ドラマあり、コラボあり、涙ありのロック大忘年会『FM802 RADIO CRAZY 2017』振り返りレポート
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FM802 RADIO CRAZY
2017年12月28日、29日インテックス大阪にて、ラジオ局FM802が主催する関西最大級のロックフェス『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2017』が開催され、約4万人の観客が詰めかけ、“ロック大忘年会”を謳うフェスに相応しい大賑わいとなった。
FM802 RADIO CRAZY
会場には4つのライブステージだけでなく、関西屈指の行列店や番組コラボメニュー、全国選りすぐりの“美味いもん"などがそろう大充実の飲食ブースに、関西らしいユニークな縁日、おみくじに書初め、大阪籠球会やプロレスラーの真壁刀義が参加した餅つきといった年末らしい催しも多数展開され、どこもかしこもお祭り騒ぎに。自由に利用できるこたつがあったり、撮影スポットもあちらこちらに設置されるなどの心意気も嬉しい。
FM802 RADIO CRAZY
また、毎年恒例の大阪発のアートユニット・WHOLE9が手掛けた特大バナー、今年はファッションスナップと音楽以外のカルチャーもごちゃまぜに楽しめるのも魅力!さらに今年は、境内サテライトスタジオでは、LAMP IN TERREN松本大が部長を務める、「FM802 弾き語り部」の発表会が実施され、山内彰馬(Shout it Out)、渡井翔汰(Halo at 四畳半)、Rei、片平里菜らが参加。バンド演奏とは違った、温もりあるアレンジでダイレクトに歌を届けた。その他、コタツサテライトでは番組の公開収録が行われ、出演アーティストがこたつに入ってミカン片手にライブとはまた違った和やかな雰囲気の中でトークを繰り広げるなど、ラジオ局主催のイベントならではの企画も目白押しとなった。
FM802 RADIO CRAZY
●2日間で総勢60組以上の豪華アーティストが出演
さて、今年は各ステージに、B'zやSpitzといったレジェンドから若手まで、2日間で総勢60組以上の豪華アーティストが出演。関西から約30年もの間に渡って、音楽シーンの最前線を発信し続けて来たFM802だからこそ実現できるラインナップで、今年も数々のドラマがあり、まさかのコラボありサプライズありと、スペシャルな展開が繰り広げられた。
CHAI
全国のライブハウスからシーンを席巻している、地元の大阪出身のShout it Outやyonigeの他、フェスに引っ張りだこのポルカドットスティングレイなど注目の若手バンドが集結した「LIVE HOUSE Antenna」。中でも、名古屋発のガールズバンド・CHAI(2日目)はライブスタートの1時間前から入場規制がかかっていたというほどの人気ぶりだった。おそろいのピンクの衣装を身にまとったキュートな見た目とは裏腹に、洋楽ルーツのゴリゴリのサウンドで躍らせ、ユーモア溢れるステージ展開で魅了。今年は、多数のフェス出演だけでなく、海外でのライブも成功させたCHAI。2017年初めに比べて、ライブのグルーヴは格段に研ぎ澄まされていた。そんな、この1年を通してのバンドの成長が見られるところも、年末開催の醍醐味だろう。
ITADAKIMA'S
また同ステージには、FM802の番組企画から誕生した関西の高校生からなるバンドのITADAKIMA'S(1日目)も登場。翌日に出演するOKAMOTO'Sの楽曲を披露するということで、ボーカルのオカモト・ショウが現役高校生に混じって歌った。ラストには、サプライズでOKAMOTO'Sのメンバー全員が登場してライブ。「日本の音楽の未来は明るい!」と、ITADAKIMA'Sの演奏力の高さを大絶賛だった。
●圧巻のステージSUPER BEAVER、初のアリーナワンマンを控えているフレデリック(L-STAGE)
SUPER BEAVER
そんな「LIVE HOUSE Antenna」のステージで2015年にとりを務め、今年は「L-STAGE」という大きなステージで、熱狂的なライブをみせたのはSUPER BEAVER(1日目)。「日々の積み重ねで、ひとつひとつのことをおろそかにせず掴んでこないと、こういう大きなステージには立てないと思っています」と渋谷龍太(Vo)が真っすぐ語り、フルスロットルで畳みかけるアツいライブで存在感をアピールした。
フレデリック
初日の「L-STAGE」でトリを飾ったフレデリック(1日目)は、超満員の会場を余すところなく躍らせダンスフロアに。MCで多くを語ることはなく、あくまでも歌と演奏で想いを伝える。ライブ中にはラジコン型の飛行船がフロア上空を浮遊する特別な演出も。18年春には初のアリーナワンマンを控えているだけあって、どこまでも広がっていく歌とサウンドは、大きな会場が似合う壮大なスケール感のあるライブだった。
●新境地を覗かせたSuchmos、聴き手の心のど真ん中に歌を届けたback number(Z-STAGE)
Suchmos
