小原孝が語る『渋谷道玄坂★おしゃべりピアノ・カフェ~小原孝のピアノ名曲フォーユー~』、岡本真夜とのスペシャル・コラボ!
小原孝 (撮影:武田敏将)
NHK-FMの『弾き語りフォーユー』は、リスナーから寄せられたリクエスト曲を、ピアニストで作編曲家でもある小原 孝(おばら たかし)が、独自のアレンジで即興演奏する人気音楽番組。パーソナリティも務める小原の優しく包み込むような語り口も人気で、19年間にわたって、心地よいひとときを届けてきた。その彼が、e-plus LIVING ROOM CAFE&DININGで、『渋谷道玄坂★おしゃべりピアノ・カフェ ~小原孝のピアノ名曲フォーユー~』と題したライブ・シリーズを始める。来る1月24日、記念すべき第一回のスペシャル・ゲストは、シンガーソングライターの岡本真夜(おかもと まよ)。岡本は、2016年にプロデビュー20周年を迎え、ピアニスト“mayo”としての活動をスタートし、大きな反響を呼んでいる。二人のアーティスト、小原と岡本のコラボは、果たしていかに!? ライブを目前に控えた小原に、ライブへの想いから今後の展開まで、じっくり話を訊いた。
音楽とおしゃべり、お料理とお酒が楽しめる「大人のカフェ」に
――まずは、今回、「おしゃべりピアノ・カフェ ~小原孝のピアノ名曲フォーユー~」に臨む現在のお気持ちを聞かせて下さい。
この渋谷で、音楽とおしゃべり、そして、お料理とお酒が楽しめる「大人のカフェ」のような企画が出来たらいいなぁとずっと考えていました。少し前ですが、六本木のスイートベイジルで似たようなシリーズをやっていました。一年毎もしくは半年毎のライブで、シリーズ自体が終わっても、形を変えつつ、色々と続けていました。あの頃みたいに根付いた形のライブ・シリーズを復活させたいという想いがあり、この素敵な場所を知って、新しいシリーズを立ち上げる運びとなりました。渋谷は、僕にとって特別な場所。レギュラー放送を長年にわたって務めてきたNHKとも近く、慣れ親しんだ大切な場所なんです。
――第一回は、岡本真夜さんをゲストに迎えられますね。今回のコラボは、どういった経緯から実現したのでしょうか?
真夜さんは、近年、ピアニストとしての活動にも意欲的で、僕は歌とピアノの両方のライブに行かせていただいています。前々から、「是非、一緒にやりましょう」という話はありました。今回、新しいシリーズを立ち上げるに当たって、今までできてなかったことをやりたいとの想いがあり、真夜さんに声を掛けました。
――どのようなプログラムが予定されているのでしょう。
前半は、僕のソロコーナー。クラシック音楽の名曲をたっぷり楽しんでいただこうと思っています。後半は、真夜さんを迎えて、彼女の作品を取り上げつつも、ライブでは聴けないような多彩なコラボをお届けしたいと思っています。
また、今回のライブでは、トークも楽しみにして欲しいですね。ピアニストが一緒に語り合うという機会はそう多くありません。よい機会ですから、ピアニストとして真夜さんの考えていることを訊いてみたいなと思っています。「おしゃべりピアノ・カフェ」というタイトルをつけたのも、こういった考えがあったからです。
――前半のソロコーナーでの聴きどころを教えてください。
ライブの副題に付けた「ピアノ名曲フォーユー」というのは、僕の最新アルバムのタイトルから採りました。まずは、このCDに収録した曲から幾つかを聴いていただこうと思っています。大曲はもちろんですが、初心者向けの小品にも魅力があり、それぞれのストーリーがあります。例えば、《乙女の祈り》や《エリーゼのために》。どちらも有名な曲ですが、プロのピアニストは殆ど取り上げない作品です。僕は、こうした曲を敢えて収録し、リサイタルでも演奏してきました。ライブで、そういったこともお伝えしたいですね。
