“ジャパニーズフェチ”の最先端に触れる ラバーやマスク、首輪などが集った『フェチフェス11』をレポート
2017年9月23日、『フェチフェス11』が東京・日本橋の綿商会館にて開催された。フェチフェスは、“ジャパニーズフェチ”をテーマにした即売会・パフォーマンスイベントだ。本レポートでは、ファッションの側面から本イベントの魅力に迫りたい。
素材やモチーフへのこだわり
魔界ノ風鷹
巡
フェチフェス会場には、キツネの顔のアクセサリーや縄で縛られた手鏡、女性の脚を美しく見せるガーターなど、素材やモチーフにこだわったファッションアイテムが並ぶ。
candynoir
Biblio-biblia
ゴシックやロリィタを取り入れたブランド「candynoir」のハーネスガーターは、デザインに拘りつつも、脚への負担が少なくなるように作られた逸品。一方、「Biblio-biblia」のガーターはボディピアスをイメージしたもので、撮影やイベントでの衣装として使われることが多いという。
フェチファッションの最前線
口枷屋モイラ
銀龍堂
人首輪製作販売CrimsonCrow
フェチフェスでは、フェチファッションの最前線に触れることができる。サブカル界のファッションリーダー、口枷屋モイラは、セーラースク水やチャイナスク水などを展開し、サブカル女子たちから圧倒的な支持を得ている。一方、ファッションとしての首輪も大人気。カラフルでお洒落な首輪を制作する銀龍堂や、本革を使った本格志向の首輪を制作する「CrimsonCrow」などが出展している。
大美屋工房(望月みうな(左)としげ(右))
大美屋工房は、発泡ポリエチレンという素材とリーズナブルな価格にこだわってマスクを制作する。造形師のしげは「マスクは特殊なものではありません。だから、世の中にどんどん広まってほしいと思います」と語る。“かっこいい”や“かわいい”を追求するしげの情熱がマスクファンを着実に増やしている。
LIAIZON(左から3番目がよっしー)
D/3
「最近は、普通の女の子がラバーを着るようになりました」と話すのは、ラバー通販サイト「LIAIZON」のよっしー。全国でイベントを開催しながら、女性用のカジュアル小物の制作にも力を入れるLIAIZONが、ラバーファンの裾野を広げている。こうしたLIAIZONの活動は、他のアーティストにも影響を与える。サイバーブランド「D/3」は、素材としてのラバー(ゴム)を活かした新作を発表。サイバーとラバーのコラボが誕生したのだ。
非日常への憧れとしてのフェチ
TOKYO ZENTAI CLUB
フェチは、非日常への入り口である。普段の自分とは異なる自分に憧れて、異性になり切ったり、全身タイツに身を包んだり、身体を改造したりする。そうした変身願望を満たすためのファッションアイテムも充実していた。
かわうそドットコム
かわうそドットコムは、「大人が着る女児服」をテーマに、幼稚園児が着用するスモックや上履きのデザインを借りた衣装を制作している。子ども時代への憧憬は非日常へとつながり、それが“かわいい”を生み出すのだ。
WALPURGIS
「WALPURGIS」の蹄サンダルは、サーカスの世界観から飛び出したファッションアイテムだ。蹄サンダルには、角をもって生まれた双子が自らの特異体質を美しく見せるためにショーで履く、という設定がある。長時間履くのには向いていないデザインだが、その不自由さもまた非日常だ。
フェチフェスを盛り上げる女性たち
腸皺ミタ(右)
二玖
抹茶ぽよる
フェチフェスに集う女性たちは、独自のファッションでフェチを演出し、会場を華やかに彩る。水着姿の腸皺ミタは、ホラーテイストなモチーフをポップに描くイラストレーターだ。白塗りにセーラー服というアングラ和装の二玖は、D/3とのコラボでライブペイントを見せてくれた。“お菓子の国のナース”になり切る抹茶ぽよるは、スチームパンクをテーマにしたアクセサリーを販売していた。
てんぐちん(左)と絹彦(右)
女妖怪のてんぐちんは、和風の衣装に対するこだわりから、法被をまとっていた。彼女の相方を務める絹彦は、体は女性でありつつも心は男性というXジェンダーである。学ランを着ているのは、「思春期真っ只中の高校生男子になりたい」という思いがあるからだという。
新たな“フェチ”が生まれるフェチフェス
フェチフェス11に参戦した漫画家(左から、あきは@、伊佐美ノゾミ、眠井ねる、桜湯ハル)
Mishima Tetsuya
フェチフェスは、アートやサブカルなどのさまざまなジャンルが会場内で出会い、互いに刺激を受け、化学反応を起こす場である。ここから新たな“フェチ”が生まれ、ファッションの世界にも新たな風を吹き込むのだ。次回『フェチフェス12』は2018年1月28日に開催される。独創的なファッションと出会える“フェチの祭典”に足を運んでみてはいかがだろうか。