大山真志が語る『トワイスアップ』シリーズへの想いとは 3部作の主演舞台&ライブついに完結
大山真志
大山真志の主演舞台『トワイスアップ~自分を偽るそんな夜に本音を語れる雪が降る~』が、2017年12月8日(金)より浅草六区ゆめまち劇場にて上演される。舞台『トワイスアップ』は3部作のシリーズで、今年7月の第一弾「スペースオペラは今はいらない」、9月の第二弾「沈んだ碧は息ができないそんな場所」に続き、今回の第三弾ではいよいよ最終章を迎える。前半は芝居、後半はライブイベントという二本立ての内容で、公演当日は『大山真志Special Live』も同時に開催。シリーズ完結を間近に控える中、主演の大山がこれまでの公演を振り返りつつ今の心境を語ってくれた。
――まずは第一弾の公演で感じたことを教えてください。
最初に、同じ事務所のメンバーだけで3部作をやると聞いたときは、どうなるんだろう?というワクワク感が大きかったです。自分が座長をやらせていただけることについてもありがたいと思いました。それまで同じ事務所の人たちと共演することがほとんどなかったから、ほぼ初めましてのメンバーばかりで。僕が事務所に入ったときは男の子が数人しかいなかったけど、今ではたくさんの後輩がいることも知りました。これから新しくやっていきたい!というメンバーが集まり作品を作る経験は、なかなか新鮮だったと思います。
――座長を務めることに不安もありましたか?
不安よりは、楽しみな気持ちでした。一から作るぞ!と気合いが入っていましたね。第一弾があることで次に向けての地盤ができるので、やりやすかった部分もありますし。
――やっていく中で手ごたえを見つけていく感じでしょうか?
そうですね。“この役はこう演じよう”ということがどんどん増えていったので、楽しかったです。
――大山さん演じるベックは、SFとハードボイルドが融合した壮大な世界観の中に存在します。大山さんから見てベックとは、どんな人物だと感じましたか?
ハードボイルドと聞いてまずイメージするのは、例えるならば「シティーハンター」の冴羽りょうだったり、「カウボーイビバップ」のスパイク・スピーゲルだったり、渋いキャラクターなんですけど。でもベックは3枚目で、普段おちゃらけているけども決めるところは決める、男が憧れる男像だなと感じました。僕もわりと普段おちゃらけている部分はありますが、そういうところは自分に摺り寄せつつ、ここぞというときにしっかり決めなきゃという思いで役作りをしていました。
――脚本を担当されている山本タクさんに、あて書きをしてもらった役だと聞きました。
はい。僕は普段ワーッとふざけたりもするんですけど、家ではすごく大人しいんですよ。わりと一人でいるのが好きなので。タクさんにはそこを見抜かれていて「あの子、そんなに明るい子じゃないよね?」みたいなことを周りのスタッフさんに漏らしていたらしいです(笑)。いろんな方にあて書きをしていただいたことがありますが、そういう角度から自分を見抜かれたのが初めてで、しかもそれがちゃんと役に反映されていて。“トワイスアップ”とは水とウイスキーを半々で割るというお酒の飲み方を意味するもので、人にも二面性があることから作品のタイトルになっているのですが、二面性をうまく引き出してくれた役だなと思っています。
――劇中でもお酒がキーポイントとなっていますね。また、会場の浅草六区ゆめまち劇場にもジャズバーのような雰囲気を感じました。その中でお芝居をするのは、演じる側としても感覚が違うものなのでしょうか?
舞台の使い方自体は他の作品と変わりませんが、劇場の座席というよりはカフェやバーのような感覚なので。お客さんとしても、普段観にいく舞台とはちょっと違う空気を感じていただけると思うので、楽しい劇場の使い方だなと思っていました。
――第一弾を経て、第二弾へと突入するときに心構えの変化はありましたか?
第一弾のときは、スタッフさんたちも右も左も分からない状態で。とりあえず作らなきゃ!頑張らなきゃ!という気持ちでやっていたのが、第一弾を終えたことによって物作りの方法や、この作品はこういう風に作りたいんだ、という部分が明確に見えてきました。他のメンバーも、自分の役に対する思いがどんどん膨らんでいき、この作品の奥行き感を出せたように感じます。
――奥行き感とは?
作品の世界観はSFですが、やっていることは人間同士の会話劇なので。それぞれがどういう人間なのか?ということが明らかになったと思います。
――たしかに、第二弾ではより深い心情が描かれていましたね。
70分という上演時間の中で、第一弾では作品自体の説明が必要でしたが、第二弾は事情を知ってもらったうえで始まるので。そういった意味でも、すでに奥行きを出せるところから始まっていた気がしますね。
――共演者との関係も変わりましたか?
そうですね、心強くなりました。第一弾からのメンバーは自分がやるべきことを分かっているし、第二弾より加入したメンバーも頑張ってくれていましたし。台詞合わせのために早く来るなど皆が自主的に動いていて楽しかったです。
大山真志
――そして、いよいよ最終章である第三弾を迎えます。
ここまでだいぶ風呂敷を広げたので、どうやって畳むんだろう?と気になるところですが……(笑) 実は、ベックが本当はどういう人間であるのかが完全に明かされていません。普段おちゃらけている理由や女ったらしの理由、どういう場面で真剣になって男気を出すのか。また、他の登場人物にも明かされていない秘密があります。最終的には、そうした色々なことを背負っていくのかなと思います。
――構成・演出を手掛ける八木橋修さんや山本タクさんからは、何かお話がありましたか?