スケール感でいうと、「Z-STAGE」で、音源とはまた違ったライブならではのハードかつエモーショナルなライブで釘付けにしたSuchmos(2日目)。トレードマークのジャージを脱ぎ捨て、ギターを手にしたYONCE(Vo)が、「今年は色々なことにチャレンジできたと思っています。来年はもっとハングリーになって、広い世界を見たい。もしかしたら世界に行くかもしれないし、日本のでかいところでやるかもしれない」と切り出して歌った新曲。まだ未体験の景色を、見せてくれるに違いないと感じさせてくれる新境地を覗かせていた。
back number
同じく「Z-STAGE」での出演だったback number(1日目)。日々の感情の陰りや憂い、悲しみ、ささやかな喜びに、様々なスポットから光を当てる歌を、心のど真ん中に届ける。手を振って応える者、じっと聴き耽る者と思い思いにライブと向き合う光景が印象的だった。
●ハナレフジ、THE BAWDIESとFM802 DJ落合健太郎、鬼頭由芽のコラボ、ストレイテナーのライブにMONOEYESの細美武士、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎がゲストボーカルで参加
ハナレフジ
また、この日だけのコラボレーションも『FM802 RADIO CRAZY 2017』ならではの魅力のひとつ! ハナレグミとフジファブリックによるユニット、ハナレフジ(2日目・R-STAGE)は、互いの楽曲を共に披露しあうだけでなく、この日だけのスペシャルメドレーを届ける粋な展開に大歓声が巻き起こった。
THE BAWDIES×FM802 DJ落合健太郎、鬼頭由芽
10-FEET×Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)
その他にも、来年デビュー10周年を迎えるTHE BAWDIESは、ライブでお馴染みの寸劇でFM802のDJ落合健太郎と鬼頭由芽コラボ。10-FEET(1日目・L-STAGE)のステージには、1曲目からゲストとして同日出演のMAN WITH A MISSION(1日目・Z-STAGE)のTokyo Tanakaが参戦。
MAN WITH A MISSION×TAKUMA(10-FEET)
対して、MAN WITH A MISSIONのステージのラストには、10-FEETのTAKUMAが参戦するという、盟友同士のアツい絆が観客を沸かせた。
ストレイテナー×菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)
さらに、ストレイテナー(1日目・R-STAGE)は、MONOEYESの細美武士、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎をゲストボーカルに迎えるなど、キッズ大歓喜のひと足早いお年玉コラボが、これでもかと繰り広げられた。
●二日間の大トリを飾ったのはキュウソネコカミ
そして、二日間の大トリを飾ったのは、2013年の初出演から今年で連続5回目の出演となるキュウソネコカミ(2日目・L-STAGE)。MCなしで怒涛に攻め立てるライブにフロアは揺れっぱなし! 壁にヒビが入りそうなほどの特大のコール&レスポンスが巻き起こり、メンバーに笑みがこぼれたり、曲中にヤマサキセイヤ(Vo/Gt)が「いつも新曲かけてくれてありがとー!」と投げかけるなど心温まる場面も。「同じ空気を吸ってる関西好きやぞ!上京組には負けへんぞ!」と叫び、最後までアグレッシブなライブで観客と興奮を高め合いながら最高潮へ。アンコールでは、キュウソがレコーディングし、FM802のみでオンエアされた「クレイジーマンのテーマ」を披露。
FM802のDJたちがステージに登壇して、観客と共に大合唱する感動のフィナーレに。ライブ中にヤマサキがこぼしていたように、デビュー前は、ステージもない小さなライブハウスで活動していたキュウソ。今回5度目の出演にして、立派なステージで大トリを堂々と務めたエンディングは余りにもドラマチックで、涙する観客も多く見受けられた。そして終演後も会場に鳴り響いていたのが、「クレイジーマンのテーマ」。決してエンディングテーマでなく、また来年の10周年に向けてのオープニングテーマとしてドキドキとワクワクを加速させてくれたのだった。
●レディクレはまだまだ終わらない! FM802特別番組がオンエア
そう、2018年の『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY』は10周年! その序章として、先ずは年が明けてもCRAZYはまだまだ続く! ということで、1月8日(月・祝)にはライブ音源のみでおくる10時間の生放送が決定している。その他にも、公開収録されたアーティストのインタビューやコメントなどが、各番組放送されるので要チェックだ。もちろん、日々FM802から流れてくる楽曲やアーティスト情報をチェックしてほしい。そこで、気になったアーティストがいたら、ライブハウスに遊びに行ってみよう。そしてまた年末に、1年のロック納めとして、"ロックの大忘年会、レディクレ"で会いましょう!
取材・文=大西健斗 写真=FM802提供