「お前らはもうひとりじゃない」TOTALFAT史上最長のワンマンツアー最終公演
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
FAST AND TIGHT tour 2017 ファイナル 2017.10.29 新木場STUDIO COAST
10月29日、アルバム『FAT』を携えたTOTALFATの全国ツアー『FAST AND TIGHT tour 2017』のファイナル公演が東京・新木場STUDIO COASTで開催された。今年6月よりスタート、全国31ヶ所(追加公演の沖縄・台湾を除く)をまわった本ツアーは、TOTALFAT史上最長のワンマンツアーとなった。
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
SEが流れると、満場のオーディエンスが早速手拍子やシンガロングで応戦。メンバー4人が姿を見せると、まず、Jose(Vo/Gt)が「ド派手な幕開けにしよう!」とサークルを作るようオーディエンスへ促した。そうして始まった1曲目は、オープナーにピッタリな「R.E.P」。アクセル全開のバンドサウンドがハイスピードで轟くなか、「スクランブル」では、<だけどこの場所にお前らがいるから帰ってきたぞー!>とShun(Vo/Ba)の粋な歌詞替えに歓声が上がった。さらに「Delight!! feat. J-REXXX」では、レコーディングにも参加したジャパニーズ・レゲエ・アーティスト・J-REXXXがゲストとして登場。そしてこのJ-REXXX、唄い始めるや否や「全然足らねえぞ、お前ら!」と仕切り直してみせ、ただでさえテンションの高いフロアをさらに煽っていくような、本当に容赦のない人だったのだ。――といった調子で、ここまでの3曲は『FAT』冒頭と同様の流れ。怒涛の展開後、「楽しい人、手ぇ上げて!」とJoseが問いかければ、フロアが無数の手のひらとオーディエンスの笑顔で埋め尽くされたことは言うまでもないだろう。この日は台風が接近していたこともあり、会場の外では天候が荒れていたが、Shun、フロアを見渡し「外の台風より、この中で起こってる台風の方が100倍ヤベーだろ!」と興奮気味に一言。オーディエンスが大いに唄い、踊り、止まることなくはしゃぎ続けるなか、「Good Fight & Promise You」で最初のブロックを終えたのだった。
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
軽いMCを挟み、「むしろ今日だからこそみんなで唄う意味があるんじゃないかと思う」(Shun)と「晴天」から演奏再開。目一杯の明転がステージ上のメンバーのみならず、<Leave your umbrella>とサビのフレーズを合唱するオーディエンスのことをも照らすなか、フロア上空の巨大ミラーボールもその光を反射しまるで太陽のように輝いていた。続く「Wanna Be」ではBunta(Dr/Cho)によるドラムソロも。テンポを保ったまま多種のビートを丁寧かつ滑らかに行き来するソロプレイでは、パワフルなバンドサウンドをグッと引き締めながら時には冷静に進路を示す、彼の持ち味が存分に発揮されていた。さらにその後は、「Highway Part2」イントロの高速プレイでもオーディエンスを魅力していたKuboty(Gt)が、真紅の照明に染まりながらソロを披露。泣きのメロディラインでバンド&オーディエンスを導き、「X-stream」へなだれ込む一幕もあった。
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
「目には見えなくても確かにここに存在しているものってあるでしょ? 時間とか空気とか音楽とか、そうやって拍手してくれるみんなの心にある、熱い気持ちとか」。Joseのそんな言葉から始まった中盤戦は、『FAT』でも貫かれていた“言葉をまっすぐに伝える”というテーマがより明確な形になって体現されていく。Joseが綴った飾らない言葉にシンガロングが華を添えた「Eyes」ではまさにその歌詞通りの光景が生まれ、そのまま突入した「Revenge of Underdogs」では、Joseがオーディエンスに支えられながら彼らの頭上で(最終的にはフロアに下りてもみくちゃになりながら)熱き思いを唄い上げていく。ヒップホップ・ミュージシャン・LIBROがゲストとして登場した「CALLING YOU feat.LIBRO」のあと、歌詞になぞらえ「点と点を線で繋げ、円にすることができるのが音楽の力」「それを身体で感じて、ツアーをまわるのが自分たちのライフスタイルになっている」と語ったのはShun。そしてここで演奏されたのが、TOTALFATの“夢の始まり”を描いた「Dear My Empire」だった。JoseとKubotyがエレキギターをアコースティック・ギターに持ち替え、Shunはヴォーカルに専念(Buntaは一時退出)というアコースティック編成を採用したのは、おそらく、この曲に込められたメッセージをよりシンプルに届けるためだろう。「もしお前らに追っかけてるものがあったら応援させてくれないか?」(Shun)という願いとともに、若き4人を駆り立てた衝動とオーディエンスの内なる情熱が一本線で繋がれた瞬間であった。
