大野拓朗×染谷俊之IWGP対談インタビュー 『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』は“客席を含めて池袋”
『池袋ウエストゲートパーク』染谷俊之、大野拓朗 撮影=高村直希
石田衣良作の小説「池袋ウエストゲートパーク」を初舞台化した『池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE』が、2017年12月23日(土祝)より開幕。今回は東京、兵庫の2都市で上演されるが、そのうち東京公演の会場となるのは作中にも度々登場する東京芸術劇場。作品が誕生して20年、“IWGP”の聖地・池袋西口公園に隣接した劇場で、今なお色褪せない物語がよみがえる。初日を間近に控えた某日、主演を務める真島誠(以下マコト)役の大野拓朗と、安藤崇(以下タカシまたはキング)役の染谷俊之による対談が実現。作品への思いや稽古に打ち込む現在の心境などを語ってもらった。
(左から)染谷俊之、大野拓朗 撮影=高村直希
――年齢も1歳違いで同世代のお二人。お互いの印象は?
大野:めっちゃ可愛いです! 第一印象は“王子様”。
染谷:いやいや……!
大野:染様じゃなくて“プリ様”。プリンスだなっていうのが第一印象です。
染谷:もはや原型ないですよね(笑)。僕は、初めてお会いしたのが大野さん主演のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』だったので、それこそ本当に王子様でした。歌もうまくて素敵だな、という印象から『IWGP』の稽古に入りましたが、やっぱりかっこいいなって思いますね。年齢が1個下に思えない感じがして、だから未だに敬語が取れなくて……。
大野:やめてくださいよ~!(笑)
――他の共演者にも同年代が多いですね。現場の雰囲気はいかがですか?
大野:皆、仲いいですよね。
染谷:うん、素敵。男子校のノリで熱いし、個性豊かな人ばかりで優しいし。
大野:まぁ気性が荒い感じもしますけどね。
染谷:アハハハ! 確かに!
大野:それも、なんかIWGPの世界観と合っててちょうどいいんだろうなって。仲いいけど、それぞれが持ってる気性はそこそこ荒くて、でもぶつかる感じではなくて。オリジナリティの強い人たちが多いなと感じるので、そこに気性の荒さを感じているのかもしれません。
大野拓朗 撮影=高村直希
――具体的に、オリジナリティとは?
大野:それぞれの人柄が滲み出ているというか。ファッションもそうですし、踊り方や芝居の仕方、歌のクセもそうですし、すべてにおいて個性が強い。
染谷:そうして見た目も個性豊かだし、ミュージカル系で活躍してる方、ミュージシャンや役者をやっている方、舞台のジャンルが違う方がいたり、本当にさまざまですね。
大野:僕は全体稽古の2~3日目くらいで合流してるんですけど、もう皆が仲良くなってて。あまり上下関係がない中で、タメ語で喋ってるのもいいなって思います。
染谷:うん、確かにそう思う。
――とても有名な作品ですが、舞台版のお話をいただいたときは率直にどう思いましたか?
大野:しびれました。当時ドラマ版も観てましたし、大人になってからもDVD BOXを買いましたし、もちろん小説も大好きです。“あの輪の中に入りたい”とずっと憧れていた作品なので、まさか輪に入れるとは……しかもマコトとしてIWGPという世界観の中心に立てることが本当に感動したし、嬉しかったです。
染谷:僕が中学校のときにすごく流行っていた作品です。そこに自分が出させていただき、まさかキング役をやらせていただくとは夢にも思っていなかったので、今はプレッシャーも感じています。
染谷俊之 撮影=高村直希
――ドラマ版のお話もありましたが、当時観ていた方々にとってはドラマのイメージも強いのではないかと思います。舞台版キャストとして、お二人はどんなことを感じていますか?
染谷:今回の舞台は小説を原作としていますが、小説版とドラマ版では同じところもあれば異なるところもあって、登場するキャラクターにも違いがありました。僕は小説の良さ、ドラマの良さ、舞台の良さがそれぞれにあると思っています。今回は「SONG&DANCE」ということで、IWGPの登場人物が目の前で歌って踊って、男だけの熱い闘いを表現します。舞台セットも前後の両面から観られる対面式なので臨場感を出せますし、そこは舞台ならではの良さかなって思います。
大野:曲がめちゃくちゃいいです! JUVENILE(ジュブナイル)さんが作ってくださったキャッチーなテーマ曲で、まずお客さんのハートを掴んで。歌やダンスが付いている分、より表現の幅が広がってエンターテイメント性も大きくなって、作品が持ち合わせているカリスマ性がビシバシと伝わっていくのかなと思います。今回のミュージカル化はまったく別作品だと思いますし、プレッシャーはまったくないです。一つのエンターテイメントとして楽しんでいただけたらなと。稽古が始まって思うのは、染くんは僕の中でタカシでしかないし、矢部(昌暉)くんは(役名の尾崎)京一でしかないし。比べるものじゃないんだなというのが実感としてあります。
撮影=高村直希
撮影=高村直希
撮影=高村直希
――大野さんは、染谷さんのどういうところにタカシを感じますか?
大野:マコトと仲良かったんだろうなという人柄を感じます。人の良さや優しさ、温かさ、仲間を思う気持ちなど、G-Boysたちがキングとして慕う人間性も内面から滲み出ているし。あと、仲間たちも可愛いと思ってるんだろうなって(笑)。
染谷:え、そこ?(笑)
大野:本当に、めっちゃ好き!って全員が思う人柄なんですよ。支えたくなるというか、この人のためならって思える感じ。それが出ていてぴったりです。
――逆に染谷さんから見て、大野さんのどういうところにマコトを感じますか?
