(一部に)人気シリーズ、ついに完結か!? フェス初心者・シマザキ、ある決意をする
フジロックでの企画を真剣に悩むシマザキ
突然ですが、私シマザキは、フェス初心者としての活動を終える決断を致しました。
3年間、さまざまな苦難を乗り越えてこられたのは、これまで見守ってくださった読者の方々および、しがない新入社員に少しでも懸けてくださったSPICE編集部の皆さまの支えや応援があったからだと思います。
2015年の夏、初めてのフジロックは、私にとって衝撃の連続でした。
何もない山のそこら中で音楽が鳴っていること。エアコンもない灼熱の空の下、そこにはなぜか人が溢れていること。その異様な生命力にスピリチュアルになったこと。そして、幻だと思っていた初めてのフェス友ができたこと・・・。
日焼けで火照った体と高揚感とで、その日はなかなか寝付けなかったことをよく覚えています。人生初のリストバンド焼けが少し照れくさくて、だけど強くなった気がして、嬉しかった。
SPICEのサイトオープンから間もなかった当時、そんな私のレポートは予想以上の反響をいただきました。とても感謝しています。
その後は初心者シマザキとしての活動をきっかけに任せていただく仕事も少なからず増え、本当に充実した日々でした。一生行かないであろうと思っていた場所や、一生体験しないであろうと信じてやまなかったことのすべてが、私をここまで大きくしてくれたのだと、今になって思います。
しかし2年目から、もはや初心者ではなくなってしまったシマザキが、初心者シマザキとして求められている結果を思うようにお見せすることが出来ず、悩む事も多くなりました。
かくいう今も、何一つ面白いことが思いつかず、かれこれ4時間パソコンのモニターと睨めっこしています。今や、普通に小慣れて楽しめるようになってしまった私のフェス人生に、悔いはありません。
ついては、本日をもって私シマザキはフェス初心者を卒業します。
この先も好奇心と挑戦の心を忘れず、笑顔で前進していきたいと思っています。
また何か違った形で、皆様に新たなエンタテインメントの魅力をお届けしていければ幸いです。今までたくさんの応援、本当にありがとうございました。
シマザキ
……何これ怖い。
この無駄にドラマティックな上に、どこに向けて書いているのかいまいち分からない“引退宣言”が、フジロックの準備とフジロックまでに終えなければならない数多の作成中記事に追われる僕のデスクにそっと置かれていたのが2日前のこと。
あ、「風間先生」というのは私、SPICEの音楽ジャンルを取りまとめている風間のことですね。
ていうか、ほとんど怪文書だろ、これ。そもそも初心者っていうカテゴリは、本人の意思のもと任意で卒業できるものでしたっけ。それに「普通に楽しめるようになった」とか書いてるけど、去年のフジロックからひとつもフェス参加してないだろう、ミュージカルばっかり見てるだろう、シマザキ。「新たなエンタテインメントの魅力」とか意識高い系か。そういえば昨日会社のPCで、なぜか浅田真央ちゃんの引退会見をググってたのはこのためだったのか。
……と、突っ込みどころ満載の内容に思わず2分間「無」になってしまった。くっそ、ただでさえクソ忙しいんだよ、こっちは。
ということで、とりあえず呼び出すことにした。
ここまでの内容が意味不明な方も数多くいらっしゃると思うので、まず説明をさせていただくとSPICEには、
♀/OL
2015年入社/株式会社イープラス プロモーション部所属
というスペックのイープラス(SPICEを運営する企業ですね)で働く女子が、フェス等を体当たりで体験レポするという、その名も『初心者シマザキ』シリーズという謎企画がある。
このシマザキ、根っからのインドア派かつロック系の音楽には何の興味も知識もなく、聴く音楽はといえばミュージカル系とコブクロ、趣味は観劇とディズニーという、おおよそフェス文化とは180°真逆の人生を送ってきた、若干お花畑系な女子だ。
そんな彼女がたった一人で苗場の山中に放り出されたのが2年前の夏、フジロック’15だった。そこでのシマザキの奮闘っぷりは当時、オープンしたばかりで記事数も充実していなかった頃のSPICEで人気企画の一角となり、その後もサマソニやオズフェスなどに次々に送り込まれたことで、ちょっとずつ浸透していく。
終いにはなぜかイープラスの採用ページにまでシマザキがピックアップされ、面接に来た新入社員が「初心者シリーズの記事、見ました! ああいうことをやってみたいです!」などと言い出す程度には、局地的な反響を呼んでいるのである。
ところが、昨年のフジロックでシマザキは2年目のジンクス(?)に陥り、面白い記事が書けずにヘコむことになった。
それはそうだろう。初めてなら見るものすべてが新鮮で書くネタになるだろうし、たとえ見当はずれのことを書いたとしても「まぁ初めてならしょうがないよね」と大目に見てもらえるところ、2年目となればそうはいかない。会場の動線も出演者の概要もある程度は頭に入っていないとおかしいし、隙を見て欲しいグッズを買ったりフェス飯を堪能したりもできるはず。したがって記事の視点や内容もそれなりにこなれてこなければいけない。
