ドラえもんを通じて現代アートの“いま”を知る 『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』展示作品が公開に
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近藤智美『ときどきりくつにあわないことするのが人間なのよ』 ©Satomi Kondo ©Fujiko-Pro
『THE ドラえもん展 TOKYO 2017』が、2017年11月1日(水)から2018年1月8日(月・祝)まで、六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーにて開催される。
本展は、日本の現代美術を牽引するアーティスト28組が、ドラえもんと現代アートの競演を実現させる展覧会だ。ドラえもんを通じて現代アートの“いま”を切り取る展覧会ともいえる。本展の開催に先だち、展示予定のアーティスト5組の完成作品が公開された。
グッズも集めていたほどドラえもんが大好きという近藤智美は今回、『映画ドラえもん のび太と鉄人兵団』(1986 年公開)に登場する鏡面世界を表現した作品を制作。作中でのしずかちゃんの「ときどきりくつにあわないことするのが人間なのよ」という言葉が作品のハイライトになった、“人間の矛盾”を掘り下げた作品となっている。作品上部は2045 年、下部は映画公開の原作のマンガがスタートした1985 年をテーマにしている。
近藤智美『ときどきりくつにあわないことするのが人間なのよ』 ©Satomi Kondo ©Fujiko-Pro
古典的な油彩の技法により、独自の絵画世界を描き出す篠原愛。今回は、『映画ドラえもん のび太の魔界大冒険』(1984年公開)より、人魚たちが歌でドラえもんたちをおびき寄せ、危うくツノクジラに食べられそうになったシーンをモチーフに制作されている。原作のツノクジラはドラえもんたちを惑わせようとしているが、本作品ではツノクジラや人魚の造形を少し変え、敵対するイメージを和らげている。皮膚や鱗の表現、人魚の質感、ドラえもんとのび太の浮遊感など、原作との違いやリアルさを感じられる。
篠原愛『To the Bright ~のび太の魔界大冒険~』 ©Ai Shinohara ©Fujiko-Pro
山口英紀と伊藤航は共作で『映画ドラえもん のび太と雲の王国』(1992 年公開)に登場するひみつ道具をモチーフに作品を制作。伊藤が制作したペーパークラフトのひみつ道具を、山口が水墨画で細密模写し、説明文を付けている。
伊藤航『ドラえもん ひみつ道具図典 ~タケコプター~』 ©Hidenori Yamaguchi ©Wataru Ito ©Fujiko-Pro
山口英紀『ドラえもん ひみつ道具図典 ~タケコプター~』 ©Hidenori Yamaguchi ©Wataru Ito ©Fujiko-Pro
山本竜基は、タイムマシンが故障する設定がある『映画ドラえもん のび太の恐竜』(1980 年公開)をベースに制作。故障したタイムマシンが、山本自身の自画像が増殖した異次元空間に迷い込むという設定で、浮遊するドラえもんたちやエフェクト効果により、迫力のある作品に仕上がっている。
山本竜基『山本空間に突入するドラえもんたち』 ©YAMAMOTO Ryuki ©Fujiko-Pro Courtesy of Mizuma Art Gallery
「漆」を用いて、乾漆技法を主体に作品を制作する渡邊希。今回の作品は、『時間軸を超える』というテーマのもと、古代から未来に生き続ける、時代を超越した「漆」の力で未来へと繋いでいく願いを込めた、ドラえもんオマージュ制作だ。異次元の不思議に揺らめく奇妙な雰囲気は、どこか漆のイメージと似ていると思ったことから、“漆黒”の揺らぎを感じる異次元空間を表現した作品。造形の表面には、誰もが思い描くドラえもんの名場面が描かれている。
渡邊希『タイムドラベル』 ©Nozomi Watanabe ©Fujiko-Pro
※記事初回掲出時に、作品画像に誤りがありました。訂正しお詫び申し上げます。
タイトル : THE ドラえもん展 TOKYO 2017 (ザ ドラエモンテン トウキョウ ニイマルイチナナ)
開催期間 : 2017 年11 月1 日(水)~2018 年1 月8 日(月・祝) 会期中無休
会 場 : 六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリー (東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52 階)
公式サイト : http://thedoraemontentokyo2017.jp
公式Twitter : @thedoraemonten
お問い合わせ : ハローダイヤル03-5777-8600 (8:00~22:00)
主 催 : テレビ朝日、朝日新聞社、ADK、小学館、シンエイ動画、小学館集英社プロダクション、
乃村工藝社、森アーツセンター
特 別 協 力 : 藤子プロ・創立30周年記念事業