東京アンティーク散歩vol.12 下北沢にある“ポップな癒し” アンティークショップ『soundsgood(サウンズグッド)』

2017.11.17
レポート
アート

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東京近郊にある、上質なアンティークショップを巡っていく連載『東京アンティーク散歩』。今回は、下北沢にあるアンティークショップ『soundsgood(サウンズグッド)』を紹介する。


人々に愛され続ける広告キャラクター

アメリカン・キャラクターというジャンルをご存知だろうか。アメリカの広告やマンガなどのキャラクターの総称である。もっとも有名なキャラクターはミッキーマウスだ。

アメリカにはミッキーやスヌーピーなどの有名キャラクター以外にも、魅力的な企業キャラクターや製品キャラクターが数多く存在する。代表的なものは、ご存知マクドナルドのドナルドや、ケロッグのトニー・ザ・タイガーなどだ。日本の不二家のペコちゃんポコちゃんと同じようなものだが、とにかく種類が多い。

そうしたキャラクターが生み出されたのは、19世紀末から20世紀の初頭である。20世紀の消費の拡大とともに広告が生み出し、その姿形や表情は時代に沿って洗練されていった。消費者もまた自分好みの製品やひいきの企業を象徴するキャラクターに親しんできた。

筆者の一番古い広告キャラクターの記憶は、カステラのCMに出てきた白い仔熊たちだ。まだテレビが普及したての時代、「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂」というコーラスとともに操り人形の仔熊たちが陽気なカンカンダンスを踊っていた。

最後に白い尻尾をピンと立てるところが印象的で、仔熊のダンスは子供たちの心をわしづかみにした。人々に長きにわたって愛され続ける広告キャラクターは、広告という当初の目的を超えてひとつのアイデンティティを持つ。それは企業にとっても、消費者にとっても文化的な財産である。現代なら熊本県のくまモンがわかりやすい例だといえる。

シモキタのイイカンジ(sounds good)

下北沢駅西口には、そうしたアメリカの広告キャラクターを中心に扱うアンティークショップがある。「soundsgood」というごきげんな響きの店だ。

西口を降りて踏み切りを左に渡り道沿いを進むと、すぐにトタン使いのレトロな雰囲気の店が目に入る。入り口にはアロハシャツが飾ってある。サブカルチャーが盛んな下北沢ならではの雰囲気だ。

オーナーの内野氏は元はアパレルメーカーに勤務していた。趣味で古着屋をまわっているうちにアメリカのアンティーク雑貨に興味を持つようになったという。

「ビッグボーイというレストランのキャラクター、ボビーがすきになって、フリマにいくとボビーばかり売ってる人がいたんです。その人にアメリカに行ってみれば?ってすすめられたのがはじまり。」

内野氏はまず手始めに会社休みを利用してハワイに行ってみた。ハワイといえばマリンスポーツやゴルフ、免税店など、いわゆる観光目的で行く場所だが、そういうことには全く興味がなく雑貨やおもちゃが欲しかったというから面白い。

「ハワイのアンティーク店やフリマをまわると、自分の好きなものが日本よりずっと安く売ってるんですよ。うれしかったですよ。それでちょくちょく休みを利用して、ハワイやロスで仕入れて東京のフリマで売ることを始めました。」

自分ならではのポップな癒し

soundsgood店内には所狭しとキャラクターやバッグ、パッケージ、Tシャツなど様々な商品が並ぶ。とても賑やかな雰囲気だ。おなじみスヌーピーからチョコレートのm&m、もちろん知らないキャラクターもいる。「アメリカのキャラクターの魅力って何でしょうか?」と尋ねると「色ですね」と内野氏から即答が返ってきた。

「カラフルな色使いや可愛さがいい。それにキャラクターものは人形だけど、人形を飾るのとはちょっと違うんです。色んなキャラをまとめて並べると不思議なまとまり感が出ます。休みの日にコレクションを棚に並べて埃を払いながら入れ替えるのが楽しいんです。好きなものに囲まれる癒しですよ。」

そういいながら内野氏はコレクターのインスタグラムを見せてくれた。小さなコレクションボックスの棚にさまざまなキャラクターが配置されている。

全く違うキャラクター同士でも、カラフルで陽気な雰囲気が共通しているせいか、まとまってみえる。全体でひとつの風景、ひとつの世界を感じる。

「こういうのを集めている人もいますよ」とまた別のインスタグラムを見せてくれた。色とりどりの食品パッケージが壁にずらりと並んでいる。色彩や並べ方に注意を払っているのがわかる。まるでオリジナルのポップアートを壁に飾っているようだ。

「パッケージコレクターもいるんですよ。実は僕も集めてます。パッケージがカラフルできれいで。でも日本には紙の箱では輸入されない。それに古い限定版のパッケージは高価です。箱は基本捨ててしまって、残らないから。」

キャラクター達は永遠のベストフレンド

コレクターの世界は奥深い……と驚いていると「その人のツボになるものをコレクションする世界なんです。ひとことでコレクターといっても色んな人がいます。ただ買って満足する人、並べるの得意な人、苦手な人、こっそり持っているのが好きな人……。好みも変化しますしね。ほら猫グッズ集めている人いますよね。基本的にはそういったものと、あまり変わらないんですよ。ただ集めるものが違うだけ」と内野氏は陽気な口調で語ってくれた。

いつ会っても明るくて陽気で愉快な友達。アメリカのキャラクターにはそんな言葉が似合う。「やあ!」とハンバーガーをかかげるボビー、ペロリと舌を出したマッチョなトニー・ザ・タイガー。そういえば私が好きだった文明堂の白い仔熊も同じような感じだった。ふと童心に戻って思い出す。

子供は大人が考えているよりも、ずっと孤独を感じている。寂しい時に文明堂の仔熊のダンスを見るとぱっと晴れやかになったものだった。

soundsgoodで底抜けに明るいキャラクター達をながめていると、同じような元気が湧いてくる。永遠のベストフレンド。アメリカンキャラクターはそういう存在なのだ。

店舗情報
soundsgood
 
営業時間
13:00-20:00(平日)
12:00-20:00(日曜祝日)

Address :
#155-0031
2-23-6 Kitazawa Setagaya Tokyo
Tel./Fax : 03-5433-3758
sg.antique@gmail.com
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