イッセー尾形が“歌わない”役・看守フロッシュとして初登場 二期会公演『こうもり』の見どころとは
二期会『こうもり』
二期会が2017年11月22日から日生劇場でオペレッタの名作『こうもり』を上演する。ベルリン・コーミッシェ・オーパーとの提携公演で、演出のアンドレアス・ホモキも来日して、新たに東京バージョンが誕生する。稽古場での様子とともに見どころをご紹介したい。
二期会『こうもり』稽古の様子
今回の目玉のひとつが、俳優・イッセー尾形が演じる看守フロッシュ。唯一「歌わない」役ではあるが『こうもり』の本場ウィーンでも名俳優が演じる役どころだ。第3幕の冒頭での一人口上のシーンでは、長年一人芝居の新境地を拓いてきたイッセー尾形の真骨頂が見られること間違いなし。稽古場でも堪えきれず笑い声が上がっていた。オペラ歌手たちとのからみからも、独特のおかしみが生まれている。これがイッセー尾形自身、二期会初登場で初のオペラの舞台だ。「彼の卓越した笑いのセンスが、共演する歌手たちにも刺激を与えて、とてもよい効果をあげている」と演出のホモキ。
二期会『こうもり』稽古の様子
続いて第2幕の夜会のシーン。驚いたことに、ホモキはドイツ語歌唱だけでなく、日本語の台詞の部分に対しても細かく演技をつけていく。ときどきホモキ自身が日本語の台詞まわしを、コンナフウニ、と声に出して指導する場面も! また、フィレンツェに留学していたロザリンデ役・嘉目真木子にはイタリア語で、ウィーンで学んだアイゼンシュタイン役・又吉秀樹にはドイツ語でそれぞれ直接に指示の言葉を伝えていたことも印象深い。
二期会『こうもり』稽古の様子
二期会『こうもり』稽古の様子
二期会『こうもり』稽古の様子
二期会『こうもり』稽古の様子
そうやって、笑いの神は細部に宿ると言わんばかりの細かさと、妥協のなさで、コメディならではの台詞と間と身体の動きの絶妙なタイミングが作られていった。
第2幕はヨハン・シュトラウスの名曲ぞろい。オルロフスキーの「私はお客を招くのが好き」、アデーレの「公爵様、あなたのようなお方は」、ロザリンデの「チャールダーシュ」、ロザリンデとアイゼンシュタインの「時計の二重唱」などにも細やかな演技が施されている。ぜひ劇場でお楽しみいただきたい。
二期会『こうもり』稽古の様子
二期会『こうもり』稽古の様子
オペレッタ『こうもり』は、金満な銀行家アイゼンシュタインを、彼に騙されて町中の笑いものになってしまった悪友ファルケが、その仕返しをやってのけるというストーリー。今回の演出では、ファルケの仕掛け人ぶりがとても際立って、シュトラウスの華やかな音楽とともに物語もすんなりと入ってくる印象をうけた。第2幕では特にオルロフスキー公爵の登場シーンが斬新。今回の二期会公演『こうもり』は、初めてオペラに触れる人にはとても分かりやすく、またオペレッタ・ファンにとっても新鮮に観ることができるに違いない。
公演は11月22日(水)から26日(日)までの5日間。
日時:2017年11月22日(水)~11月26日(日)
会場:日生劇場 (東京都)
指揮:阪哲朗
演出:アンドレアス・ホモキ
★11月22日(水)はプレミエ・キャンペーンあり!