前作の打ち上げの場で、ベックが孤立してしまう状況を作るのも楽しいかな?とお話されているのは聞きました。そのときに(高田あゆみ演じる)ジプシーという役が、人魚伝説から膨らませたものであることも知ったんですよ。今はまだベックがどうなっていくのか分からないので……僕自身も楽しみです。
――第一弾と第二弾を挟んだことで、元々考えられていた結末とは変わっていく可能性があるんですね。
そうですね。全く変わっていると思います。
――共演者の方とも、今後の展開についてお話をされましたか?
もちろん話しました。SNSアプリのグループトークでも「今回どうなるんだろうね?」って話し合ったり……。
――大山さん個人として、この3部作を終えたときに“こうなっていたらいいな”という願いはありますか?
半年間で3本の続編をやらせていただくことはなかなか経験できません。今一緒に出ている後輩たちも、今度は自分たちが先輩になっていく過程で、こうした作品に取り組める機会が続いたらいいなと思います。今の若手俳優は、芝居も歌もダンスもできる子が多いじゃないですか。そういったオールマイティーなメンバーがどんどん増えていったら、事務所も盛り上がっていくんじゃないかな?という気がしています。
――歌というワードも出ましたが、『トワイスアップ』ではお芝居のあとにライブもあります。とてもエンターテイメントな作品ですよね。
最初に3部作のお話をいただいたときに、お芝居とショーをやってほしいというリクエストがありまして。僕は元々エンターテイメントが大好きでこの世界に入って、しかも生バンドさんの音で歌わせていただくのが今回初めてだったので、すごく楽しませていただきました。セットリストは基本的に全部自分で決めています。それぞれ夏・秋・冬をテーマにした舞台ということで、季節にちなんだ曲を歌おうと思っていたんですね。でも第一弾の夏の曲はたくさんあるものの秋が難しくて……。それで第二弾は、普段の自分とは違う部分を見せられるような選曲をしました。
――前回の第二弾では、幅広い世代からの選曲でした。
僕は1980年代~1990年代の歌が好きなので、いつも選曲に困っているんですけど(笑)。でも洋楽も聞くので、そういうところからも引っ張ってきたり、あとはミュージカル作品の曲を歌ったり。今回の第三弾では、日替わりメンバーとのデュエットも計画しています。
――洋楽と言えば、大山さんはマイケル・ジャクソンがお好きなんですね。
そうなんです。マイケル・ジャクソンのようになりたくて、この業界に入りました。気が付いたらミュージカルに出演してミュージカルにハマっていて……そうしてここまで成長しました(笑)。
――ショー的な要素としては、この作品にも通ずる部分があると思います。
そうですね。ミュージカルに出演させていただくことはあっても、まさかバンドを引き連れて歌わせていただくことはないだろうなと思っていたので、こうして実現できてすごく嬉しいです!
――本作では一部のお芝居から二部のライブへ、気持ちの切り替えが大変そうだなと感じました。
それはもう切り替えるしかないです(笑)。さっきまで芝居をやっていたところに大山真志として出るという、そのスイッチの切り替え方が最初は分からなかったんですけど。でもお客さんの反応を見ていたらわりと違和感なく見ていただけているのかなと安心して、そこからは気にしなくなりましたね。とりあえず芝居が終わったら全開で歌っちまえ!という勢いでやっています。
――ファンの方々の反応はいかがでしたか?
自分のイベントでは歌わせていただくことがありましたが、あくまでもカラオケ音源だったので、今回のように生の音とともに聞けることを喜んでくださっていました。自分が出演した作品の曲も歌わせていただいたので、反響は大きかったと思います。
――大山さん自身の歴史が詰まったライブでもあるんですね。それでは最後に、最終章へ向けての意気込みをお願いします。
やっと最終章ということで、長いようであっという間だったなと感じます。この作品はSFでありながらも人間関係を大事にしているので、登場人物に共感できる部分もあると思います。そこを楽しんでいただきつつ、ぜひライブでも盛り上がっていただけたらなと。クリスマス前の公演、皆さんと一緒に楽しみたいと思っていますのでぜひ劇場に来ていただけたら嬉しいです!
大山真志
取材・文=堀江有希 撮影=髙村直希
■公演日程
12月8日(金)19:00
12月9日(土)13:00- / 18:00-
12月10日(日)12:00- / 17:00-
■劇場
浅草六区ゆめまち劇場
■出演者
大山真志
小川真奈、永松文太、高田あゆみ、山口賢人、西田麻衣、堀田怜央、北村まりこ、栗山絵美、赤塚篤紀、杉浦隼永、名富航平、井上拓馬、近藤礼貴
■作・演出
構成・演出:八木橋修/山本タク 脚本:山本タク
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先行販売:11月3日午後12時~11月15日24時一般販売:11月18日午後12時~
全席指定席前売りS席:5300円/A席:4800円(ワンドリンクオーダー制)