絶対に行かなきゃ損! 日本一アツい夏祭り「青森ねぶた祭」 250万人以上の来場者数を誇るその魅力とは

2017.6.30
インタビュー
イベント/レジャー

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日本国内にとどまらず、海外旅行者にも有名な夏の風物詩「青森ねぶた祭」。ねぶたと呼ばれる山車、笛・太鼓・手振鉦が奏でるお囃子、華やかな踊り子(ハネト)が三位一体となって燃え上がる光景は圧巻の一言だ。250万人以上の来場者数を誇る祭りの魅力を、青森ねぶた祭実行委員会事務局の油布さんに伺った。

ーーまずは、ねぶた祭の歴史をお聞かせください。

青森ねぶた祭がどのようにして始まったのか、起源については実は定かではありませんが、中国から伝わった七夕行事の「眠り流し」の変形であろうと想像されています。これが元来あった津軽の習俗と一体化し、紙・竹・ろうそくが普及されると灯籠となり、その後に人形型や扇形のねぶたになったとする民俗学的な解釈が有力とされています。

ねぶたに関して確認できる最古の資料は、享保7年(1722)に津軽五代藩主信壽が弘前城下でねぶたを上覧したとするものがあり、青森市においても今から175年前の天保13年(1842)には町内単位でねぶたを作って出し、子供達も参加する年中行事として行っていたことがうかがえる記録が残っています。

明治時代や昭和の戦時中には一時的に禁止や中止された時期もありますが、祭りにかける市民の情熱は衰えることなく、戦後まだ日々の食料もままならない苦しい生活にも関わらず、昭和21年には一部の町内が早々とねぶた運行を復活させました。昭和22年からは市が「青森市復興港まつり」として大々的に開催し、昭和33年に名称を「青森ねぶた祭」と変えて今に至っています。昭和55年には国の重要無形民俗文化財の指定を受けて、現在では国内外から250万人にもおよぶ人出を数える青森市最大のお祭りとなっています。

ーーねぶた祭ならではの特徴や自慢できるプログラムを教えてください。

幅9m、奥行き7m、高さ5mもの大きさになる勇壮華麗なねぶた山車が、笛・太鼓・手振鉦によって奏でられる、勇ましくも哀調を帯びたねぶた囃子に合わせて青森市の中心部3.1kmのコースを練り歩きます。ねぶたの周りには華やかな浴衣や花笠を身につけたハネトと呼ばれる踊り子が、力強い「ラッセラッセ」の掛け声とともに跳ね踊ります。祭りの参加者だけでなく、見ている人も一体となって熱狂と興奮、歓喜に包み込まれる祭り全体の光景がねぶた祭の一番の見どころです。

また、最終日の8月7日の夜は祭りのフィナーレを飾る花火大会とねぶた海上運行が行われます。世界中に花火大会は数多くありますが、夜空に打ち上がる鮮やかな花火と、海面にゆらゆらと浮かびあがるねぶたとのコラボレーションは、毎年この日ここでしか見ることができませんので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。

ハネト

ーー他にもおすすめする部分がありましたら教えてください。

ねぶた祭の主役の一つである「ハネト」は、定められた衣装さえ着ていれば、誰でも踊り子として自由にお祭りに参加することができるという特長があります。事前の登録や当日の受付なども一切ありません。地元の人間だけが参加して盛り上がるのではなく、老若男女、誰もが分け隔てなく参加できて楽しめることも青森ねぶた祭の魅力の一つです。跳ね方もとても簡単で、片足で2回ずつ交互にジャンプするだけなので、踊れるかどうかといった心配はいりません。

祭りの期間中は青森市内にねぶた衣装を貸出しているお店がたくさんあり、4,000円程から借りられますので、祭りを見て楽しそうだなと思われたら、次はぜひハネト衣装に着替えて祭りに参加してみてください。見る時とは違った祭りに参加する面白さにハマりますよ。

ーー今年特に力を入れているところ、見どころはなんでしょうか。

今年は22台の大型ねぶたが祭りに参加しますが、そのうち「公益社団法人青森青年会議所」と「東北電力ねぶた愛好会」、「青森県板金工業組合」の3団体は運行50回目という節目の年を迎えます。各団体とも、半世紀にわたって積み上げてきた歴史と伝統にふさわしい運行を見せてくれると思いますので注目してください。

