20周年を迎えたガガガ前田x神戸音楽シーンの最重要人物であるパインフィールズ松原氏が今だから語ること

インタビュー
音楽
2017.7.7
 

――ガガガの活動も順風満帆ではなかったけど、「COMIN'KOBE」でトリを務めることが支えになったと。逆に「COMIN'KOBE」もガガガに支えられたところはあったんじゃないですか?

松原:もちろん立ち上げたばかりの頃の恩は絶対忘れないですし、辞めちゃうとガガガに限らず、たくさんのバンドに不義理をしてしまうことになるので。年を重ねるごとに恩が重なっていって。筋通しとしてもやらなきゃいけない、やり続ける、やり通すための理由が自分の中に出来てくるんです。確かに凄いアーティストが出てくれるようになって、今年なんてHi-STANDARDの後に、トリでガガガが出てるわけですから。前ちゃんにとってはプレッシャーやったと思うんですけど、今年の「COMIN'KOBE」全体を締めるトリとして、しっかりやり遂げてくれて。「さすがやな!」と思って見てましたね。

――松原さんは20周年を迎えたガガガSPをずっと見続けてきて、思うことはありますか?

松原:凄いなと思うのは、根本が全く変わらないってこと。20歳そこそこで書いた歌詞を今も歌えるというのは、すごいことだと思います。僕も「COMIN'KOBE」をやり続けてきて、根本は変わらないつもりでいるんですけど。表現とかは多少、変わってきてるんです。今ははっきりと自分の気持ちを言葉で表現できるようになったので、ちゃんと言うようにしてるんですけど。それが最初から出来ていた、ガガガSPは凄いなと思いますね。

前田:不器用なんで自分自身の中に選択肢もなくて、変わりたくても変われなかったって部分はあると思いますけど。最近、前向きに成長していくことも大事やけど、立ち止まって自分を見るってこともすごく大事やなと思うんです。身の丈を知るというかね。ロックって行き過ぎると宗教の教祖になれるようなところもあるし、それでお客さんを増やしていくことも出来るんやろうけど。僕はそこまで行けない性格なんですよね。神戸のカリスマみたいに思われた時期もあったけど、それはあまり居心地の良いものじゃなくて。そこで「俺はカリスマやから」って言える性格やったら良かったんですけど、それが出来なくて歪みが出て、パニック障害も発症して。売れてる時も卑屈なこと言ったり、しょうもない下ネタ言うてましたけど、それくらいがちょうど良かったんかな? と思いますね。

――そこで身の丈に合わないことをし続けていたら、20周年続かなかったかも知れないですしね。そんなガガガSPは今年20周年を迎えて、「長田大行進曲」を開催します。

前田:「長田大行進曲」は20周年ってところでみなさんの力をお借りして、1回限りで開催しようと思っているんですけど。それでも考えなきゃいけないことがたくさんある中で、松ちゃんが人ひとり以上のエネルギーを遣って「COMIN'KOBE」を毎年開催してることを考えると、明らかにこの人はオーバーワークだと思いますね。「COMIN'KOBE」が寿命を縮めたと思います(笑)。でも、生きる濃度みたいなものもありますから。命をフルに遣って、神戸にひとつ何かを残したのは本当に凄いことやと思いますね。

松原:僕はライブに人生変えられたから「COMIN'KOBE」も続けていくし、今も次の面白いことの為に動いてるし。「長田大行進曲」もまだ発注来てないけど、ボランティアで手伝うつもりでおるからね。

前田:働かんでええから、家でゆっくりしといてくれや(笑)。

松原:いや、サブステージを仕切るとかは出来んかも知れないけど、楽屋に麻雀ブースを作って、雀荘のおっちゃんをやるとかさ?

前田:最近、全自動雀卓を買ったことをやたらと自慢するんですよ! で、松ちゃんって、ウチのヤマモっちゃんの高校時代の部活の部長なんですけど。麻雀の時だけは後輩扱いして、すごいイバるらしくて。「麻雀の時は裏松原が出る」とか、「アイツ部長ヅラするんですよ!」って言うんですけど、この人は今、部長より偉い役職に付いてますからね!(笑)

松原:わはは。みんなに勘違いされてるけど、僕はもともとええヤツではないですからね。「COMIN'KOBE」がチャリティーイベントやから、勝手にええヤツやと思われてるけど。自分のことええヤツなんて言ったこと、一度もないからね!

前田:確かにええヤツがあんな巨大なイベント出来ないよね(笑)。あと、主催者かも知れへんけど、裏方なのに前に出て来すぎやから! その時点でええヤツではないですよ。

松原:しかも必ず打率の上がるところで、ポーンと出るから(笑)。絶対、そこには狙いや戦略があるよね? そんなヤツがええヤツな訳がない!

