レスリー・キー写真展『Singapura(シンガプーラ)』会見レポート シンガポール観光大使・斎藤工も登壇
斎藤工、レスリー・キー
2018年2月8日(木)〜2月13日(火)までの6日間、ヨウジヤマモト青山本店でレスリー・キー写真展『Singapura(シンガプーラ)』が開催されている。本展は、ファッションブランド「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の2018年春夏メンズコレクションを紹介するもの。人種や言語、国籍もさまざまなモデルたちがヨウジヤマモトの服を着用し、レスリー・キーの母国、シンガポールの名所に出没。現地の熱気をまとった写真は刺激的かつパワフルで、見る者の視線を釘付けにする。
斎藤工が語る“トリプルコラボレーション”
斎藤工
プレス内覧会では、まずシンガポール政府観光局 副長官 チャン・チー・ペイが挨拶し、ヨウジヤマモトとレスリー・キー、そしてシンガポールの魅力を語った。続いて、レスリーの友人代表として俳優・映画監督の斎藤工が登壇、写真展開催の祝辞を述べた。レスリーとは旧知の仲である斎藤は、「レスリーも山本耀司さんも、シンガポールという国も、自分の人生にきっかけとターニングポイントを与えてくれた。今回はまさにトリプルコラボレーション」と述べ、「耀司さんが身を削ってつくりだした洋服と、レスリーが身を削りながら生み出した作品の、本質のコラボレーション。そこにライブ(live)やライフ(life)を感じる」と主張。展示への熱い想いを示した。
また、自らが監督する映画の製作中、ヨウジヤマモトのキャップを被り、山本耀司のパッションを自分に寄り添わせようとしたエピソードを披露。本展は、「空間も展示もすべてがスペシャルで、自分の内側のような気がしている」と語った。
レスリー・キーが撮影した斎藤工のパネル
昨年、斎藤はシンガポール観光大使に就任し、シンガポールを代表する監督、エリック・クーの作品に出演。シンガポールという国に縁が生まれ、斎藤が次に監督する新作映画はシンガポールが舞台だという。シンガポールとの縁を語りながら、「すべてが僕にとって繋がっている。これからも、レスリー、耀司さん、そしてシンガポールの3つの物語は続いていく」と熱弁。レスリーが彼を撮ったパネルにサインをし、さらに会場の空気を盛り上げた。
レスリーが寄せる山本耀司への思い
レスリー・キー
トリを飾る形で登壇したレスリーは、山本耀司が「心から敬愛する人生の先輩」であると強調し、喜びを表した。「いろいろな人の応援と愛があってここまできた。作品について語ることはない。単純に僕が伝えたいのは、人を愛すること」と述べ、「たくさんの仲間たちに、写真家として、シンガポール人として、いろいろな言葉と形で感謝を表現したい」と語り、周囲の人々への深い感謝の意を示した。
その後レスリーは、2011年頃、ファッションとアートをどのように高めていくか悩んでいた時の話を披露。山本耀司に同行して、初めてパリコレを見た経験を語った。以来、レスリーは7年半に渡り、パリコレでのヨウジヤマモトを写真に捉え続けている。この撮影からは、写真・ファッション・人生など、さまざまなキーワードやヒントを得ているのだという。
山本耀司はレスリーの人生を変えた。レスリーは、「耀司さんがいなければ、私はいまだに写真やファッションについて迷っていたはず。だけど、もう迷うことはないし、撮りたいものは目の前にある。一生耀司さんを撮り続けたい」と言い、人間としての山本耀司への限りないリスペクトを示した。さらに、多忙の合間をぬって撮影の依頼に応じてくれた、斎藤工への感謝を表明。「(本展では)私の作品だけではなく、耀司さんの強いアートやファッションから、何かしらメッセージを受け取れる。彼のスピリットが満ちているこの空間そのものを見てほしい」と主張した。
愛と情熱に満ちた作品世界
レスリー・キー
ヨウジヤマモト青山本店地下フロアの展示会場に足を踏み入れると、正面の壁いっぱいに飾られたマーライオンの写真が目に飛び込んでくる。シンガポールの象徴が水を吹き出す姿はまるで生命の源泉のようで、会場に迫力と躍動感を生み出している。
展示風景
モノトーンを基調とするヨウジヤマモトの服は、無国籍で類似するものがなく、一つひとつが独自性を備えたアート作品だといえる。カッティングやデザインはすべて大胆で、見る者を驚かせ、着ている者の個性を強め、新たな価値を付加する。加えて、レスリーの写真はファッショナブルかつアーティスティックであるため、レスリー×ヨウジヤマモトのコラボレーションは、モデルが素で持っている生命力を最大限に引き出すことができるのだ。
シンガポールという洗練と混沌が入り混じる不可思議な場所で、被写体の魅力がMAXになる瞬間を察知し、印画紙に焼き付けるレスリーの写真は、見る者に忘れられないインパクトを残す。鑑賞者は、レスリーが母国・シンガポールを、ヨウジヤマモトの世界観を、被写体になった斎藤工やモデルたちを、そして国籍を超えたすべての人々を最高に愛していることが実感できるだろう。
6日間という短い会期だが、東京で一番寒い時期に、シンガポールの熱気とヨウジヤマモトの世界観、そしてレスリーの情熱を肌で感じられるレスリー・キー写真展『Singapura(シンガプーラ)』を、ぜひお見逃しなく。
会場:ヨウジヤマモト青山本店
開場時間:11:00‐20:00