染谷:マコトの良さは、芯の強さなのかなって思うんです。芯が強いからG-Boysにも入らないし、レッドエンジェルスにも入らないし、どっちの味方にもならない。周りの人たちがどっちかに入ってしまう中、自分は入らないっていう選択肢がすごいなと思うので、それがマコトの良さなのかな。拓朗くんからも芯の強さを感じるので、そこがマコトらしいなって思います。
染谷俊之 撮影=高村直希
――小説『池袋ウエストゲートパーク』が誕生してからちょうど20年。今回の舞台は“20年前”から“未来”へと繋がっていくストーリーです。この作品が持つテーマ性やメッセージなど、台本を読んで何か感じたことはありますか?
大野:僕は、テーマ性とか考えないで観てほしいなって思うんです。エンターテイメント作品として、マコトやキング、京一たちが持っているカリスマ性を歌・ダンス・芝居でビシバシ伝わってくることに酔いしれてもらえたら、この舞台は勝ちなんだろうなって。だから、ただただ楽しんでもらいたいですね。かっこよかった、感動した、面白かった! っていう気持ちで帰ってもらえたらいいかなぁ。それが、例えば最近つらいなっていう気持ちもぶっ飛ばしてくれる瞬間だと思いますし、明日への活力になると思います。楽しんでもらうことでその人の過去を浄化して、それが未来へと繋がっていく時間になると思うので。作品から感じてほしいことはもう、面白さのみ!
染谷:僕も、作品を楽しんでいただきたいなって思います。例えば、懐かしい友達に連絡してみようかなとか、そういうことでもいいですし。自由に感じていただけたらいいな。
大野拓朗 撮影=高村直希
――今回、ステージを挟んで客席同士が対面する特殊な作りで、映像を使ったライブ感のある演出も行われると伺いました。お客様参加型で一体となって楽しめそうですね。
大野:本当にすごいと思います! 僕自身、そうした舞台を観るのも演じるのも初めての経験です。通常だったら客席に対して体の向き方も決まってしまうけど、今回の舞台ではお客さんにとって前後両方ともが視点になるから、僕たちもお客さんの目線を気にせずに芝居ができますし。ダンスもより臨場感が増すと思います。今回はガチのダンサーさんたちも参加して、開演前からもうダンスバトルが始まるんですよ。
染谷:え、そうなんですか?
大野:そう。開場したらすでにダンスバトルが始まってて、開演時間を迎えるとバトルの勝敗が決まって、そこから舞台が始まるんです。だから時間に余裕を持って早めに入っていただけたら、そんなところも楽しめます。
染谷:それは楽しめますね、すごい! 僕は今知りました(笑)。対面式の客席だから、どの角度から観てもいろんな捉え方をできるので、きっと何度観ても楽しめると思います。あと、舞台を捌けていく様子まで観れるようになっています。
大野:そうそう、捌けきらない場所があるんですよね。着替えている様子も観えるし……そのあたり、まだ全然よく分かっていないんですけど。
染谷:僕もどうなるのか想像つかないです。
大野:だから客席を含めて、ここが池袋! みたいな。
染谷:舞台中央が池袋西口公園、という感覚で観ていただけるんじゃないかな。
――まさにIWGPの聖地で繰り広げられる公演、楽しみにしています。最後に、意気込みとメッセージをお願いします。
染谷:小説とドラマにはそれぞれの良さがあって、舞台ならではの良さも絶対にあると思っています。今も熱い稽古に取り組んでいて、本当に熱い作品になると思うので、ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。皆さんぜひ観に来てください!
大野:ものすごくかっこいい曲や綺麗な曲、それぞれの作曲家さんによって味の違う、心に響く音楽がたくさんあります。それだけでも楽しめるうえに芝居とダンスも付いて、至高のエンターテイメントになると思います。ぜひ僕らが演じるキャラクターや作品のカリスマ性に酔いしれに、劇場へ遊びに来ていただけたら嬉しいです!
(左から)染谷俊之、大野拓朗 撮影=高村直希
取材・文=堀江有希 撮影=髙村直希
原作:石田衣良(『池袋ウエストゲートパーク』文春文庫刊)
脚本・作詞:柴 幸男
演出・美術:杉原邦生
振付:北尾 亘
出演:大野拓朗、矢部昌暉(DISH//)/塩田康平 海老澤健次 大音智海 尾関陸 加藤真央 小島ことり 笹岡征矢 高橋駿一 富田大樹 細川優 三井理陽 伊東佑華(Wキャスト) 徳永純子(Wキャスト) 田中佑弥/染谷俊之
期間:2017年12月23日(土祝)~2018年1月14日(日)
会場:東京芸術劇場シアターウエスト
料金:プレミアムシート8,500円(特製クリアファイル付)、一般7,500円(全席指定・税込)
※客席は舞台を挟んだ対面式になります。プレミアムシートと一般席の一部がステージ上に設置されます。
【兵庫公演】
期間:2018年1月19日(金)~21日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
料金:一般8,500円/プレミアムステージシート8,500円(全席指定・税込)
※客席は舞台を挟んだ対面式となります。
※プレミアムステージシートは、ステージ上に設置される、より臨場感を味わえるお席です。
(お席の形状は背面のないベンチシートです。)
※未就学児はご入場いただけません。