声の中「狩りから稲作へ」へなだれ込んだ。

満を持して届けられたレキシのキラーチューンに、オーディエンスは稲穂を揺らして盛り上がる。縄文遺跡の上に穂波が立つというファンタスティックな光景に、レキシは曲中何度も「本当に泣きそうだ!」とつぶやいた。「高床式」から「キャッツ!」に至るおなじみのコール&レスポンスコーナーに差し掛かると、彼は「ちょっとヤバくない? 事の重大さに今気付いた! 俺、高床式(倉庫)見ながらこれやれるの? 気絶しちゃう!」と喜びをあらわにする。彼の言葉にオーディエンスの声は一層熱を帯び、やりとりの最後には大きな「キャッツ!」コールが遺跡にこだました。するとここで、レキシの「どうしても『キャッツ!』がやりたいという方が来ています」という紹介から、三村申吾青森県知事がステージに乱入。三村知事は登場するなり「兄弟!」とレキシに呼びかけてハグをするなどハイテンションで、知事の唱和で再び「キャッツ!」が行われる。三村知事は「“縄文インフルエンサー”として、今度一緒に遺跡掘ろうぜ!」とレキシと約束を交わして退場。お祭り騒ぎのステージ上の熱気はクライマックスに向けてどんどんと高まって行き、レキシが「最後にもう1回、みんなで歌うよ!」と呼びかけると観客は大きな歌声でこれに反応した。「私の願いは今日から“縄文中心”!」と歌い上げるレキシは万感の表情。「狩りから稲作へ」の演奏は約19分に及び、彼が「やっぱり今日はもう、縄文……青森好きー♪」と楽曲を締めると、大歓声とともに感動的なムードが会場に広まっていった。

「もう時間無くなった(笑)!」というレキシの言葉から始まったアンコールでは、1曲目にその場のリクエストで選ばれた「妹子なぅ」がワンフレーズだけプレイされる。150分にわたる白熱のライブを締めくくったラストナンバーは「きらきら武士」。遺跡の上には夜空が広がり、華やかな照明の演出がステージを彩る。レキシは1つひとつのフレーズに思いを込めるようにこの曲を歌い上げ、会場が一体となったジャンプでライブは大団円。レキシは「ありがとう!」と何度も感謝を告げてステージをあとにした。

レキシ「世界遺産劇場 -縄文あおもり 三内丸山遺跡-」
2015年9月5日 特別史跡三内丸山遺跡 野外特設ステージ セットリスト

01. 大奥~ラビリンス~
02. 姫君Shake!
03. ドゥ・ザ・キャッスル
04. RUN 飛脚 RUN
05. Let's忍者
06. 古墳へGO!
07. salt & stone
08. 憲法セブンティーン
09. 年貢 for you
10. 狩りから稲作へ
<アンコール>
11. 妹子なぅ
12. きらきら武士

音楽ナタリー
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