読む側も「フェス参戦2年目の人の体験記」として読むだろうから、そうなると俄然、面白い内容にすることが難しくなる。ごまかしがきかないのだ。そう考えると彼女の苦悩も無理はないし、まぁこれを良い経験に高い志を持って今後のフェスに参加してくれたまえよ。そう思っていた。
だがしかし、すっかり自信をなくしたシマザキは、あれ以来なにかと理由をつけてはどこのフェスにも行かず、すっかり観劇&観劇&ディスニーという元のライフスタイルに戻ってしまっているではないか。このままでは初心者シリーズが完全に尻すぼみ、竜頭蛇尾、自然消滅の危機である。今年はどうにかテコ入れしないとなぁと考えていた矢先に届いた報せが冒頭の手紙だったのだ。
……呼び出しちゃいますよね、そりゃあ。
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風間:で、なんなの、これは。
シマザキ:いやぁ、もう無理なんです。面白い記事にできないんです、わたし。去年も中途半端な感じになっちゃったじゃないですか。
風間:それは否めないけど、だからこそ今年はしっかりプランを練って参加すればいいわけで。
シマザキ:……。
風間:しかもさ、初心者を卒業するって、自発的にできるもんじゃないからね。初心者かどうかは周りが判断することだから。
シマザキ:でも、わたしも3年目だし、もっとフレッシュな人材が入ってきてるじゃないですか! そっちの方が初心者に相応しいと思うんですよ。しかも本業のプロモーションの仕事も忙しいし。
風間:でもさぁ、初心者シリーズはシマザキだからこそ成り立つんだよ。去年も同じようなことを話した気がするけど、後輩たちじゃこうやってシマザキみたく俺に食い下がったりできないでしょ? 「フジロック行ってこい!」「いいんですか? 頑張ります!」で終わりだよ。それじゃあなんにも面白くない。そもそも彼らは既にフェスとか行き慣れてるからね。この企画は、奇跡的にフェス向きじゃない上に前向きでもないシマザキだからこそ輝くんだよ。オンリーワンなんだよ、シマザキ最高、シマザキ万歳!!
シマザキ:そんなこといってもダメですよ! 本当にもうネタが無いんですから。
風間:……。
シマザキ:……。
風間:……百歩譲って俺はいいとしても、本当にそれでいいのかなぁ?
シマザキ:……え?
風間:初心者シリーズを楽しみにしている人がさ、全国におそらく150人くらいはいるんだよ、多分。その人たちの期待をさ、「自信が無い」「書けない」で踏みにじっちゃいけないと思うんだよな。「書けない」じゃない、「書く」んだよ。シリーズの続編を待っている推定150人のために。
シマザキ:数字がリアルなんだよなぁ……(苦笑)。
風間:しっかり「これで最後ですよ」ってアナウンスした上で集大成を残して、この3年間にケリをつけれたら、そのときは胸を張って後進に道を譲ればいいんじゃないのかな。
シマザキ:うーん、それは理想ですけど。
風間:よし、わかった。それじゃあ苗場で卒業式しよう。
シマザキ:え、どういうことですか!?
風間:全ての始まりは苗場だっただろ。ということは、締めくくるのも苗場であるべきだと俺は思う。 新卒で入って3年目、苗場に行くのも3回目、それでメデタく初心者卒業して一人前に、ってストーリーとしては完璧だし。
シマザキ:確かに。でも本当に舞台関係の業務が忙しくて、土曜日は東京にいなきゃいけないんですよ!
風間:じゃあ、3日目。日曜日。朝から来よう。
シマザキ:本気で言ってるんですか? 行ったとして何をすればいいんですか?
風間:そこは自分なりにこの3年間の総まとめとして何をしたらスッキリ終われるか、考えて決めていいよ。初のモッシュに挑戦でもいいし、キャンプで泊まってみたでもいいし、大作の体験記に仕上げるでもいいし。任す。
シマザキ:いやいや、めっちゃハードル高いやつじゃないですか!
風間:何かを終えて次のステップに進もうとするときは、いつだって険しい道なのだよ。……あ、そうそう。俺、今年は撮影とかたくさんあるからガチで引率とかできないけど、もう初心者じゃないから大丈夫だよね。じゃ、苗場に着いたら連絡して。
シマザキ:え、本気? あ、ちょっと! 待ってください、編集長〜!!
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こうして今年もフジロックに赴くことになったシマザキ。
内容は本気で未定だが、文中にもある通り、今回のフジロックが『初心者シリーズ・ファイナル』となりそうだ……まぁ、ジャック・スパロウばりになんだかんだ戻ってくる気もしなくもないけれど、ひとまずは本当にシマザキの初心者卒業企画を苗場で行うことだけは間違いなさそう。
どうか、推定150名のシマザキファンと、この記事でちょっとでも気になった方は、シマザキ渾身の引退記事に期待していただきたい。
文=風間大洋/シマザキ
日時:2017年7月28日(金)、29日(土)、30日(日)
会場:新潟県 湯沢町 苗場スキー場
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