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
「季節外れって言うんじゃねえぞ! 俺が唄いてぇんだからしょうがねえんだよ!」(Jose)と「夏のトカゲ」から一気にクライマックスへ。「Good bye, Good Luck」「Show Me Your Courage」「Overdrive」とライブ定番曲が次々と投下され、Buntaのビートがオーディエンスをさらに昂らせるなか、シンガロングの裏でKubotyがめちゃくちゃ難解なフレーズを弾いていたり、Shunのスラップがバチバチといっていたり、血管がぶち切れそうな勢いでJoseがその歌声を漲らせていたり、メンバーのボルテージが上がっていることも演奏から読み取ることができる。<唄え踊れ泣き笑え/夜行性の太陽たちよ/本当の朝を手に入れるまで>と唄う「宴の合図」を経て、本編ラストに鳴らされたのは『FAT』のラストを飾る「ONE FOR THE DREAMS」。SEとして親しまれてきた一曲にアレンジを加え再構築したこの曲は、オーディエンスにとっても馴染み深く、大きなシンガロングが瞬く間に場内を満たしていく様子はまさに圧巻。銀テープ舞うなか、みんなで人差し指を高く掲げながら、“今日”のその先へ、走り出すことを誓い合ったのだった。
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
本編終盤で描いたそのマインドは、アンコールにそのまま反映されていた。ということで、アンコールでは、来年1月に10年以上付き合いのあるバンドを招いて『PUNISHER’S NIGHT 2018』を開催することを発表。さらに4人それぞれの言葉で今回のツアーについて振り返ったあとには新曲を披露するなど、バンドの次なる一手が続々と繰り出されていった。ツアーファイナルにもかかわらず、バンドの“今”だけではなく“これから”をも提示してみせた理由は、「<君はひとりじゃない>って唄い続けて、あれからもう6年経ってるんだ。お前らはもうひとりじゃない。でもまだどこかにこの言葉を必要としている人がいると俺は思っています」「そいつらに届けるために、次のメロディ、曲、言葉を探しに、スタジオ行ってきます」と語ったShunの言葉にある通りだろう。点と点を線で結び、円を縁に変えていくTOTALFATの旅はまだまだ続いていく。そんなバンドの芯を改めて打ちだしてみせた、清々しいツアーファイナルだった。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=AZUSA TAKADA
TOTALFAT 撮影=AZUSA TAKADA
1. R.E.P
2. スクランブル
3. Delight!! feat. J-REXXX
4. Room45
5. マエニマエニ
6. Summer Frequence
7. Good Fight & Promise You
8. 晴天
9. Wanna Be
10. Highway Part2
11. X-stream
12. Eyes
13. Revenge of Underdogs
14. CALLING YOU feat. LIBRO
15. Dear My Empire(アコースティック)
16. 夏のトカゲ
17. World of Glory
18. Good Bye, Good Luck
19. Show Me Your Caurage
20. Overdrive
21. 宴の合図
22. ONE FOR THE DREAMS
En
1. 新曲
2. Highway Goin'
3. DA NA NA
4. PARTY PARTY
5. Place to Try
OPEN 17:00 / START 18:00
OPEN 17:00 / START 18:00
OPEN 18:00 / START 19:00
イープラス一次プレオーダー 11/7(火)12:00~11/13(月)23:59
イープラス二次プレオーダー 11/14(火)12:00~11/20(月)23:59
http://punishersnight.com