『エミール・ガレー自然の蒐集』展がポーラ美術館で開催 “森”と“海”をテーマに、モネの絵画と併せた展示も
《花瓶「海馬」》1901-1903年 北澤美術館蔵
箱根・ポーラ美術館で、2018年3月17日(土)~7月16日(月・祝)まで、『エミール・ガレー自然の蒐集』展が開催される。
《水差「ギアナの森」》1903年頃_個人蔵
ガラス工芸分野における、フランスのアール・ヌーヴォーの旗手として知られるエミール・ガレ(1846-1904)は、植物学、生物学、そして鉱物学といった博物学的な知識を駆使して作品の製作に取り組んだ。そんなガレの工房には「わが根源は、森の奥にあり」という言葉が掲げられていた。ガレにとって植物の繁茂する「森」は、インスピレーションの源であり、生命の神秘を象徴する存在として欠かせないものだったのだ。
《蜻蛉文脚付杯》1904年頃_ヤマザキマザック美術館蔵
ガレが関心を寄せたもう1つの自然として、「海」が挙げられる。ガレは、クラゲやヒトデ、タツノオトシゴなど、美術ではあまりとりあげられてこなかったモチーフに着目し、時にはグロテスクにさえ見える海の生き物をデザインとして取り入れた。
本展では、ガレの芸術を初期から晩年まで辿りながら、「森」と「海」というふたつのキーワードを通して、ガレによる自然の蒐集行為を検証する。
国内のガレ・コレクション130点のほか、モネの絵画も展示
《葡萄文栓付瓶》1900年 サントリー美術館 (C)TAKESHI FUJIMORI
日本には、世界に誇るガレ・コレクションを有する美術館が数多く存在する。全国の美術館から約70点を借用し、ポーラ美術館のコレクションから厳選した60点のガレ作品とあわせて、およそ130点を展示する。さらに、モネ《睡蓮》などの絵画と併せて展示し、分野を超えて隆盛した芸術運動や時代背景も紹介する。
『海底二万里』が書かれた時代 たくさんの好奇心を集めた「海」
《くらげ文大杯》1898-1900年 サントリー美術館蔵(菊地コレクション)(C)TAKESHI FUJIMORI
ガレは晩年、 海をテーマにした作品を多く製作した。この時代には、『海底二万里』のベストセラーにみられるように、海底探索船やダーウィンの進化論によって海洋学が大きく進展し、海への関心が高まりを見せていた。ガレもまた、神秘的な生命の源として海に深い憧憬を抱き、アール・ヌーヴォーの特徴である曲線美とも呼応するユニークな海の生き物の姿をモティーフに取り入れ、ガラス工芸の芸術性を高めた。
ガラスでできた植物図鑑 博物館のようにモチーフを楽しむ展示やイベント
《草花文耳付花器》1895年頃 ポーラ美術館
植物学や生物学に精通していたガレは、さまざまな自然のモチーフを精緻に写しとり、自らの芸術に取り入れた。本展では、博物学の視点からガレの作品を楽しめる展示やイベントを用意。東京大学総合研究博物館所蔵の標本資料の展示のほか、さかなクン(東京海洋大学・名誉博士/客員准教授)や、植物の美しさを提案する植物屋「叢 - Qusamura(くさむら)」店主、小田康平氏のトークイベントを通じて、普段の「美術館」とは一味違った体験を提供する。
日時:2018年3月17日(土)~7月16日(月・祝)(会期中無休)
会場:ポーラ美術館
開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
公式サイト:http://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20180317s01/