MOROHA 不本意だったあの頃と今だから思うこと、そして原点に迫る それぞれのストーリー
MOROHA
2008年に結成され、アコースティックギターのUKと、MCのアフロからなる二人組。MOROHAのライブを初めて観た時、今までにない感覚に陥った。”一生懸命って何だろう?” “頑張るってなんだろう?” “今、本気になってる?” そんな問いを自分に投げかけながら、気づくと涙が溢れた。いつだってMOROHAのライブは現実を突きつけ、そして最後は寄り添い自分を肯定してくれる。もはや音楽というジャンルの垣根を超え、聴き手の人生に踏み込んでくる。そんな彼らに今回、MOROHAの結成時の話や、お互いの印象、来年10周年を迎える今の気持ちなど2人の核心に迫った。
UK 撮影=森好弘
ーーお2人が音楽に興味を持ったキッカケを教えてください。
UK:元々、父親がギターをやっていて、常に音楽が近くにある環境でした。僕も、個人的にピアノをやっていたので音楽に触れてたんです。で、小学3年生の時にX JAPANに出会って、その時に“音楽でやっていきたい”という夢を持ちました。兄が当時、VHSを持っていて、それを一緒に見て、彼らが“ VISUAL SHOCK”と歌ってる通りで視覚的にすごく衝撃を受けたんです。小学生だったので、すぐにバンドを組んでという訳ではなかったんですけど、自分の中で、高校生になったらギターを買うぞということは決めていて。中学を卒業した年の春休みにギターを買って、そこからずっとバンドをやってました。
アフロ:僕は小さい頃から、親とカラオケに行ったりして、槇原敬之さんとか小田和正さんを親が歌っていたのを聞いて、それを幼稚園のバスの中で歌ったりしてました。自分が自主的に“この音楽カッコ良い”と思ったのは小学校5、6年の時に聴いたDragon Ashです。実家が美容室で有線がかかってたんですけど、MDに録音してずっと聴いてました。で、高校生になった時に、TSUTAYAにレンタルに行くようになるんですけど、近くのTSUTAYAがヒップホップ、メロコア、パンク、ハードコアが全て同じ棚で、ラウドロックという棚にまとめられたんですよ。だからヒップホップを知りたいんだけど、ジャケを見て「これヒップホップっぽいな」という判断で借りたらハードコアだったり。逆もまた然りで……。今だったら、もっとネットで調べたり出来ると思うんですけど、その当時は本当に予備知識なしで、とりあえず持ってるお金でこれくらい借りれるから、俺の一番好きそうなヒップホップっぽいジャケのCDを借りたりしてました。だからいろんなCDを借りるはめになって。だけどそれが結果として自分の音楽の幅を広げてくれました。
俺もいつかラッパーとしてステージに立ちたいっていうのを、まさか実現するとは思ってないけど、漠然とは思ったりはしてました(アフロ)
ーー高校の同級生でもあるお二人ですが、最初のお互いの印象は覚えてますか?
UK:もうまさに典型的な目立ちたがり屋の印象です。今のまんまで、あの頃の延長線上に今のアフロがいますね(笑)。
アフロ:まあ、今の方が真剣ですけど、ライブの熱量で高校生の頃はふざけた感じですね。
ーーアフロさんから見てUKさんはどう見えてました?
アフロ:俺がやりたいと思ってたことを全部やってる感じだったんです。人生で初めて観たライブもUKがやってたバンドで。誘われたよね? 買った気がする。上田LOFTで、ボーカルが風邪を引いてUKが歌ってた。
UK:高校の時に組んでたバンドで、その日ボーカルが風邪をひいたか何かで来なくて。そもそもボーカルが入る前は、僕がギターボーカルやってたんです。だから、その形でライブしたんですけどね。
アフロ:わー! UKカッコ良いって。
アフロ 撮影=森好弘
ーーその時は、アフロさんはステージに立ちたいと思ってた訳ではなく。
アフロ:うん。ほんとは俺もそこに立ちたいんだけど、俺は何をやってるんだろう……って。あ、野球か。野球頑張ろうって思ってました。
ーーじゃあ、自分の気持ちは秘めてたんですね。
アフロ:音楽をやりたいとは心の中では思ってたけど、想像だにしてなかった部分もありますね。
UK:だって、アフロが音楽が好きだって話はしたことがなかったし。まさか音楽をやりたいって思ってるなんて知らないから。
アフロ:だからファッションから入るんですよ。中高生くらいの頃は。B-BOYファッションみたいなのを着て、次にすることは一人で鏡の前でラッパーの真似をすることなんですよ。音楽流しながら自分が歌ってる体で。きっと誰しも通ってるはずなんですよ。それを俺もやってましたね。だから、そのイメージの先には俺もいつかラッパーとしてステージに立ちたいっていうのを、まさか実現するとは思ってないけど、漠然とは思ったりはしてました。言わなかったけど、想像はしてました。