また、「あおもり市民ねぶた実行委員会」では大型ねぶたとは別に、ウルトラセブンとエレキングが題材のねぶたを出陣する予定です。今年がウルトラセブン放送開始50年にあたること、多くの怪獣や宇宙人をデザインした成田亨さんが青森市出身という縁から実現した企画ということで、歴代ウルトラシリーズのファンはもちろん、ウルトラセブンを見ていた世代の方は必見です。私も1ファンとしてとても期待しています。

囃子

囃子

ーー事務局を担当されて、思い出に残っているエピソードがありましたらお知らせください。

おかげさまでねぶた祭には全国から多数のお客様にお越しいただいているのですが、やはり観覧場所が非常に混み合う状況になりますので、土地勘のない県外からのお客様からどこでねぶたを見たら良いかといったご相談をいただきます。実行委員会では、安心してねぶたを観覧していただくために有料観覧席をご用意していますが、数年前までは少人数向けの個人観覧席は先着順に座席内の好きな場所へ座る「自由席」での入場形式だったので、少しでも前の席で見ようと入場時間の前から並ぶお客様で歩道が混雑するという状況でした。入場を待ちわびるお客様からのクレームや、お客様同士の揉め事に繋がるなど、個人観覧席での現場トラブルは頭痛の種でした。

そこで、お客様のご不便の解消と、より安心安全な観覧席で祭りを見ていただくために、様々な問題点や課題を克服しながら何とか指定席での販売にこぎつけたところ、現場のトラブルはほとんど発生しなくなりました。お客様からも時間を気にせずゆっくり入場できるようになったとの評価もいただいていますので、皆さまにはぜひ観覧席をご購入いただければと思います。

毎年、全国から沢山のお客様をお迎えするにあたり、さまざまな準備作業に追われててんやわんやなのですが、祭りの当日、ねぶたを本当に心から楽しんでご覧になっている方々の嬉しそうな表情を見ると、月並みな感想ですが苦労した甲斐があったな、また来年も喜んでもらえるように頑張ろうという気持ちになります。

のっけ丼

ーー県外から行くお客様のために、その土地の魅力や観光スポットを案内いただけますでしょうか。

青森は三方を海に囲まれ、新鮮で豊富な魚介類を1年中楽しめる場所です。青森市古川にある青森魚菜センターでは、お刺身などの好きな具材を、好きな分量で乗せる「のっけ丼」が好評を博しています。どんぶりご飯をお店で購入して、例えばマグロ200円分、ホタテ100円分、ウニを300円分……というように、市場内の各店舗でお刺身の切り身やその日のおすすめを購入して、自分だけのオリジナルどんぶりを作ることができるものです。お店の人との津軽弁を交えた会話も楽しいと思いますので、ぜひ一度体験していただきたいです。

また、ねぶた祭は夜に行われますので、祭りの前には昨年実際に運行されたねぶたを見ることができる「ねぶたの家ワ・ラッセ」で一足先にねぶたの雰囲気を体感してみてください。ねぶたの制作技術や作風、題材の移り変わり、更には、青森から世界へと発信していくねぶたの様子などを知ることもできますので、祭りを見る前にねぶたの予備知識を予習できます。さらに、ワ・ラッセから歩いて5〜6分の青い海公園には、ねぶたの制作・保管場所となっている仮設のテント小屋が立ち並ぶ「ねぶたラッセランド」があります。その日実際に運行するねぶたを見ることができ、無料のボランティアガイドに申し込むと小屋を回りながら案内してもらえます。すぐそばには青森県のお土産を購入できる青森県観光物産館アスパムもありますので足を運んでみてください。

ワ・ラッセ外観

ねぶたガイド

ーー最後に、お客様へお伝えしたいことがあればお知らせください。

青森ねぶた祭は見る人を熱狂と興奮の渦に巻き込み、「また見たい」「参加してみたい」と思わせるパワフルなお祭りです。厳しい冬の寒さに耐えてようやく訪れた短い青森の熱い夏に、青森市民の想いと情熱がほとばしります。ぜひ一度と言わず何度でもご覧いただければ幸いです。皆さまのお越しをお待ちしております。



インタビュー・文=ふくだゆみ

イベント情報
青森ねぶた祭

 日時:2017年8月2日〜8月7日
 会場:青森市中心部

 
 

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