実は、1月12日放送予定の「ららら♪クラシック」(NHK)は《乙女の祈り》の特集で、僕は解説と演奏をします。この曲は、バダジェフスカというポーランドの女性作曲家による作品。バダジェフスカは、音楽教育は受けてはいませんが、作曲が好きな裕福な家庭のお嬢様でした。当時は、女性が作曲家としてやっていくのは厳しく、ポーランドが国として一時、消滅したという歴史もあって、資料も極めて少ない幻の作曲家です。この曲は、日本ではよく知られていますが、彼女の祖国ポーランドでは知られていなかったんですよ。日本で広く愛されていたことが、最近、ポーランドに伝わって再評価が進んでいます。番組では、そういったことも取り上げています。
小原×岡本のここでしか聴けない演奏を
――後半に予定されている岡本真夜さんとのコラボはどういったものになるのでしょうか。
真夜さんの歌とピアノの両方の魅力を伝えられるようなライブをしたいですね。まず、真夜さんにオリジナルのソロ作品を弾いていただきます。彼女は、作曲家としても大変なメロディーメーカーで、ピアノ曲にもそれが反映されています。センスの良い、美しい曲を沢山書かれてきました。
僕と真夜さんでのピアノ連弾もありますが、これは僕自身、とても楽しみにしています。今回は、多くの候補の中からラヴェルの《マ・メール・ロワ》より「眠れる森の美女のパヴァーヌ」と松田聖子さんの《SWEET MEMORIES》を演奏する予定です。
――お二人の連弾というのは、ここでしか聴けないものですね。コラボならではの企画として、他にはどういったものをお考えですか。
「みんなのうた」から、僕が作曲した《私はブランコ》と真夜さんの《ハピハピバースデー》の2曲をお届けします。また、僕は、東日本大震災の復興支援として、『逢えてよかったね』友だちプロジェクトという活動を続けてきましたが、その曲も二人でデュエットします。
忘れてならないのは、真夜さんの代表作《TOMORROW》。実は、去年、僕はアルバム(「弾き語りフォーユーpresents~ランチでピアノ3」)の中でこの曲をピアノ曲にアレンジしたんですが、偶然にも、同時期に彼女もピアノ曲にアレンジした《TOMORROW》を、ご自身のアルバムに収録されていました。今回、僕は自分のアレンジを演奏しますが、もしかしたら真夜さんもピアノのアレンジを披露してくれるかもしれませんね。
――このシリーズでは、今後のどのような方をゲストに迎えていくのかをお聞かせいただけますか。
色々な方とやってみたいですが、特に若い方々をゲストに迎えていきたいですね。僕自身の経験としても、若い時期に先輩方と共演させていただいたことは大切な財産になりました。
20年以上も前のことですが、全国ツアーの中で、よく地元の子どもたちと「ねこふんじゃった」を一緒に連弾していました。その頃は、練習曲がつまらないとか、ピアノの先生が厳しいとかいった理由で、ピアノを辞めてしまう子どもが多くて、趣味として、楽しくピアノを続ける人が増えたらいいなあと思って始めたものです。実は、この「ねこふんじゃった」コーナーに出演した子の中には、現在、プロとして活躍している方もいます。感慨深いですね。結果というのは、すぐに出るものじゃない。10、20年経った後に分かることや、これから分かることも沢山あります。世代を超えて伝えていくということが、とても大事だと感じています。
――最後に、読者のみなさんに、公演に向けてのメッセージをいただけますか。
新しい企画ですし、僕もすごく楽しみにしています。コンセプトは「大人のカフェ」。気軽に楽しめるような場所になったらいいなあと思っています。この日しか聴けないコラボですので、是非、足を運んでいただけたら嬉しく思います。
小原孝&岡本真夜 コメント動画
取材・文=大野はな恵 写真撮影=武田敏将
小原孝(Pf.)
ゲスト:岡本真夜(mayo)(Vo、pf.)