――わははは! お二人の存在が神戸の若い子たちにすごい刺激を与えてることがよく分かったのですが。最後にここからの神戸のバンドに期待することはありますか?

前田:昨日、ウチのライブに来てた子が「バンドをやるために、仙台から神戸に移り住んで来ました」って言ってて。仙台でもええんちゃうか?って思ったんやけど、それだけ神戸に魅力を感じてくれてるっていうことで、それはすごい面白いなと思って。

松原:面白いね。いま、地方創生は神戸にとっても凄く大事で「文化活動としての音楽、ロックを盛り上げたら、神戸に住みたいと思ってくれるんじゃないか?」と思ってくれてるみたいだから。そんな話聞いたら、行政的はきっと喜ぶと思いますよ。

――じゃあ、行政の目に止まりやすいように太字で書いておきます(笑)。

前田:わはは。でも、現時点で神戸から面白いバンドがたくさん出てきてるのは事実なので。若い世代を育てるみたいな気持ちはないんですけど、失敗を恐れずライブを頑張って、背中を見せていけたらええなとは思いますね。「ガガガってこんなもんか」とか、「お前らの時代は終わった」くらい言うヤツがいてもええと思うし、そいつらが切磋琢磨していけばもっと面白くなると思うし。僕らもまだその渦中におれたらええなと思いますけどね。

松原:僕は神戸の音楽シーンの中で生計を立たせていただいてるので、若いバンドには言いたいこともたくさんありますけど。まずは麻雀を覚えろ! ってことですね。

前田:結局それか! 麻雀の時は部長ヅラされますけどね(笑)。

 

企画・編集=秤谷建一郎  取材・文=フジジュン  写真=森 好弘

 

イベント情報

ガガガSP主催フェス「長田大行進曲2017」
日程:2017年9月30日(土)・10月01日(日)の2日間
会場:神戸空港島内 多目的広場 野外特設ステージ
時間:開場 10:00 / 開演 11:00 / 終演 21:00予定
料金:1日券¥6,000(税別)2日通し券¥11,000(税別)
※整理番号無し / 小学生以上有料 / 未就学児童は保護者同伴の場合無料
主催・制作:LD&K / 俺様レコード / サウンドクリエーター
協 力:FM802  / MBS / Kiss FM KOBE
問い合わせ:サウンドクリエーター / TEL 06-6357-4400 (平日12:00~18:00)
備考:雨天中止 / 荒天中止 *アーティストは都合により変更になる場合がございます。
その際代金の払い戻しは行いませんので、予めご了承下さい。

【出演アーティスト】※50音順
9/30(土)出演
175R /  SA / 感覚ピエロ / ガガガSP / STANCE PUNKS / KNOCK OUT MONKEY / 爆弾ジョニー / マキシマム ザ ホルモン / ヤバイTシャツ屋さん / 夜の本気ダンス / and more…

10/1(日)出演
eastern youth / THEイナズマ戦隊 / ガガガSP / 銀杏BOYZ / ジャパハリネット / ドラマチックアラスカ / My Hair is Bad / and more...


<その他ライブ>
7/09(日)「京都大作戦2017」京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
8/06(日)「PUNK THIS TOWN 2017」大阪・池田市猪名川運動公演特設野外ステージ
8/20(日)「太陽と虎8周年記念興行 松原祭 本気の1発」神戸太陽と虎 w/NAMBA69
9/03(日)「OTODAMA’17〜音泉魂〜」大阪・泉大津フェニックス
9/16(土)〜18(月)「TOKYO CALLING 2017」下北沢・新宿・渋谷複数会場


 

 

リリース情報

ガガガSP「オールタイムベスト ~勘違いで20年!~」

2017/5/03(水)発売 / ¥3,000(tax out)
全30曲入り・2枚組フルアルバム
LDCD-50136〜7
俺様レコード/ Pacific Records

<パンク盤>
01.青春時代
02.サムワントゥナイト (新曲)
03.こんちきしょうめ
04.はじめて君としゃべった (再録)
05.つなひき帝国
06.ヤラレタ! (新曲)
07.ホイホイ行進曲 (新曲)
08.卒業
09.野球少年の詩
10.夢のような日々
11.忘れられない日々 (再録)
12.友よ
13.飯食って寝る
14.祭りの準備 (再録)
15.すばらしき人生

<フォーク盤>
01.東へ西へ (新曲)
02.心の唄 (再録)
03.月影 (新曲)
04.NAGATOWN
05.秋までに
06.国道二号線
07.燃やせ!!
08.晩秋 (再録)
09.雪どけ (再録)
10.美しさ (新曲)
11.高架線
12.神戸駅
13.時代はまわる
14.線香花火 (再録)
15.あの頃の僕は君にとってどう見えるかい 

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