スーパーバイクとスーパーフォーミュラのレースが同時に観られる! 開設20周年特別企画『ツインリンクもてぎ2&4レース』開催
2輪と4輪の最高峰のレースが観られる最高の2日間、それが「ツインリンクもてぎ2&4レース」だ
第1回日本グランプリが開催されたのは東京オリンピックの前年、1963年だった。ホンダの創業者である本田宗一郎氏が、モータースポーツの未来のためにと立ち上がり、開設したのが同社の工場の隣にあった土地で、それがあの鈴鹿サーキットとなる。そのホンダが同社2番目のサーキットとして東日本に作ったのがツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)だ。話題を持って開場したそのツインリンクもてぎも、早いもので1997年の開場から今年で20年になる。そのツインリンクもてぎが、アニバーサリーイヤーとなる今年、わくわくするようなイベント『ツインリンクもてぎ2&4レース』をこの8月19日(土)、20日(日)に開催する。
同サーキットが開場する1年前(1996年)、CARTのアンドリュー・クレイグ会長が視察に訪れた。もちろん、この日本でインディカーレースをするためだった。そういう経緯もあり、日本で初めてのインディカーレース「インディジャパン300」が開催されたが、同サーキットはこのインディに向いている超高速のオーバルコースとともに、ヨーロッパスタイルのテクニカルなロードコースという特色の違う2つのコースをもつ、世界でも稀有な構造となっている。名前の由来もそこからきているのだ。
このツインリンクもてぎの20周年記念となる同イベントは、一粒で2度おいしい、いや3度も4度もおいしい2日間になるだろう。2輪の国内最高峰レース『JSB1000』と4輪のトップカテゴリー『スーパーフォーミュラ』のシーズンレースを開催。さらに、サーキットクイーンステージやトークショー、そして2000年のJGTCチャンピオンマシンのCastrol無限NSXや16年MotoGP(TM) RC213Vなどが往年のチャンピオンカー同士で競うタイムトラベルレース(20日のみ)など、魅力的なアトラクション、催しがてんこ盛りだからだ。
レースに目を移そう。2輪のJSB1000 は、国内最大のモーターサイクルレースとして1967年からスタート。4ストロークの600~1200㏄エンジンを搭載した公道用一般市販バイクで競われる(今の排気量のカテゴリーになったのは2003年から)。レギュレーション内ではあるもののギリギリまでモデファイを加えられたモンスターマシンが凌ぎを削る迫力のある2輪レースである。
現在ランキングトップを走るのは津田拓也(33)。チームスズキ・エクスター所属で5戦を終了した時点で95ポイントを獲得している。1点差で追うのは渡辺一馬(27、カワサキTeam GREEN)。地元栃木県出身で2013年にはST600クラスでチャンピオンとなり、昨年の世界耐久ロードレースEWCランキングでも7位となる将来性のあるライダーだ。3位で追走するのはホンダMuSASHi RT HARC-PRO に所属する高橋巧(27)だ。第2戦の鈴鹿、第3戦のSUGOで2連勝。前戦(第5戦)のオートポリスでもトップを快走していたが、マシントラブルのため8ラップ目でリタイア(全15ラップ)。マシンさえ完調なら3連勝は間違いなかっただろう。3位に甘んじている形だが、前戦(リタイアの)ノーポイントにもかかわらず、トップとわずか3ポイント差(92ポイント)で十分射程圏内。前戦の悔しさをこのもてぎで晴らしたいところだ。
4輪のスーパーフォーミュラも混とんとしている。36歳の遅咲きの苦労人、石浦宏明(LEXUS TEAM ZENT CERUMO)が20.5ポイントでトップ。前戦(第3戦)の富士スピードウェイで勝利し、アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)、中嶋一貴(同)を抜き去り、今季初のリーディングドライバーとなった。資金難の時に地道にスポンサー周りするその精神力で、その差を一気に広げたいはず。気持ちも入れ直して臨むレースになるだろう。そのロッテラーは現在2位。03年からフォーミュラ・ニッポンにフル参戦し、11年にチャンピオンになっているベテランドライバーだ。昨年の総合ランキングが2位と安定したドライビングをしているものの、昨年来から未勝利が続いているため、そろそろ美酒を味わいところだ。石浦とはわずか2.5ポイント差(18ポイント)で、熟練の36歳がどんなレースを展開してくれるのか必見だ。ロッテラーと同じチームに所属する中嶋一貴は言わずと知れた元F1ドライバー。昨年のルマンの悲劇(トップ走行もラスト3分でリタイヤ)も記憶に新しいが、この無念はスーパーフォーミュラで果たしたい。相棒ロッテラーとともに今年は良い位置につけているだけに、チーム内対決にも注目だ。
JSB1000もスーパーフォーミュラも予選はノックアウト方式のため、ミスが許されないシリアスなレースとなること必至。スピード、正確さ、精神力、駆け引きなど、そのレースに多くの要素があり、展開は予断を許さない。そのため、ホンモノのレースマニアは予選が大好きだ。その予選上位者の決勝はポイントレースも熾烈なため、手に汗握るバトルが見られそう。
アトラクションでレッドブル・エアレース・チャンピオンシップで有名な室屋義秀選手の記念デモ飛行も予定されていて、度肝を抜くアクロバット飛行も観られるという。夏のもてぎの2日間は、2輪ファンも4輪ファンもそして初めて観に行く人にも興奮を約束してくれるレースになるだろう。